連載:エンタメトップランナーの楽屋(第12回)
タレントは“晒し”にどう立ち向かう? FIREBUG佐藤詳悟とYU-M エンターテインメント山田昌治の“SNS時代のマネジメント”
「芸能界がようやく変わる時期が見えてきた」
佐藤:事務所をやっていて、なにか課題とか展望はありますか? 海外進出を視野に入れているのかとか。
山田:海外でなにかやりたいとは、めちゃくちゃ思ってますよ。でもいまは「タレントにどう寄り添うか」という課題があるから、具体的にはまだなにも進めてはいないですね。うちにいま所属している子たちは、どちらかといえば国内志向というのもありますし。
佐藤:どのくらいから変わってくるんでしょうね? いま生まれたくらいの子たちくらいから、最初から海外を目指すようなこともあるかもしれないし。
山田:これまでの子たちは、ハロプロや坂道、ジャニーズを見て育っているから、そこを目指すでしょうけど、いまは韓国で生まれたエンターテインメントも多いし、そういう意味では国境がなくなってきているから、これからの子はそうなる可能性がありますね。
佐藤:芸能界におけるイチローや大谷翔平みたいな人が出てきたら、一気に変わるのかもしれないですね。まだ、そこまでいっている人はいないですもんね。
山田:スポーツは言語の相互理解があまり必要ないことが大きいと思います。言葉がわからなくても、試合の中継とか観れるじゃないですか。でもエンターテインメントに関してはやっぱり言語の必要性や重要性が高い。誰かが海外へ行って英語で活動しても、言語がわからないから日本人はあんまり興味を持たない、みたいな。それこそ、真田広之さんは海外にでて相当の評価を得ているはずなのに、一般的に案外昔のイメージで止まっていたりするじゃないですか。
佐藤:たしかに。海外の話じゃなくても、なにか事務所として今後仕掛けていきたいこととかあるんですか?
山田:この対談の趣旨としては、もうちょっと派手なことを言いたい気はするんですけどね(笑)。でもずっと言っているように「これからのマネジメントとは」というのを哲学的に考えているタイミングではあって、いまは、所属タレントたちがどうヒットを作れるか否かみたいなことを地道に考えています。でもやっぱり、自分が関わっている音楽で世の中をざわつかせたいとは当然思っています。
佐藤:僕らの世代は、ずっと変わらなかった芸能界が変わり始めた過渡期を知っていて、変わらない頃、変わり始めたいまの両方を知っているからこそできることがあるなと思うんです。一方で、昔のことも知っているから新しいほうに行き切れないところもあるというか。
山田:大人たちに首根っこ掴まれている世代っていうかね。
佐藤:でもたぶん、いまの若い子たちはもう旧来のことはわからないと思うし、旧来の人たちも若い子たちのことはわからないと思うんです。僕らも、若い子たちの首根っこ掴もうなんて思わないし。だから、ここからが楽しいのかなと思うんです。
山田:僕もそう思いますね。芸能というか、もっとエンターテインメント、楽しいことが起きやすくなると思いますし。
佐藤:芸能界は、変わらないのがちょっと長すぎたんでしょうね。ここまで変わらずに来てしまった、最後の業界くらいじゃないですか?
山田:そうですね。芸能界が、ようやく変わる時期が見えてきたんじゃないかと思います。
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