約5年ぶり開催『春のVTuber甲子園』各チームの育成配信を総ざらい 大物監督たちが織りなすドラマを見届けよ

約5年ぶり開催『春のVTuber甲子園』各チームの育成配信を総ざらい 大物監督たちが織りなすドラマを見届けよ

 2024年3月18日から24日にかけて、VTuber・天開司が主催する『春のVTuber甲子園』が開催される。

 『VTuber甲子園』は、野球ゲーム『パワフルプロ野球』(今大会では『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』を使用)内のモード「栄冠ナイン」を使ってオリジナルチームを作り上げ、対戦する企画である。最後に開催されたのは2019年8月で、約5年ぶりの開催だ。

 同企画は2019年の開催後、にじさんじの舞元啓介が主導する『にじさんじ甲子園』へと繋がったことで未開催の期間が続いていた。そこへ来て今回の開催アナウンスである。これは天開のファンのみならず、VTuberシーンをよく知る多くのファンを驚かせた。

 加えて驚かせたのは、本企画への出場メンバーである。主催である天開をはじめとし、『にじさんじ甲子園』の全大会に出場してきたにじさんじ・椎名唯華、ホロライブでも一、二を争う“配信モンスター”の博衣こより、そして天開と同じくシーンの初期から男性VTuberとして活動してきたNeo-Porte・渋谷ハルの3人、計4人の出場が発表された。

 VTuber~バーチャルタレントシーンを引っ張るホロライブ・にじさんじという二大事務所の博衣こより・椎名唯華、男性VTuberとして長く活躍してきた天開司に伸び盛りのNeo-Porteを率いる渋谷ハルという豪華な4人による対戦企画は、非常に大きな反響を呼んだ。

 『VTuber甲子園』はゲーム内のモード「栄冠ナイン」を使った企画である。プレイヤーは高校野球部の監督として毎年入部してくる選手を育成し、目標である甲子園大会優勝へ導いていくという内容だ。

 このモードでは毎年夏の甲子園大会が終わるタイミングでオリジナルチームをセーブできるようになっており、スタートしてから3年目の夏大会終了時点での野球部をオリジナルチームとしてセーブし、そのチーム同士で対戦するというのが、本大会のフローである。

 入部してくる新入生のステータスは完全にランダムだが、スタート時に日本の47都道府県どこかにオリジナルの高校を構えることで、当地にゆかりのある実在のプロ野球選手やOB選手が「転生選手」として新入生として登場する場合がある。

 千葉県に高校を構えれば巨人OBの長嶋茂雄が、愛知県に構えればイチローが新入生として加わる可能性があるといえばわかりやすいだろう。2年目以降は都道府県関係なくプロ/OB選手が転生するようになるが、そもそも転生選手が登場する可能性は非常に低く設定されている。

 このため、じつは「どこに高校を構えるか?」は非常に重要で、実際のプロ選手やOB選手の新入生として転生することを狙って高校を構えるか、逆にOB選手やプロ選手の転生を狙わず、自チームが上位進出しやすいよう参加校があまり多くない都道府県を選んでプレイするか、方針を定める必要がある。ゲーム開始時点からすでに勝負が始まっているのだ。

 本稿では、4人が育成を終え、どのようなチームを作り上げたのか。ここで一度振り返ろうと思う。

大会No.1ピッチャーとチャンスに強い打線を擁するホロライブ高校

 ホロライブ・博衣こよりは、東北地方・岩手県にホロライブ高校を構えることにした。同県を選ぶと、言わずと知れた大スター・大谷翔平をはじめとした強力選手が初年度から新入生として加わる可能性があり、大会参加校の数も他地域と比較して多くない。上位を目指しつつも転生選手が狙える、バランスの良い県であるのが主な理由であろう。

【 #春のVtuber甲子園 】ホロライブ高校始動!1年目の新入生は誰だ!?転生こおおおおい!!!⚾✨【博衣こより/ホロライブ】

「大谷選手を引けるといいなぁ~!」

 博衣はリスナーに向けてルールを説明しながら、愛知県や兵庫県も魅力的だったと話す。いわゆる“新入生ガチャ”といわれるこのターンで、彼女は福岡ソフトバンクホークスに所属する松本裕樹選手を転生選手として引きあてた。

 他の新入生をみつつ「転生が引けたしバランスもいい。松本選手がそもそも強い!」「このあと2回引き直せるけど、転生選手がいなくなる可能性が全然ある」と話し、ガチャ1発目でチーム育成をスタートした。

 新入生ガチャで転生選手を引き当てたことに加えてもうひとつ幸運だったのは、開始時点に所属している先輩メンバーのなかにも強い選手が数名いたことだ。3年生・2年生の数名に「天才肌」がおり、「内気」の性格を持つ選手が複数人いるというメンバーをみて、「今まで見たことがない」と口にするほど驚いていた。

 博衣は以前にも「栄冠ナイン」を配信を通してプレイしており、各種ステータスやゲームの進め方だけでなく、「この能力値がどれほどレアなのか」といった重要ポイントまでキチンと理解しているレベルである。

 幸運でめぐりあえた先輩らとともに育成を進め、2年目の新入生ガチャでも強力な新入生を複数呼び込むことに成功し、そのまま2年目の夏の大会に起用。地方大会の準決勝で惜敗したものの、チーム全体を大きく成長させることができた。

【 #春のVtuber甲子園 】ホロ高2年目夏の大会!絶対甲子園に行きたい‼ココ大事だぞおおお!!!⚾🔥【博衣こより/ホロライブ】

 その後も順調に育成を進める博衣。ランダムで特殊能力をゲットできる「合宿」や「特訓」イベントもかなりの数を成功させ、そのまま臨んだ2年目秋大会から、ホロライブ高校は爆発。なんと2年秋大会・春の甲子園・夏の甲子園大会まで負け知らずの不敗神話を築きあげ、秋・春・夏の3連覇という離れ業を達成してのけたのだ。

 初年度から幸運に恵まれた部分はありつつ、バランスを見ながらの選手育成、試合の局面で的確な指示をして勝利に導いた彼女のプレイスキルの高さがうかがい知れる。

【 #春のVtuber甲子園 】秋春夏連覇に向けて‼ホロ高3年目夏の甲子園準々決勝から!!!⚾✊🔥【博衣こより/ホロライブ】

 初年度から先発を務めてきた宝鐘マリンは試合を重ねるごとにステータスを順調伸ばし続け、「奪三振」「尻上がり」「リリース◯」などを含めた特殊能力7つを獲得。そこに加えて球速161キロのストレート、鋭く落ちる「SFF(スプリット・フィンガー・ファストボール)」、2種類のカーブ、ストレート系の第2球種という剛腕ピッチャーへと成長した。間違いなく今大会のナンバーワンピッチャーであろう。

 打線・野手で注目すべきは、なんといってもスタメン野手の多くが「チャンスB」以上の能力値を持っている点だ。

 『パワフルプロ野球』ではチャンスA~Bを持っていると、ランナーが2塁または3塁にいる際にミート力・パワーが強化されて打撃力があがるようになっており、ときのそら、雪花ラミィ、ラプラス・ダークネスにくわえて宝鐘マリンもこの能力を持っていることで、9人のスタメン中4人がチャンスに強いという打線である。

 だがときのそら、雪花ラミィ、ラプラス・ダークネスらは打順では4~6番を任されており、上位打線には彼女ら3人よりもステータスや特殊能力の点で優れている鷹嶺ルイ、百鬼あやめ、さくらみこ、白銀ノエルらが名を連ねている。

 上位打線で溜めたランナーをチャンスに強い3人がうまく返すように組まれた打線は、秋・春・夏の3連覇を達成した編成であり、かなりの得点力を見込める。

 実際に『VTuber甲子園』の本大会がスタートしてからどのようなスタメン・打線を組むかは監督・博衣こよりの判断に任されているが、「うまくいっているチームやスタメンを変える必要はない」という、スポーツ界でよく聞かれる金言をもとにすれば、おそらく現状の打線を維持する方向性で大会に臨む可能性が高そうだ。

 大会ナンバーワンピッチャー・宝鐘マリンにくわえて、チャンスにめっぽう強い強力な打線は、大会を大いに盛り上げてくれそうだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる