「ドン勝生活」「Vtuber甲子園」「神域リーグ」……ヒットコンテンツを生み出し続ける天開司が積み上げた5年間とこれから

天開司が積み上げた5年間とこれから

 2017年から2018年にかけて、一気にVTuber、バーチャルYouTuberが話題になってからはや5年。当時は“珍しいもの”として見られていたバーチャルYouTuberも、いまではコンビニの棚にコラボ商品が並んだり、地上波のテレビ番組に登場するまでの存在になった。

 にじさんじやホロライブなど企業所属のVTuberが特に目立つなか、個人で活動するVTuberも工夫と苦労を重ねて、人気を伸ばし続けている。今回は個人で活動を続ける男性VTuber・天開司に、デビューした2018年からの活動を伺いながら、激変を続けるVTuberシーンの様子を追ってみた。(たまごまご)

■天開司

BANs筆頭、バーチャル債務者Youtuberの天開司だ・・・・! ゲーム実況、歌ってみたを中心に、さまざまな活動をしている・・・・! 目指すは借金返済・・・・・・!(Twitterより引用)

2018年当時としては脅威的 同接7〜8000人を記録した「ドン勝生活」

ーー天開さんは2018年にデビューした時、自身の活動スタイルをどうするか考えていらっしゃったんですか?

天開:いや、全く考えていなかったですね。この時って、主流とまでとはいかずとも動画勢と配信勢とが半々ぐらいだったと思うんです。動画と配信、自分にとってどちらが正解かっていうのは、当時は本当にわからなかったですね。

ーーですが、実際には、配信を中心とした活動にシフトされていますよね。きっかけがなにかあったんですか?

天開:一番は、労力的に動画を出せないということですね。当時は日雇いの仕事をしながら活動していたので、その中で動画を編集して投稿してっていうのは、労力的に無理だと気付いたんです。当時は配信も主に土日にやっていましたし……ただ、その分休みの日は長時間配信が多かったと思いますね。

ーー当時、視聴者の方からとくに喜んでもらえた、あるいは記憶に残っているコンテンツはありますか?

天開:「ドン勝生活」(※1)は、自分がたくさんの人に見られるようになったきっかけでしたね。耐久配信は当時もあったと思うんですけど、内容は斬新だったと思います。

【※1「ドン勝生活」……『PUBG』で1位を取らなければ食事をすることができないという企画。食事内容は天開本人が指定可能だが、「エナジードリンクを使用することでレッドブルを摂取可」、「鎮痛剤を使用することでラムネを摂取可」、「川に入ることで水を摂取可」、「海に入ることで塩を摂取可」などの救済ルールを除いて一切食事ができないという過酷な内容】

〈当時のアーカイブ:【PUBGドン勝しないと飯喰えない】Vtuberはドン勝だけで生きていけるか? 1日目

天開:普段よりも2~3倍も多くの視聴者が来ていて、それがずっと何時間も続きました。友だちが出てくれたりもしたことも影響したとは思うんですけど、最終的には同接(同時接続)が7~8000人に届いて。当時だと多分相当すごかったと思いますし、なんならいまでもすごい数字だと思います。そもそも2018年って、男のVTuberがマジでリスナーから見られない時期だったんですよ。

ーーたしかにまだまだ男性VTuberが珍しい時期でしたよね。天開さんはこの時期、他の男性VTuberの方と交流はあったんですか?

天開: それこそ「ドン勝生活」の時に、歌衣メイカとか渋谷ハルとか叶とか、色んな人が来てくれましたけど、当時は本当に男性VTuberが少なかったですね。そこから、にじさんじSEEDsの二期生だった舞元啓介とかが出てきましたけど、でもあの辺りと絡むようになったのも、もうちょっと先の話なんですよ。

ーーそんななかで、2018年末には『VTuber紅白歌合戦』が大々的に行われました。これはどういうきっかけで企画をされたんですか?

【#V紅白歌合戦】V紅白歌合戦開幕ッ!【年末一緒に盛り上がろ~!】

天開:司会をしていたので、企画に携わっていたと思われることもあるんですが、自分はただ呼ばれただけで、実際は完全にメイカ主導の企画なんです。人選とかも全部メイカがやってくれて。。でも、あれを個人がやれたっていうのは、やっぱりすごいことですよね。

ーーあの当時、あれほどのメンバーを集めるのは、ものすごく大変そうなイメージがありました。

天開:めちゃくちゃ大変だったと思いますよ! いまはメジャーアーティストとして活躍している「ぼっちぼろまる」とかも出ていたり、いまも仲のいい「MonsterZ MATE」もここでバズっていましたね。いろんなことの始まりだったなって思います。

ーーVTuber紅白歌合戦には「天魔機忍ver.G」(※2)がサプライズ出演していましたね。シーンを長く見ている人ほど、衝撃を受けるゲストでした。どのようにして声をかけたのでしょうか?

天魔機忍ver.Gの1/6の夢旅人2002

天開:「VTuberの紅白歌合戦」をやるっていう話になって、メイカが「トリどうしよう」って言っていたときに、「みんな誰を見たいんだろうな」って考えたら、やっぱりこの5人じゃないかなって。VTuber黎明期の、本当に始まりからVTuberを見てきた人たちからしたら、本当に好きな人が多い5人だと思いますし。それで、お声をかけてみたら、OKをいただけたんですよ。

【※天魔機忍ver.G……ぜったい天使くるみちゃん、あっくん大魔王、ニーツ(VT-212)、乾伸一郎の4名にバーチャルゴリラをくわえた個人勢によるユニット。ぜったい天使くるみちゃんは、この出演前にTwitter/YouTubeアカウントが停止され、活動を休止していたこともあり、4人の出演は話題を呼んだ。】

ーーこの5人もそうですし、その前に流れてた瀬戸あさひさんの歌もそうですが、当時のシーンには“VTuber箱推し”感がありましたね。

天開:そうですね。それに、やっぱりVTuberが大好きな歌衣メイカが主催したからこそ、ああいうメンツになったんだろうなっていうのは、本当に思いますね。

ーー2018年に天開さんがファンメイドモデルで3D化されていたのにも驚きました。あれはどういった経緯で……?

天開:いまでこそ、企業所属のVTuberが3Dお披露目をバンバンするじゃないですか。当時って、企業所属ですら3Dモデルを持っている人なんて、マジで数えられるぐらいしかいなかったんですよね。

 じゃあ、個人勢はどうするかとなったら、自分で作るしかなかったんですよね。3Dモデルを作るのが好きでVTuberになったという人たちも2018年にはいたんですけど、それでもごく一部でした。自分は3Dモデルを作ることはできないので、3Dモデルを諦めていたら、ファンの方から「使ってもらえませんか」って連絡をいただいたんです。

ーー実際に初めて3Dになったとき、いかがでしたか?

天開:本当に感動しましたね。四天王って呼ばれていたトップの方々は3Dモデルを持っている、という印象があったので、自分も「3D化したい」っていう憧れを抱いていて。自分だけじゃなく、2018年ごろのVTuberからしたら、3Dの身体で動くのってすごく大きな夢だったんですよ。

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