ストリーマーたちの間で大流行の『LoL』 きっかけとなった『The k4sen』の功績を振り返る

『LoL』ブームを生んだ『The k4sen』の功績

日本の『LoL』シーンにおけるコミュニティイベント『The k4sen』の強さ

 この48人もの面々が登場することになった『The k4sen』を、ひいては『LoL』界を盛り上げるため、Riot Games Japanは積極的だった。

 『LoL』クライアントのホーム画面にて『The k4sen』のオフィシャル画像がドンッと使われていたことに驚いたLoLプレイヤーは多いだろう(出場する面々も同様に驚いていた)。Riot Games Japanがこの企画にどれほど好印象を抱いているかが伝わってくる。

 そんな約2ヶ月ほどの旋風によって、出場した面々を中心として配信内容に大きな影響が生じた。

 まず、ストリーマーやVTuberらがおもむろに『LoL』をプレイすることが増え、ソロプレイではなく他ストリーマーらとパーティを組んでの配信が非常に増えたのだ。

 「どんなゲームでもそうだけど、1人よりもパーティでやったほうが楽しい」と語る者も多く、実際和気あいあいとしたプレイのなかには、印象的なプレイングもあれば、「どうしてそうなった?」と思う凡ミスもあり、笑い声あれば煽り合いもあり(もちろん“配信上の話芸”として)と、刺激的な配信を生み出している。

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「ウブ過ぎる」と夕陽リリに煽られてしまううるか【天宮こころ/かみと/夜よいち/LOL】
コッケコッコーーーーーー!!!!!!!

 すこし逸れた話題から見てみよう。

 ホロライブ、にじさんじ、ぶいすぽっ!といったVTuber~バーチャルタレントから、ZETA DIVISION、Crazy Raccoon、Riddleといったeスポーツチームのストリーマーに至るまで、これまで大型サーバー企画やカジュアル大会などで会話したり対戦したことのある面々ではあるが、「共通してプレイできるゲーム」は意外と少なく、これまでは『Apex Legends』や『VALORANT』などが主流だった。

 それでいて、ゲームの内容そのもので面白さを出せるだけでなく、一緒にプレイしている面々で程よく雑談もできるような配信にも向いているゲームとなると、選択肢はより狭まるだろう。そんな“いい塩梅”なゲームとして、『LoL』が一気に注目を集めている格好なのだ。

ガンクしに来てくれないJGボドカにブチギレる橘ひなのwww【ボドカ/橘ひなの/釈迦/葛葉/兎咲ミミ/夕陽リリ】

実際、とある深夜からスタートした5人パーティの配信では、Discordを通して参加メンバーを募りつつ気ままにプレイしつづけ、結果50時間以上に渡って続くほどであった。メンバーが次々と変わりながらリレーのように続いていくその配信は「継ぎ足し秘伝のタレLoLフルパリレー」と称され、いつの間にか注目を集めてしまったのだ。

「合計28時間」にも及んだ継ぎ足しLoL配信がこちら【League of Legends】
BOTでバカップルが出来たり、釈迦が囮にされたりと面白すぎた秘伝のタレLOL配信【うるか/釈迦/ありさか/白波らむね/Kamito】

 こうして話していると、それまでの「面白いゲームなんだけれど、敬遠されがち」な『LoL』を知る人にとっては違和感があるかもしれない。だが同時にそのインパクトは、何よりも当事者が強く感じている。

 初心者枠として出場・成長したぶいすぽっ!の白波らむね、個人VTuberの赤見かるび、Riddle所属・ajaの3人がk4senとパーティを組んで会話していた際には、その影響と以前までの違いをハッキリと口にしていた。

「Discordで募集をかければいつでも5人パーティを組んでプレイできる」

「それまで『VAROLANT』をみんなプレイしていたのに、いまでは『LoL』をプレイしている人のほうが断然多い」

「『VAROLANT』と『LoL』の立場が逆転した」

 3人が興奮気味にこのように話している様子を聞くk4senもまた、驚きの表情を隠さなかった。k4sen自身も配信を通じて何年にも渡って『LoL』をプレイしてきたが、仲のいいストリーマーらに声をかけてもなかなか人が集まらず、5人のフルパーティや10人のカスタム参加者を集めるのに数時間かかることもあったほどだ。

 彼らが忙しく声をかけられないとなると、今度は自身のSNSで「@9」などと投稿し、それを見て立候補してきたストリーマーやVTuber、時には普通のリスナーやファンをも加えてカスタムマッチを組んで対戦するほど。

 以前までの数年で開催していた大会と初心者勢を率いた2度の大会での大きな違いは、経験者であれば「当たり前のこと」として説明もされなかった初歩的な部分を何度と無く噛み砕いて説明していたことで、5人のストリーマーと彼らを見ている視聴者に説明することになり、「『LoL』とはどういった流れで進んでいくのか?」というのが明確に伝わったのだ。

 実際今回の記事では、主にk4senとうるかの『LoL』動画を使わせていただいたが、両者の動画を見れば『LoL』がどのようなゲーム性を持っているか?流れはどうなるのか?知っておくべきアイテムと効果は?そういった部分を知るにはうってつけである。

 ルール説明・ゲーム内のポイントを教えた教材的動画が投稿されていること、それら動画の視聴回数が大きく伸びているということは、k4senとうるかの熱意に多くのリスナーやプレイヤーが呼応していることにほかならない。同大会を通じて興味を持ち、プレイするようになったストリーマーやVTuberのファンも少なからずいるはずだ。

 この数年に流行した『Apex Legends』『VAROLANT』と同じように、「みんなでプレイできるチームゲームの良さを楽しめる」タイトルとして、今後ストリーマーやVTuberのなかで定番タイトルとして親しまれるかもしれない。

 以前までは「『LoL』の配信をすると視聴者が減る」などと話題に上がることもあった(SHAKAは『LoL』配信をするようになってからサブスクリプションメンバーが数千人減ったそうだ)が、この企画を通してルールや流れがより広く知れ渡った今ならば、そういった流れもいくぶんかは緩和されたはず。

 むしろいまストリーマー同士で話題にあがっているのは、sasatikkが「『LoL』は魂の形が出る」と発言したように、それまでおとなしそうなイメージを持たれていた配信者の言葉遣いが荒っぽくなったり、『LoL』の影響で「ゲーム中に周囲への遠慮が無くなった」と語るストリーマーが出てきていることだ。

プレイに魂の形が出る、正に人生!!LOLとは何かを説くコーチに怖がる支部【The k4sen】

 以前までは互いをあまり知らないでいた者同士が、仲良くゲームプレイできるようになっただけでなく、これまでの活動ではいっさい見せることなかったさまざまな表情を引き出し合う。配信者がどうしても抱えてしまうさまざまなマンネリ化を、『LoL』が解消する一助となった。

 インフルエンサーともいえる彼らに『LoL』と『The k4sen』が与えた影響はかなり大きく、今後もk4senが生み出した流行は広がっていきそうである。

〈サムネイル引用元:The k4sen X公式アカウント

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