目指したのは究極のマルチタスクデバイス ASUSが2画面ノートPC『Zenbook DUO』を発表

ASUS、2画面ノートPC『Zenbook Duo』を発表

 2024年3月4日、ASUSが2024春夏モデルのノートPCを発表した。同ブランドのフラッグシップともいえる「Zenbook」シリーズのアップデートとなる。本日より予約開始、順次発売となる。しかし、今年はアップデートだけに留まらない大きなサプライズがあった。それが『ASUS Zenbook DUO(UX8406MA)』の発表だ。1台5役とマルチに使えるノートPCで、14インチのディスプレイを2枚備えた型破りな本機を、じっくりチェックしていこう。

 一般的なノートPCの延長として考えた、現実的な2画面

  ASUSと2画面(デュアルスクリーン)PCの関わりは、実は2018年まで遡る。Computex 2018にて、ASUSは「Project Precog」という2画面ノートPCを発表したが、製品化には至らなかった。その後もサブ液晶を搭載したモデルや折り畳める大きな一枚ディスプレイを備えたモデルなど、大画面への追求はかたちを変えて続けられてきた。

        
 今回の『Zenbook DUO』は、これまでASUSが送り出してきた2画面ノートPCの中でも、もっとも「Project Precog」に近いデザインとなる。ある意味で2画面PCに対するASUSの一つの到達点といえるモデルだ。しかも今回は製品化までこぎつけており、ユーザーにとっても手が届く体験となる。
 
   
 改めて本機を見ていこう。天板を閉じたデザインは一般的なノートPCと変わりなく、シンプルなスタイル。重量は約1.65kg。

   
 オープンさせてみると、これもよく見るノートPCと変わらない。どこが2画面なのかと思うかもしれないが、ここからがすごい。

     
 このように、トラックパッドとキーボードが取り外せる仕様となっている。キーボードの下にはセカンドスクリーンがあり、14インチの有機ELディスプレイを上下に備えた2画面PCの登場だ。

 
 ディスプレイは上下ともタッチ操作に対応し、下側のセカンドスクリーンには仮想キーボードや仮想トラックパッドが表示できる。こうなると、物理のキーボードなしでもノートPCと遜色のない操作が可能となる。

さらに底面にあるキックスタンドを立てれば…。
さらに底面にあるキックスタンドを立てれば…。


 上下に2枚の画面を備えた「デュアルスクリーンモード」に。この場合は取り外したキーボードをBluetoothで接続して使うことが推奨される。ちなみに物理キーボードを取り付けた状態や仮想キーボードでの操作時は「ノートパソコンモード」と呼称されている。
 キックスタンドは横置きにも対応しており、こうして書見台のような配置にすることも。この状態は「デスクトップモード」と呼ばれており、まるで19.8インチのディスプレイを目の前にしているような体験が得られる。

     
 最後はセカンドスクリーンを上画面にミラーリングする「共有モード」。向かい合わせでこの表示を使えば、PCを対面側に向けることなく資料などを共有できる。付属の「ASUS Pen 2.0」を使えば、イラストやデザインをリアルタイムに見せることもできるだろう。高いプレゼン力が期待できそうだ。

 スペックについても妥協はなく、ノートPC向けCPUとしては最上位モデルとなるCore Ultra 9 185Hを搭載。メモリは32GBで、グラフィックはIntel Arcを採用している。


 こうなると気になるのが冷却性能だが、そこはさすがのASUS。スペースを節約するため同軸ケーブルではなくFPCを採用したり、デュアルファンやヒートパイプ、グラフェンシートなどを駆使し、効果的な冷却システムを構築している。

スタンダードなモデルも最新スペックに

 

 『Zenbook DUO』の登場だけでなく、定番スタイルのノートPCも刷新されている。約1kgの軽量ノート『Zenbook S 13 OLED』は、第14世代のIntel CPUに対応。軽量さはそのままに、より高性能なモデルに仕上がった。

 また、既報だが『Zenbook 14 OLED』が2024年2月に発表されている。手頃な価格帯はそのままに、こちらも第14世代のIntel CPUに対応した。

2024年のZenbookは「原点回帰」

 今年の春夏モデルの注目作は、やはり『Zenbook DUO』だろう。上下2画面のノートPCといえば、Lenovoの『Yoga Book 9i』が前例となるが、現状の市場においてはこれら2機種しか存在していないジャンルと言える。

 野心的な本機の登場について、ASUS JAPANマーケティング部の熊谷歩美氏にコメントをいただいた。

 「2024年のZenbookのテーマは「原点回帰」とさせていただきました。Zenbookシリーズも増えてきた中で本質はどこにあるのかと考えると、薄型軽量や機能美があるのではないかと考えています」

 ──『Zenbook DUO』の開発にあたって、苦労した点などはありますか?

 「市場調査にはかなり時間をかけました。我々の調査ではデュアルスクリーンに関心があるユーザーは87%という数字があり、需要の掘り下げには特に注力しています」

──様々なモードが提案されている『Zenbook DUO』ですが、オススメの使い方はありますか?

「私はディスプレイを左右に展開した「デスクトップモード」がお気に入りです。資料の表示にも便利で、まるで本を読んでいるかのように情報をインプットができるのは使いやすいですね。カタログなどの表示にも便利です」

 ──2画面ノートPCというジャンルはまだまだ少ないと思うのですが、ライバルとなるモデルはありますか?

「常に過去のモデルをライバルとしているので、お客様の声を聞くたびに開発をアップデートしていきたいと考えています。他社様のモデルについても存じ上げておりますが、キーボードの大きさなどは差別化できる点かなと考えております。 やはり新しいフォームファクターなので操作性に不安を感じるお客様も多いと思いますので、通常のノートPCと変わらない生産性があることを伝えたいですね」

 19.8インチの大画面にも、プレゼンのためのディスプレイにも、もちろん一般的なノートPCにもなる。そんなマルチデバイスがそばにある暮らしは、きっと今よりワクワクできるはずだ。

■参考情報
Zenbook Duo(UX8406MA)…34万9800円
Zenbook S 13 OLED(UX5304MA)…23万9800円
Zenbook 14 OLED(UX4305MA)…13万4800円〜
https://jp.store.asus.com/store/asusjp/html/pbPage.note_new_laptop

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