“バ美肉”に欠かせない「声」にまつわる技術を惜しげも無く公開 『バ美肉紅白2023』レポ
月山ゆかり:筋トレとボイチェン変更で人間を超えたkawaiiの極みへ!
アプローチ:ボイスチェンジャー
目標:究極のデジタルkawaiiボイス!
ボイスチェンジャー:Little Alterboy(SWボイチェン、ピッチ+2.76)
月山ゆかりさんは関西弁による個性的なトークと、リアルな女性ボイスとは一線を画す、ボイチェンでしか出せない「デジタルkawaiiボイス」を得意とするVTuberだ。高度な技術力を持つ「自作キーボード系VTuber」であり、YouTubeチャンネル登録者数は1.3万人超、キーボードの設計から3Dプリンタによる組み立てまで自由自在。自ら製品開発を行ったショートカットデバイス『CreatorPad』を発売しキーボード界に旋風を巻き起こしている。
月山ゆかりさんが目指すのは、リアルな女性ボイスとは一線を画す、初音ミクをはじめとする合成音声ソフトウェアのような「人間を超えたデジタルkawaiiボイス」。 さらなる高みを目指すために、両声類同様のボイストレーニングを敢行し、遅延を犠牲にしてボイチェンの種類を変更。よりクリアに、より色っぽくなった「デジタルkawaiiボイス 2.0」をステージで披露した。
噛ませ戌:リスナーとの関わりの中で目覚めた「未亡人」キャラ?
アプローチ:両声類
両声類修行歴:11年
修行方法:ひたすらママを勤める!
噛ませ戌さんは「ママ」ではなく「お母さん」の様な母性溢れる声を目指すVTuber…… のハズが、悲哀を漂わせた独特な雰囲気から、いつしかメタバース内では「バーチャル未亡人」として定着してしまった人物。しかし、そのイメージをいかしてメタバース内の各種イベントでママとして活躍。あまちじょんことタッグを組んだ「V母娘」としても活動している。
噛ませ戌さんは、自身の「未亡人」キャラ誕生秘話を公開! 周囲の人やリスナーとの関わりの中で見つけた、思いもよらない新たな自分との出会いを語った。現在は、単に可愛い声を目指すのではなく、声と立ち振る舞いだけで自分のキャラクターの世界観が伝わるよう努力しているそうだ。
セイ・クイーン:ダンボールハウスで高音ボイスお嬢様を目指す海外在住ユーザー
アプローチ:ボイスチェンジャー
目標:誰もを虜にする高音域の歌声!
ボイスチェンジャー : Graillon2(SWボイチェン、ピッチ&フォルマント+5)
セイ・クーンさんはメタバースで新興勢力「私立バ美肉学園」を立ち上げた人物。声楽部と麻雀部の部長を兼任し、日々VTuberとして歌配信や麻雀配信をおこなっている。高い歌唱力と、高音域に定評のある独自の歌声をもつボイチェン界の新星だ。現在はカナダ在住で、海外生活に悪戦苦闘しながらもVTuber活動を続けている。配信活動においては、その歌声とゆるい雑談でじわじわとファンを増やしているようだ。
なお、セイ・クーンさんはボイチェンの練習をしていることがバレないようにダンボールハウス(お手製の防音室)で活動しているという秘密を明かし、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。目指すのは、人間の声帯の限界を超えた、ボイチェンでしか到達できない高音域の歌声。脳を突き刺すような魂の歌声に、会場は思わず息を飲んだ。
あまちじょんこ:アニキが教える、3,000部売れた女声教本の真髄とは
アプローチ:両声類
両声類修行歴:13年
修行方法:データ解析に基づく科学的トレーニング
あまちじょんこさんは12年間5歳児として活動しており、メタバース内では「女声ボイスアドバイザー」として活躍している。同氏によるデータ解析による科学的トレーニングに基づく女声の教本「kawaiivoiceを目指す本」は3,000部超えの大ヒットを記録。bilibili動画では登録者数12万人を突破しており、2023年4月にはTBS『ジロジロ有吉』の「バ美肉おじさん」特集に出演し、その女声技術で全国のお茶の間に衝撃を与えた人物だ。
当日はあまちじょんこさんが披露した“幼女とお兄ちゃんとのハーモニー”に会場中が絶句。言わずとしれた大ヒット女声教本「kawaiivoiceを目指す本」作者なだけあって、見た目とは裏腹に理論派タイプなのだ。自分の声の波形を音声解析ソフトで分析し、目標とする声を最速で手に入れるデータ解析に基づく科学的トレーニングを力説。そして披露された新キャラ「めすガキじょんこ」による神々しい歌声に、会場は感動の嵐に包まれた。
運命の来場者投票を終え、両軍で「ロマンスの神様」を合唱!
来場者全員による決戦投票が行われた結果、27対49で両声類軍が勝利、4連覇を達成した。決着後には健闘を称え合い、全メンバーによる合唱「ロマンスの神様」が披露された。
ボイチェン勢も両声類もアプローチは違えど、自分の信じるkawaiiを追求する志に違いはない。それぞれの追求する理想をぶつけ合うことで、メタバースにおける人類の新たな可能性が垣間見えるイベントとなった。あらためて、本イベントを見守ってくれた約1200名の皆様にも感謝を申し上げたい。
人類学者・ミラと紐解く「バ美肉」の世界 あらゆる人が「理想の自分」になれる時代に感じた可能性
スイスの人類学者であり、「ミラ」として活動するリュドミラ・ブレディキナ(Liudmila Bredikhina)氏が、「バ美肉(…