ドラマ『最高の教師』TikTokアカウント大成功の裏側 “演者目線”でのコンテンツ制作が生み出す効果とは

『最高の教師』TikTokアカウント成功の裏側

 TikTokトレンド大賞2023が発表され、そのスポーツ&エンタメ部門にて日本テレビ『最高の教師』が表彰された。『最高の教師』は、TikTok動画が1クールで1.2億再生を超えるなど、テレビドラマなどエンタメ領域におけるTikTok活用が重要になっている。

 こうした“バズ”の背景には、どのような意図が込められていたのか。本作のTikTokプロデュースを担当した株式会社QREATION代表の米永圭佑と、TikTokクリエイターの関戸かのんに話を聞いた。

ドラマのTikTok運用は“演者の素”が重要?

ーーTikTokトレンド大賞2023で「最高の教師」がスポーツ&エンタメ部門で受賞しました。まずは、プロデュースを手掛けることになった経緯を教えていただきたいです。

米永圭佑(以下、米永):元々は、連動作品である『最高の生徒』のTikTokを担当させて頂いており、その運用がうまくいっている中で「最高の教師」も主にオリジナルコンテンツを中心に担当させて頂く形になりました。    

最高の教師-TikTok
株式会社QREATION代表・米永氏

ーードラマのSNSコンテンツをプロデュースするのは、初ですか?

米永:ドラマの現場にベタ付きで、がっつりやったのは「最高の生徒」が初めてでした。

ーー近年、ドラマの公式SNSは増えてきていますが、役者さんの素を見せるのか、それともドラマの世界観を保ちながら役名で存在するのか……と様々な方向性があります。米永さんはどのように考えていますか?

米永:ドラマは役に入っている状態の演者さんを見せるものなので、SNSでは作品の中では見られない演者さんの素の表情を引き出した方がいいという考えはありました。ドラマを介しては見ることができない人間的でチャーミングな部分、つまりは、役のキャラクターとのギャップが、視聴者の方が求めているものかな? と。

ーー親近感を抱くこともできますもんね。役に入っているときと全然ちがう! と新たな発見があったり。

米永:そうなんですよ。SNSの発信内容をドラマの世界観に合わせるか、合わせないかは、ドラマの作り手とのコミュニケーション次第。例えば、普段SNS上では和気あいあいとポジティブな部分を見せていても、ドラマの物語の展開のなかで悲しいシーンがあるなら、そちらの感情に寄り添うような動画を出したり。作品を深く知り、寄り添っていくということも、SNSのプロデュース中では大切だと考えています。

『最高の生徒』出演者の信頼を獲得したきっかけとは?

ーーでは、ここからは関戸さんにもお話をうかがいます。今回、依頼を受けたときのお気持ちを教えてください。

関戸:わたしは、自身が出役としても活動させて頂いておりますが、もともと裏方に興味がありました。なので、お話をいただいた時は、嬉しかったです。ただ、経験がなかったので正直不安もありました。でも、よくよく考えたら、わたしはTikTokで動画を見る時に「このアカウント、もっとこうすればいいのに」と思うことがあるんです。ドラマの公式アカウントに対しても、同じことを考えたことがあって。なので、実際にやってみると、アイデアはすぐに出てきました。

最高の教師-TikTok
TikTokクリエイター・関戸かのん

ーーもともと、テレビドラマはお好きでしたか?

関戸:好きですね。同世代のなかでは観ている方だと思います。

ーーエンタメ作品も、作り手側の視点で俯瞰して観ることが多いのでしょうか。

関戸:ドラマや映画を観ても、いろいろ考えてしまいます。昔から、人の心を動かす人になりたいという夢を持っていたので。今回、ドラマの現場に触れてみて、本当にやりたいことは、こういうものだったのかもしれないと思いました。クリエイターとして、ほかの方の魅力を引き出すコンテンツを作るのは自分に向いている気がします。

ーー『最高の生徒』は、演者さんも関戸さんと同世代の方が多いですよね。そのあたりのやりやすさはありましたか?

関戸:そうですね。まず、私のことを知ってくれている方もいたので、ありがたかったと同時にとてもやりやすかったです。

ーーSNSのプロデュースをするには、演者さんとの信頼関係が要になってくると思います。『最高の生徒』のTikTokは、みなさんが楽しんで撮影しているというのが動画に表れていた気がするのですが、心をつかんだきっかけはあったのでしょうか?

米永:いくつかありますが、そのうちの一つは、初めてTikTokを撮影する日に、撮影現場に定点カメラを置いてみたんです。お題が書かれた紙をカメラのそばに置いて、それを演者さんにカメラ前でやってもらう企画でした。その動画を現場で急いで編集して、現場の皆さんに完成した動画を見てもらったんです。

@saikyo_ntv 7月15日(土)22:00-スタート TVerお気に入り登録忘れずに #最高の教師 @z_drama_ntv ♬ オリジナル楽曲 - 最高の教師

ーーそれって、どのくらいの時間で編集をされたのですか?

米永:2時間くらい?

関戸:そうですね。

ーーそんなに短い時間で……!

米永:撮影してからすぐに編集したことで、演者さんたちも「さっき撮影した動画が、こんなふうになるんだ」と、前向きに捉えてくれたと思います。

関戸:初日に3本、集中して編集して、アップして。かなり大変でしたが、ワクワクしました。「絶対に、バズを狙おう!」と。

@saikyo_ntv 7月15日(土)22:00スタート TVerお気に入り登録忘れずに! #最高の教師  #3年D組 ♬ original sound - 最高の教師

米永:その努力があったからこそ、演者さんやスタッフのみなさんが完成形をイメージしてくれて、関戸さんやQREATIONチームを信頼してもらえたからこそ、現場全体でSNSを盛り上げていく空気ができたと思います。

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