SNSで話題の「日本一接客態度の悪い店」 バズった背景をYouTubeの動画から紐解く

 いま、トップYouTuberがこぞって訪れているレストランを知っているだろうか。別名“日本一接客態度の悪い店”と言われている『the LAZY HOUS』だ。そんな店に誰が行きたくなるのかと思うかもしれないが、それ以上にどんな接客をされるのか興味をそそられてしまう。そんな人の心理をうまく突いたコンセプトの『the LAZY HOUS』が、SNSで話題になっている。

 フィッシャーズやはじめしゃちょー、サワヤンチャンネル、デカキンなど、数々のトップYouTuberが『the LAZY HOUS』に来店した様子を動画で投稿している。どんな暴言を吐かれるのか、それに対してクリエイターがどんな反応をしているのかという見どころが、YouTubeというフォーマットにぴったりと当てはまっている。今回は、ひとつのムーブメントとなりつつある『the LAZY HOUS』を、YouTubeの視点から分析していこう。

 『the LAZY HOUS』がオープンしたのは、2023年の7月。昼間は『the BAKE HOUSE』という名前で、自然に囲まれてピクニックやアフタヌーンティーが楽しめるカフェとなっている。ディナータイムになると『the LAZY HOUS』に変身。接客態度が一変するしくみだ。この昼と夜でコンセプトが入れ替わるという斬新な戦略が功を奏し、インフルエンサーや若者の間で話題となっている。

 2023年11月17日、フィッシャーズが「日本一接客態度の悪い店に行って態度直させようとしたら喧嘩になってしまった」という動画を更新した。

 メンバーは「飲食店の風上にもおけねえ」と強気のセリフを言い放ち、いざ入店するかと思いきや、「勝手に入ってくんのか、早く出ろ」といきなり追い出される結果に。さすがの態度に「強火すぎない⁉︎」と焦りつつ、やっとの思いで入店に成功した。投げつけられたメニューを見ながら、注文をしていくことに。メニューは「友達が1人もいないお前らの為に用意したマンゴーと生ハムのカプレーゼ」「店にあるトマトとチーズを適当にぶっかけたマルゲリータ」というようなネーミングだ。本当に細かいところまで、コンセプトに忠実だ。

 ンダホはお土産の東京ばな奈を店主に渡したところ、「本当にセンスない」と切り捨てられ、「マイナス6点」と言い放たれた。トップYouTuberだろうがなんだろうが、容赦のない切り捨て具合である。ひと通り食事を楽しんでから一歩外に出ると先ほどとは一変し、店員たちの笑顔が並んでいた。「笑顔ってこんな嬉しいの?」と、『the LAZY HOUS』によるギャップにすっかり撃ち抜かれてしまったようだ。

 2023年11月11日には、辛口レビューや台パンなどで知られるサワヤンチャンネルが「日本一接客の悪いお店にサワヤンが潜入したらお兄ちゃんがブチギレました。」という動画を更新した。

日本一接客の悪いお店にサワヤンが潜入したらお兄ちゃんがブチギレました。

 椅子を運ばさせられた挙句「邪魔」と言われ、それに対しサワは「あとで店長さらうわ」となかなか怒りのボルテージが上がっているようだ。だが、そこはサワヤンチャンネル。料理に関しては「コーヒーうまいぜ、ちゃんと焙煎した感じあるよ」「(卵のガレット)モチモチの生地とチーズたっぷりでめっちゃうまい」と忖度なしのコメントをした。食事後はコンセプトにすっかり魅了され、サワが1日限定アルバイトをするという結果になった。

 どんなクリエイターも最悪の接客を受けたはずなのに、来店後はギャップに魅了されてしまうという不思議な現象が起きているようだ。最近だと、接客がフレンドリーすぎる『友達がやってるカフェ』もバズっている。このように、最近は若者の間では風変わりなコンセプトの飲食店が流行る傾向にある。もちろん“おもてなし”が飲食店の基本的な魅力であることには違いないのだが、このような逆張りの戦略も、ひとつの成功事例であることが証明されたのではないだろうか。

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