5周年を機に振り返る、にじさんじ・EXゲーマーズの軌跡 7名が織りなす変幻自在の魅力

5周年を迎えたにじさんじ・EXゲーマーズの魅力

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与え始めている。

 本連載は2021年7月後半にスタートして以来、にじさんじに所属しているタレント1人1人にフォーカスしたコラムを執筆してきた。この数年の間にさまざまなタレントがデビューし、または活動休止・引退し、なにより数年の時を経て1人ひとりの状況が大きく変化した。

 にじさんじの魅力といえば、1人ひとりの強い個性に留まらず、他者との繋がりでうまれる友情や関係性、そこで育まれるコミュニケーションの様子もあげられるだろう。

 今回からはにじさんじ内を中心にし、5年近くの変遷のなかで生まれてきたさまざまなグループ/同期組について記していこうと思う。このテーマで書き始めるにあたって、多くの視聴者と支持を集め、多大な注目と期待にもこたえてくれるグループである「EXゲーマーズ(通称:ゲマズ)」をはじめに取り上げてみたい。

 2018年5月2日に第1弾となるメンバーがデビューし、その後プロジェクト統合などを経てもその名を継いで現在までチームアップする7人について記していこう。

それぞれのメンバーがにじさんじの中心かつ大黒柱に成長した“EXゲーマーズ”

 「EXゲーマーズ」はにじさんじゲーマーズ出身のライバー7名によるユニット名であり、本人たちやファンの口からは「ゲマズ」「元ゲマズ」など様々な呼び方で親しまれている。それに倣って、今回の記事内では「ゲマズ」もしくは「ゲマズ組」として呼称させてもらう。

 ゲマズメンバーの7人は同じグループにじさんじ所属ではあるが、デビュー時期は3回にわかれている。2018年5月2日にデビューした叶/赤羽葉子の2人を皮切りに、7月6日に笹木咲/本間ひまわりが、7月30日には葛葉/椎名唯華/魔界ノりりむがくわわった形だ。また2019年6月に卒業した闇夜乃モルル、10月に卒業した雪汝を含めると、2019年途中までは9人のメンバーで活動していた。

 なお、彼ら/彼女らはもともと「にじさんじゲーマーズ」という1つのグループとして括られており、厳密には「にじさんじ」とは別プロジェクトとして活動していたが、2018年末のグループ統合によってこうした区分が無くなっている。

 グループの統合から約1年後となる2019年12月末に元「にじさんじゲーマーズ」メンバーによるコラボ配信がおこなわれた際、会話のなかであがった(ex-○○で元○○を意味する)「EXゲーマーズ」という呼称が好評だったことで、現在までこの呼称が使われることになった。

 ファンの方であればよくご存知であろうが、この7人のなかでも細かくコンビ/トリオのグループが組まれている。叶と葛葉のふたりによる「ChroNoiR」や、赤羽・本間・笹木・椎名・りりむの5人による「げまじょ」という分かれ方に始まり、「叶え葉」(叶・赤羽葉子)、「ござやよ」(本間ひまわり・笹木咲)、「ずしり」(葛葉・椎名唯華・魔界ノりりむ)の同期組で分かれている。

 緊張でワタワタとしがちな赤羽と、それを心地よさそうにイジる叶の「叶え葉」、テンポの良い会話が続いて笑い声が絶えない笹木と本間の「ござやよ」、「お前に言われたくない!」と互いが牽制しあうことでまとめ役不在となり、ボケとツッコミが止めどなく続いていく葛葉と椎名とりりむの「ずしり」と、それぞれがソロ配信や7人のときとは別の表情を見せてくれる。

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 また女性陣でも際立った仲の良さをみせている笹木と椎名のコンビ「さくゆい」や、デビュー直後の2018年に開催された『PUBG』の大会『PUBG VTuber最協決定戦』に出場するために組まれた叶・赤羽・本間・葛葉の4名による「シリンソウ」など、さまざまグループ・チームが「ゲマズ」の交友関係のなかから生まれた。

 なかでも「ChroNoiR」「さくゆい」は専用のYouTubeチャンネルを開設しており、ともに人気のユニットだ。とくに「ChroNoiR」は冠MCを務める公式番組『くろのわーるがなんかやる』のほか、音楽活動でもオリジナルアルバムの発売し、彼らのバックボーンやプロフィールを基にしたオリジナルアニメも公開に向けて制作されていたりと、にじさんじ内で組まれている様々なグループ/ユニットのなかでも指折りの人気を誇っている。

ChroNoiR スターブラックゲイザー (#にじフェス2022_Day2 LIVE Special Edit Ver.)
【MV】さくゆいたいそう【笹木咲 / 椎名唯華】

 基本的にソロでの配信活動が中心であるVTuberにとって、複数人でのコラボ機会は貴重だ。ゲマズの場合は「ゲーム好き」という点で集められたメンバーという経緯もあり、デビューしてから間もない頃からコラボ配信がおこなわれていた。

 いま現在のVTuber~バーチャルタレントシーンから追いかけ始めた方からすれば意外であろうが、2017年~2018年始めごろはVTuberによるゲーム配信が現在ほど多くはなく(そもそもVTuber人口自体が少なかったこともあるが)、キズナアイや輝月夜など動画投稿を中心にした活動者が目立っていた。現在ではVTuberによる生配信が非常に盛んになったが、当時はゲーム実況に対して好き嫌いが分かれるような状況もあったのだ。

 もちろん、ゲマズ以外にもゲーム配信をしていたVTuberはたくさんおり、その後はシーンの潮流が動画投稿から生配信中心へと移っていくことになったわけだが、とりわけゲマズを特徴づけたのは、当時から際立っていた個々人の性格や個性、ゲームの腕前だろう。それにくわえてコラボ配信でみせる仲の良さと、時折飛び出すエッジの効いた言動など、現在でも輝く彼ら/彼女らは頭一つ抜けて目立ち始めたのだ。

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