『バイオRE:4』本編の未回収要素を見事に補完 DLC「セパレート ウェイズ」に感じた“熱意”
レオンとエイダ、ふたりの物語を互いに補完する仕上がりに
専用のムービーなどもあるが、「セパレート ウェイズ」ではレオン編でエイダが登場したイベントシーンも交えられている。大統領令嬢を救うために戦うレオンの裏で動いていたエイダが、どのように本編に絡んでくるのかを確かめるうえでとても分かりやすい。
エイダの暗躍ぶりや魔犬ペサンタのその後など、メインストーリーを進めるだけでは分からなかった部分がつまびらかになるため、『RE:4』の理解も深まる。耐久値を加える代わりに攻撃だけでなく防御も可能になったナイフのバランスや、弾丸を作れる代わりにその素材の収納スペースを考えなくてはならないシビアなリソース管理の導入により、リメイク版は原作で物足りなかったサバイバル要素を完璧に補完した名作だが、「セパレート ウェイズ」でもって物語や世界観にも十分手が届いた。過去の『バイオハザード』作品を再構築する『RE』シリーズは粒ぞろいだが、『RE:4』はそのなかでも最高傑作と言ってもいいのではないだろうか。
『RE:5』はあるのか?
「セパレート ウェイズ」には、エイダの依頼主としてアルバート・ウェスカーが登場する。エイダとは別行動で現地に向かっており、窮地に陥った彼女を助けたり、作戦内容を伝達したりと、ウェスカーもまた違う形で暗躍していた。
物語終盤では、ウェスカーが巨大な船を拠点に活動していたことが明かされるのと同時に、ジャック・クラウザーの遺体を回収しているシーンが出てくる。クラウザーはレオンの元同僚で、『RE:4』ではアシュリーをさらったロス・イルミナドス教団の配下として行動。レオンを倒すために寄生虫のプラーガを使って挑むも、返り討ちにあった。
原作版の「セパレート ウェイズ」では、ラスボスであるサドラーの前にクラウザーと戦うのだが、今回はカットされていた。その理由が、彼の遺体の回収なのだろう。一連のシーンは完全新規なので、なにか意味があるのは間違いない。考えられるのは、『バイオハザード RE:5』の存在だ。
『バイオハザード5』の主人公は、初代『バイオハザード』で登場したクリス・レッドフィールドと、本作の新キャラクターであるシェバ・アローマ。アメリカやヨーロッパから一転、舞台をアフリカに移し、ふたりは生物兵器の闇取引を阻止するために戦う。今作の敵はアルバート・ウェスカーなので、前作に当たる『バイオハザード4』の物語で彼を出したのはその布石とも受け取れる。また、「セパレート ウェイズ」の最後に映ったモニターに、『バイオハザード5』の登場人物であるエクセラや、人をゾンビ化させる“T-ウィルス”の元なった“始祖ウィルス”と思しき画像も確認できるので、可能性は高いだろう。
『RE:4』のストーリーを補完できるだけでなく、本編で取りこぼしていたであろう原作要素の再現、さらに『バイオハザード RE:5』の可能性など、「セパレート ウェイズ」はさまざまな面が垣間見えるDLCだった。国内外で評価の高い「RE」シリーズを鑑みれば、仮に『RE5』が出るにしても、そのクオリティには期待できそうだ。
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