『Worlds』を彩る『LoL』とK-POPの繋がり “懸念”を払拭したNewJeans「Gods」の壮大な世界観
日本時間の10月10日より、韓国・ソウルにてゲーム『League of Legends』(以下、『LoL』)の世界大会となる『League of Legends World Championship(以下、Worlds)』が開催される。今年で13回目を迎える同大会は現在のeスポーツシーンにおいて最大級のイベントであり、優勝賞金は数百万ドル、同時視聴者数も数百万人という並外れた規模を誇る、まさにeスポーツの総本山といっても過言ではない存在だ。昨年はメキシコとアメリカ(ニューヨーク、アトランタ、サンフランシスコ)を舞台に開催され、日本代表のDetonatioN FocusMeを含む11地域・24チームが世界の頂に挑み、韓国のDRXが初優勝を果たしている。
もちろんその主役は大会に出場する選手たちにほかならないのだが、サッカー・ワールドカップやオリンピックがそうであるように、Worldsにおいてもイベントを盛り上げるためのさまざまな施策が実施されている。そのなかでも、eスポーツの枠を超えて大きな注目を集めるのが大会の公式テーマソングの存在だ。2014年にイマジン・ドラゴンズが参加した「Warriors」を皮切りに、毎年さまざまなアーティストが参加しており、この巨大なイベントを更に盛り上げている。昨年はポップミュージックにおけるトップアーティストの一人であるリル・ナズ・Xが起用されて大きな話題となったことも記憶に新しい。
NewJeans、リル・ナズ・Xなど豪華アーティストが描く『League of Legends』とWorldsの物語
今年のWorldsのテーマソング・アーティストとして起用されたのはK-POPグループのNewJeansだ。韓国のアーティストがテーマソングを担当するのは、これが初めてとなる。
ここで重要なのは、これらのテーマソングが単なるアーティスト側からの提供楽曲ではなく、Worlds、あるいは『LoL』の世界観と地続きの存在であるということ。リル・ナズ・X「STAR WALKIN’」のミュージックビデオでは大会の開催地となる各都市をMeikoやHumanoidといった著名な選手たちが『LoL』のキャラクターであるチャンピオンとともに巡り、戦場へと挑む物語が描かれており、気持ちの高まりを感じさせるような力強い曲調と「終わらない この息が続く限り/月光の下まで スピード上げて/星々を目指して 遥か彼方へ/I’m star walkin’」といったリリックが選手たちの想いを表現していた。
今回の「GODS」のミュージックビデオで描かれているのは、昨年のWorldsで優勝を果たしたDRXと、そのメンバー(当時)であるKim“Deft”Hyuk-kyuの物語だ。
同大会の決勝戦はDRXとT1による韓国チーム同士の対決となったのだが、実はT1に所属するLee“Faker”Sang-hyeokは、Deftと高校時代の同級生であり、世界の頂点をかけた同級生同士の戦いというドラマが巻き起こっていた(MVに学校の場面があるのはそのため)。さらに、Fakerは過去に3度のWorlds優勝という最強クラスの実績を誇るのに対して、DeftのWorlds優勝経験はゼロだった。T1がグループステージ(いわゆるシード枠)からの出場であるのに対して、DRXは予選に相当するプレイインステージからの出場で、下馬評における注目度も低いという状況からの驚異的な快進撃に、世界中のファンが大いに熱狂したのである。
ミュージックビデオではその物語がこれまでの大会の歴史や『LoL』の要素を交えながら壮大に描かれており、イマジン・ドラゴンズを彷彿とさせるような言葉の一つひとつを力強く叩きつけていくようなドラマティックなメロディと〈私は跪いて栄光を祈る/この敗者の物語を見たい者はいるのか?/もう自分を見失うわけにはいかない/この心を 共に高みへ/決して砕けぬ心で〉といった言葉が、一度ステージに立てば「神(Gods)」としての戦いへと身を投じることになる選手たちの姿を称える。最後のシーンが示す通り、この物語の続きは今年のWorldsの現場で生まれるのだ。2022年のドラマを経て、今年の大会への期待をしっかりと高める、まさに『LoL』らしい見事な仕上がりである。