分離すれば指先サイズ アンカー初のAIボイスレコーダー『Soundcore Work』は“仕事で使えるか” をリアル検証

アンカーのAIボイスレコーダーは使える?

 モバイルバッテリーやオーディオ製品で知られるアンカー・ジャパンは、2月18日に同社初となるAIボイスレコーダー『Soundcore Work』を発売した。

 本製品は、録音・文字起こし・要約を一つで行えるウェアラブル型のAIボイスレコーダー。会議や取材、打ち合わせなど、主にビジネスシーンでの利用を想定した製品だ。

 アンカーにとっては新しい分野への挑戦となる製品で、「Soundcore」ブランドが培ってきた音声技術とAIを融合させた新カテゴリのデバイスといえる。

 AIボイスレコーダー市場にはすでに多くのメーカーが参入している。「PLAUD」「iFLYTEK」「Notta」「ソースネクスト」「Viaim」……など、さまざまな製品が存在し、用途や価格帯も幅広い。そのため、録音から文字起こし、要約までを一通りこなせる製品は今ではそう珍しくない。この分野はすでに競争が激しい「レッドオーシャン」となっており、アンカーはやや遅れて参入した形となる。

 筆者はこれまで、複数のAIボイスレコーダーや録音対応AIイヤホンを試してきた。その経験を踏まえて、『Soundcore Work』を実際に使用して感じた印象をまとめたい。

「録音・文字起こし・要約」を1台でこなす『Soundcore Work』 その完成度を実機で試してみた

分離状態

 『Soundcore Work』は、会議や取材などの音声を録音し、その内容を自動で文字起こし・要約まで行ってくれるウェアラブル型AIボイスレコーダー。構成は、マイク本体(録音ユニット)とカード型の充電ケースからなる2ピース構成だ。

使い方はシンプルで、大きく分けて以下の3ステップになる。

  1. マイク本体を襟元や首元に装着し、ボタンを押して録音を開始する
  2. 録音データをスマートフォンアプリと同期する
  3. AIが音声を自動で文字起こし、要約や議事録形式に整理する

 ユーザーは「録音する」だけで、あとはアプリ側でテキスト化から要点整理までを自動で完結させられる。

 筆者が考える『Soundcore Work』の最大のメリットは、筐体のコンパクトさと軽量さだ。マイク本体は縦23×横23×厚さ13mmと指先ほどのサイズで、重量はわずか約10g。充電ケース込みでも縦60×横60×厚さ15mm、約48gと非常に小さく軽い。

 アンカーが「世界最小・最軽量クラス」をうたっているように、襟元に装着してもほとんど存在感がない。会議や取材中に視界に入り込まず、装着していることを忘れてしまうほどだ。この点は、本製品の明確な強みといえるだろう。

 付属のネックレスチェーンを使えば、首から下げて使用することも可能。ただし、衣服との擦れによるノイズが入ると、文字起こし精度に影響する場合があるため、装着位置にはある程度の注意が必要だ。

 カード型の充電ケースの使い勝手もユニークだ。「iPhone」や「Pixel」など、「MagSafe」や「Qi2」に対応したスマートフォンの背面にマグネットで装着でき、そのまま机に置いて使用できる。マイク本体をケースに固定した状態で運用できるため、紛失リスクを抑えつつ安定した録音が可能だ。

 バッテリーは、本体単体で最大8時間、充電ケース併用で最大32時間の連続録音に対応する。本体はケースに装着したままでも録音できるため、長時間の利用にも向いている。

 操作面では、物理ボタンの存在が評価を分けるポイントとなる。カチッと押し込むアナログ式のため、録音中かどうかが一目で分かる点には安心感がある。しかし、その一方でカバンの中で意図せずボタンが押され、そのまま録音が始まってしまうケースもあった。持ち運びの際には多少の配慮が必要だろう。

物理ボタンで押す様子

 音声データはAIによって高速にテキスト化され、60分の録音をおよそ6分で処理できるとされている。

 日本語・英語・中国語を含む150以上の言語に対応し、話者識別機能も備える。議事録やインタビューなど用途に応じたテンプレートを選択することで、要点整理や次のアクション提案まで自動化できる点も特徴だ。

 録音品質は非常に良好で、会話はクリアに記録される。小型ながら最大5mの範囲で音声を収音できるため、インタビューや展示会場での音声記録にも活用できる。

 肝心の文字起こしの精度は実用レベルに達している。言い直しや自然な話し言葉も含め、比較的正確に反映される印象を受けた。「えー」などのいわゆるフィラーは自動的に整理されるが、環境や話し方によっては残ることもあり、議事録として提出する場合には軽めの修正が前提になるだろう。

『Soundcore Work』は仕事をどこまで楽にするか

実際の文字起こし画面

 では、実際の業務の中で『Soundcore Work』はどれほど実用的なのだろうか。

 結論から言えば、議事録作成や取材メモの下地作りを効率化するツールとしては十分に有用。録音から文字起こし、要約までを一気通貫で処理できることで、作業の初動負担が大きく軽減される。日常的に会議や取材を行うユーザーほど、その効果を実感しやすいはずだ。

 アプリの完成度も高い。文字起こしされたテキストをタップすると該当箇所の音声へ即座にジャンプできるため、聞き直しがスムーズに行える。話者識別にも対応しており、「speaker1」などの仮ラベルを任意の名前に変更できるため、議事録用途にも適している。

 さらに、スマートサマリー機能も実用的だ。録音内容をセクションごとに整理し、プレゼンの流れや要点を俯瞰できる形で提示してくれる。実際に試した範囲では、イベントに参加していない第三者でも概要をパッと見るだけで把握できるレベルにまとめられており、共有用のたたき台として十分な精度だった。

 ただ、録音中にリアルタイムで書き起こし内容を確認できるわけではなく、会議中やインタビュー中に文脈をその場で見返すといった使い方はできない点は注意したい。他社製品にはリアルタイム文字起こしに対応するものもあるため、本製品が機能面で突出しているとは言い切れない。

実際に仕舞っている様子

 総じて本製品は、「録音して終わり」ではなく、「後処理まで含めて効率化する」デバイスとして完成度の高い製品に仕上がっているという印象だ。ただし、既存のAIレコーダーと比べても、サイズと装着自由度の高さは際立っており、日常的に持ち歩くハードルを大きく下げている点は大きな魅力と言えるだろう。

 なお、他社製品と同様に、文字起こし機能は無制限ではなく、一定量を超えるとサブスクリプション契約が必要となる。

  • Starter(無料):月300分まで文字起こし可能。話者識別・要約テンプレートなど基本機能を利用できる。
  • Pro:月額2,680円(半年10,980円、年15,980円)。月1,200分に加え、Ask AIや高度な要約機能などの上位機能を利用可能。※3月31日までの登録で6か月無料キャンペーン実施中。
  • Unlimited:年額38,980円。無制限の文字起こしと全機能を利用可能。

 利用頻度や用途によって、どのプランを選ぶか、あるいはどの製品を選択するかはユーザーごとに異なるだろう。『Soundcore Work』は、その選択肢の一つとして十分に検討に値する製品だ。

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