『ストリートファイター6』をプレイして感じた「モダン」の強さと難しさ。なぜ「モダン論争」は起こるのか

なぜ『スト6』の「モダン論争」は起こるのか

モダン相手は初〜中級者層だと難しい

 防御が固いモダン操作との試合は、特にライト層にとっては苦しいものとなる。実際に本作で最も人口の多いとされている初中級者層(~プラチナ前半レベル)の試合を観戦してみると、クラシック操作のプレイヤーが、飛び道具と対空技だけのモダン操作相手に完封されている試合を目にすることは少なくない。

 多くの格闘ゲームがそうであるように、『スト6』ではジャンプ以外の方法で相手に近づくのにはある程度の知識やテクニックが必要なため、初〜中級者帯では「飛ぶ」プレイヤーが多い傾向にある。

 ジャンプ攻撃は難しい地上戦を拒否して相手が対空攻撃をだせるかどうかの勝負に持ち込めるうえに、通った際のリターンも高いため、ここぞという時のジャンプは非常に強力だ。しかし対空攻撃をされてしまうと、逆に自分がダウンするなど不利な状況になってしまい、相手に攻める機会を与えることになる諸刃の剣でもある。コマンド入力を必要とする必殺技での対空攻撃は難易度が高く、クラシック操作では繰り返しの練習を経て安定させるものだが、モダン操作を相手にすると簡易入力の影響で甘いジャンプは通らなくなってしまう。その結果、「困ったら飛ぶ」という選択肢が通らないため、モダン操作相手に何をしていいか分からず、「モダン相手はつまらない」と感じる人は少なくないのだろう(因みに筆者も、初めて使うキャラだと何をしていいか分からないのでジャンプ攻撃が多くなり、モダン相手に不利を背負いがちだ)。

 最も層が厚いのは初〜中級者層だと考えると、モダン操作を批判する声が上がるのも理解できる。人によってはクラシック操作では難しく練習が必要な相手のジャンプを見てからの「昇竜拳」だけでなく、小技からのコンボなどを簡単に出せるモダン操作を「ずるい」と思ってしまうこともあるだろう。

 なお、これに関して筆者は「モダン操作が悪い」とは考えていない。対策方法は存在するし、モダン操作にも弱点は存在するためだ。とはいえ、「負けるのは自分の責任」といってしまえばそれまでだが、そこまでストイックにゲームを続けるのは難しい。対策法を知るまでに新規プレイヤーが離れてしまう可能性や、ゲームが膠着しやすいことは不安材料だとも感じている。

上に行くほどモダン特有のつらさが目立つ

 もちろん、モダン操作にはモダン操作特有のつらさがある。モダン操作には簡易操作で必殺技を出すとダメージが低下するほか、一部の通常技が使用できない、簡易入力では一部の必殺技で強弱の使い分けが不可能、といったデメリットが存在する。筆者もモダン操作を使ってみたが、技が少ないことで、地上戦の立ち回りの窮屈さや、高火力コンボ、強力なセットプレイができない点をつらいと感じることは少なくない。こうしたデメリットを感じる場面は、ランクが上がるほど増えていき、モダン操作でランクをあげるには、モダン特有の守りの強さや、モダン操作でしか使えないテクニックを最大限活かすように立ち回らなければならないと感じた。また、実際に操作をしてみると、アシストボタンを押したり、離したりしながら立ち回りやコンボをしないといけないのは難しく、簡易コンボを使用しない場合は独特の操作に対する慣れが必要だ。

 また、モダンだからといって必ず対空技が出るわけではなく、反応してボタンを押さないといけないので、地上戦ばかりに気を取られているとジャンプを通してしまう。特に攻める必要が出てきて前のめりになったときはなおさらだ。

 モダン操作を使用していると、どうしても守りに意識がいってしまい、相手を待つことが多くなる。モダン操作の守りを活かせばランクはある程度までは簡単に上がるが、その先では相手が無理に攻めてこなくなり ダメージレースで負けるようになっていた。モダン操作でゲームを始めた筆者の友人も同じような経験をしたと聞いており、また、コマンド入力の必要性を感じる場面もあるという。こうした悩みに直面するプレイヤーは一定数いるのではないだろうか。

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