録音から自動文字起こしはもちろん、将来的には要約やToDoリスト作成まで可能に? 開発中の機能も明かされた『AutoMemo R』発表会

 8月22日、『ポケトーク』や『筆まめ」などで知られる株式会社ソースネクストは、同社が開発する文字起こしAI「AutoMemo(オートメモ)」シリーズの新製品発表会を開催した。価格は13,860円(税込)で、9月5日の発売に先駆けてソースネクストのECサイトおよび一部家電量販店にて予約を開始している。

 発表会ではソースネクスト株式会社の代表取締役社長 兼 COO・小嶋智彰氏が登壇し、製品の詳細や開発中の機能について語ってくれた。

ソースネクスト代表取締役社長 兼 COO・小嶋智彰氏

 「AutoMemo」は、ソースネクストが開発・提供する文字起こしAI。OpenAIが開発した音声認識エンジン「Whisper」を一部に採用するなど、最適なエンジンを実装することで高い文字起こし精度を実現している、注目度の高いプロダクトだ。2021年12月には専用端末として文字起こし結果がその場で確認できるディスプレイ搭載モデル『AutoMemo S』を発売している。

 今回発表された新製品『AutoMemo R』は、よりシンプルなモデルとなっており、文字起こし結果の確認はできなくなったものの、バッテリーの持ち時間が大幅にのび、軽量化がはかられるなど扱いやすくなっている。

『AutoMemo R』

 本体重量はわずか68gと軽く、バッテリーの持ち時間は前モデル『AutoMemo S』の120時間から360時間へと、約3倍以上も長持ちになっている。ワンボタンで録音を開始する機能や、5分以上操作がないときに自動で電源をオフにする待機モードなども加わり、ICレコーダーとしてもより実用的になった形だ。

 とくに注目したいのは、将来的な実装を目指し目下開発中の要約機能だ。たとえば会議の議事録を作成する際に、1万字以上の議事録をあとから読み返すのは時間がかかる。しかし、「AutoMemo」が自動で要約し、簡潔に会議内容をまとめてくれていればサッと目を通すだけでどんな会議だったのか、何を決定したのかが振り返りやすい。

左側が元の文字起こしデータ、右側が要約されたもの

 さらに、会議で決定したことをもとにToDoリストの作成もおこなってくれる機能も開発中だという。「AさんからBさんに資料を渡す」「Cさんは◯◯日までに取引先に企画内容を提案する」といったように、決定したことだけでなく「何をすべきか」までまとめてくれるのは、かなり便利そうだ。

 小嶋氏は、最後に「AutoMemoエンジンの社外提供開始」を発表し、最初のパートナーとなった東証コンピュータシステム代表取締役社長・竹林義修氏にバトンを渡した。

東証コンピュータシステム代表取締役社長・竹林義修氏(左)、ソースネクスト代表取締役社長 兼 COO・小嶋智彰氏(右)

 東証コンピュータシステムといえば、東証証券取引所のシステム開発・運用保守を担う企業だ。今回の提携により、同社はAutoMemoの音声認識エンジンを活用した証券会社への「監査システム」の提供を目指すという。

 証券会社は国が定める金融商品取引法に則った形での営業活動と、その記録が義務付けられており、各社で監査を実施している。竹林氏が指摘するところによれば、実態としては膨大なデータ量となってしまうがゆえに属人化されたサンプリング調査しかできていない、人的・時間的コストにより全量監査には至っていないのだという。そこで活躍を期待されるのが、「AutoMemoエンジン」だ。録音データの文字起こし、要約やキーワード抽出などによって、金融商品取引法に抵触するワードの見落としを防ぎ、より健全な営業手法の推進に寄与する。

 「AutoMemoエンジン」の最初のパートナーが東証コンピュータシステムとなったことで、今後もさまざまな企業・サービスと提携していくことが予想される。今回は主に金融業界で活躍していく内容だったが、どのようなサービスと提携し、我々の暮らしにどう活かされるのか。ソースネクストの動きにも注目していきたい。

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