オランダツアーで活用した『Canon PowerShot V10』と『POCKETALK』、小さくてスゴい「ふたつのポケットガジェット」
CanonのVlog用カメラ『PowerShot V10』とAI通訳機『POCKETALK(ポケトーク)』。この手のひらサイズのポケットガジェットを渡されて、しばし考え込んでしまった。これをどうやって使おうか……。というのも、私の愛機はSONYの『RX10IV』と『RX100IV』、しかも『iPhone 14』を使っているので、これ以上のカメラを必要としていない。しかも、ビジネスレベルの英語を話せる。
だが、使ってみてわかった。Canonの『PowerShot V10』は想像を超えた良さがあった。断言する。近い将来、私は買う。
録画ができるICレコーダーとして
カメラだと思ってこの商品を手に取ると困惑するだろう。
そもそも、スマートフォンとの差別化が難しい。筆者愛用の『iPhone 14』のカメラ性能は悪くない。一眼レフカメラよりもエモい絵がとれるときもあるし、画面が大きいから視認性も良い。編集だってできてしまう。
しかし、スマホが優秀なのはカメラ機能だけではない。なんでもできるからこそ、ここぞというときのためにフリーにしておきたいのだ。
そこで、筆者はカメラとしてではなく、映像も撮れるレコーダーとして活用してみたのだが、これが大正解だった。
パワーポイントを使ったプレゼンなどでは、スマホで撮影しつつ録音することがある。『PowerShot V10』なら、自立するのでスマホ用スタンドや三脚を用意する必要がない。
しかも、マイクのクオリティが高いので、スマホに外付けマイクをつける必要もないのだ。
撮ったデータをAI文字起こしツールに流したり、録画映像を見ながらプレゼンテーションのおさらいをしたりできる。
記者でなくとも、授業やセミナー、研修会、勉強会に参加する人は便利さを感じてもらえるだろう。このカメラができるポテンシャルは信じられないほど高い。
カラビナでショルダーストラップに吊るせる
メディアツアーの間、筆者はスタンドにカラビナを通し、ショルダーストラップに吊るしていた。カメラ、スマホ、『PowerShot V10』をTPOに合わせて使い分けたのだ。
スマホでもできることだが、スマホはクラウドのデータ容量を気にしなければならない。筆者は「PowerShot V10」に128GBを入れているので、容量を気にせずにいられた。
精度の高さを感じたポケトーク
先にも書いたが、筆者は英語でコミュニケーションが測れるので、基本的に『POCKETALK(ポケトーク)』は必要ない。
だが、せっかく試す機会を頂いたのだから、“日本語⇔オランダ語”を試してみた。
というわけで、滞在先の一つだったホテルコンシェルジュに協力してもらった。5ヶ国語話せる彼にオランダ語で話してもらい、『POCKETALK(ポケトーク)』に日本語訳してもらってから、その内容が実際に合っているのかを英語で確認し合った。1発目の実験では「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか? 」というオランダ語→日本語。これは完璧だった。
2発目は少し難易度を上げた。「50ユーロの現金を持っています。お金を最大限有効活用するにはどうしたらいいですか。ホテルの外に行く時間は10分間とします」と日本語で質問した。これをオランダ語に訳してもらった際、ひとつの単語だけミスがあったそうだが、混乱を生じさせるほどのものではなく、意味は通じるので問題なしと判断された。
そして、彼はかなり長く話し始めた。
翻訳してもらうと、2つのことを勧めてくれていたようだ。「まずはホテル周辺で開催されているツアーに参加すること」そして「美術館などにいくこと」だった。
制限時間を10分と伝えたので、「その10分を使って観光プランを立ててはどうか」と提案してくれたのだ。自由時間ができれば、その10分で考えたプランを実行することもできるし、たとえ自由時間が作れなかったとしても、そのために街を少しでも歩いたのであれば、軽い観光だって済ませられる、というわけだ。
彼の頭の回転の速さと的確な提案に驚いたし、『POCKETALK(ポケトーク)』の精度の高さにも感心させられた実験だった。
ただ、実際に使ってみて感じたのだが、『POCKETALK(ポケトーク)』は海外旅行や海外出張で使うというより、日本で使うのに向いている。
というのも、海外では基本的に英語が通じる。観光目的で観光地に行くのなら難しい英語も必要ない。なんなら、スマホを使えば良い。
だが、昨今の日本はインバウンドで海外からの旅行者が増えており、英語が共通言語である可能性は低い。言葉が通じないために入店を諦めたり、サービスを受けられなかったりする観光客を見かけることがある。
日本への移住者が増えてきた地域なら、郵便局やコンビニエンスストア、スーパーのサービスカウンターなどにあると便利だろう。自分のスマホを取り出すよりも、従業員で共有できるデバイスがある方が便利だからだ。
長々と書いてしまったが、冒頭でも書いた通り、『PowerShot V10』は「買い」だ。ポケトークには筆者以外の方と良い関係を築いてほしいと思う。
◎参考情報
https://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/v10/
https://pocketalk.jp/device