街でも山でも乗るのが楽しくなる ボルボの傑作ミドルサイズSUV『XC60』

ボルボの傑作ミドルサイズSUV『XC60』

 ミドルサイズのSUV・ボルボ『XC60』は世界中で支持される同ブランドのベストセラーモデルになる。この大ヒットもあり、最近はボルボ=SUVというイメージが定着している程だ。同車はB5とT6の2つのシリーズに分かれており、電動化を進めるボルボの公約通り、いずれもハイブリッドモデルで、T6シリーズだけ外部充電が可能なプラグインハイブリッドになる。

 今回、リアルサウンドテック編集部のアウトドア企画に連れ出したのは『XC60 リチャージ Ultimate T6 AWD プラグインハイブリッド』。なおリチャージとはボルボのラインナップのなかでも外部充電可能なモデルに付けられる呼び名で、この名前が付いているモデルは、プラグインハイブリッドまたは完全EVのピュアエレクトリックのどちらかというわけだ。

 またUltimateはグレード名で最上級モデル。早い話、『XC60』でももっともいいグレードなのだ。しかしながら誤解なきようしていただきたいのは、最上級グレードだから素晴らしいとなど、そういうヒエラルキーにないのがボルボのいいところ。モデルごとに個性を持たせ、オーナーの好みのベクトルに対応している。

EV走行距離は81km

 2022年7月に大きな仕様変更を受けた現行モデルは、バッテリーとモーターが強化され、EVらしさがより強い味付けとなっている。たとえば、それまでのモデルはエンジンをメインにしていた感が強かったが、今回はモーターを主役に据え、より力強い走りになった。

 また、EVモードの航続距離は大幅に増え81kmの電動走行が可能に。単純計算だと片道2、30kmの移動ならば自宅で満充電になっていればガソリンを使わないでも済む。あるいは目的地に充電器があればガソリン消費は少なくて済むというもの。気になる充電は200V16Aの普通充電に対応し、満充電までは約4時間半から5時間とされている。

 しかしながら今回の試乗ではゴー&ストップの多い街中ではオートモード、エンジンが必然的にかかる高速道路ではチャージモードといった具合に使い分けることで、充電体験はしていない。それでも全く問題なしで、EVとしても使い勝手が良いことになる。

車重をものともしない力強さ

 走り出せば基本的にはEVモードで走行する。車重はカタログ値で2180kgあるのだが、2t越えのクルマとは思えない力強さが魅力だ。力強さは扱いやすさにつながり、車線変更時など気構えなく行く先の流れを乱さずに流れに乗れる。

 これは高速道路でも変わらず、巡行速度から隣の車線への加速など、とても2tオーバーのクルマとは思えない加速力を発揮してくれる。流れに乗るどころか流れをリードするのも朝飯前。これでエンジン自体は2リッターターボというのだから恐れ入る。

 パワーユニットは253PSを誇る2リッターの直4ターボを基本として、フロントに71PSのモーターとリアには145PSのモーターを載せる。組み合わされるミッションは8AT。試乗中パワー不足を感じることは一度もなく、誰でも享受できるまっすぐの加速も気持ちいいのだ。また背の高いSUVにありがちな車線変更時のフラフラ感もなく安定した姿勢なので車線変更が苦手なユーザーにも体感していただきたいくらい。

悪路でも実力を発揮するエアサスの万能感

 さて、試乗車の最低地上高は『XC60』の中でももっとも低い200mmだが、装備されているエアサスペンションは若干車高が変わる仕掛けがある。ドライブモードをハイブリッドを普段使いとすると、パワーモードにすると車高が少し下がり、ステアリングをはじめとする様々なレスポンスがより敏感になる。

 いわゆるスポーツモードと思っても差し支えはない。そしてオフロードモードでは車高が一番高くなる。下り坂で有効なヒルディセントコントロールも起動する。今回の撮影は山の中だったが、未舗装路に入るにあたり、かなりこのモードが有効だった。またカタログ値の最小回転半径は5.7mとなっているが、高いアイポイントやステアリングの切れ角などその数値より小回りがきく印象だった。

上質で快適な室内

 さすがにこのクラスのSUVだけあって、室内は広い。ボルボの魅力のひとつとしてあげられるのが、自然なドライビングポジションを取れること。これは不思議なことに年代を問わず、どのボルボ車に乗ってもリラックスしたポジションが取れる。

 ペダルの位置しかりでリラックスした運転姿勢はそのまま運転に直結する。安全神話を持つボルボらしい一面でもある。ちなみに試乗車のUltimateのシフトノブはノーベル賞の晩餐会のワイングラスで有名なオレフォス製。オレフォスもボルボ同様スウェーデンのブランドでもある。そして、音声でいろいろ操作できるグーグル搭載のインフォテインメントシステムも仕様変更の目玉だ。ライバルブランドのような派手な華美に走らず、質の良いものをふんだんに使うボルボの内装、まさにスウェーデンのラゴム精神なのだ。『XC60』669万円から、『XC60リチャージ』は874万円からの価格設定だ。

◎参考情報

ボルボ
https://www.volvocars.com/jp/

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