センサー、スイッチ、材質……日々進化するゲーミングデバイス! 名店『パソコンSHOPアーク』のスタッフが語る“自分の感覚を信じて選ぶ重要性”

自分の感覚を信じてデバイスを選ぶ重要性

マウスの軽量化路線はモータースポーツの域に突入!? 要注目の次世代デバイスたち

――それでは、ゲーミングキーボードについてはいかがでしょう。

磯田:キーボードに関しては、ゲーミングデバイスメーカーのSteelSeries(スティールシリーズ)社が2019年に発売した「Apex Pro(エーペックス プロ)」シリーズが大きな話題となりました。私見ですが、ゲーミングキーボードの歴史は「Apex Pro」の登場以前とそれ以降にわけて語られるのではないか……というくらい、まさに新時代の幕開けを感じさせるような画期的な製品だったと思います。

 「Apex Pro」シリーズの最大の特徴は、新開発された「磁気ホールセンサー式キースイッチ」を搭載していることです。これにより従来のキーボードと比べて、キー入力の応答速度が飛躍的に向上しているうえに、アクチュエーションポイント(※2)も自在に調整できるようになっていました。

 この「Apex Pro」シリーズの登場を皮切りに、より高性能・高品質なキースイッチを搭載したキーボードをお求めになるお客さまも一段と増えていった印象があります。

 最近ではWooting(ウーティング)社の『Wooting 60HE』や、東プレ社の「REALFORCE GX1(リアルフォース ジーエックスワン)」シリーズなどを筆頭に、アクチュエーションポイントの調整機能だけでなく、“押し込んだキーをどのくらい戻したら入力がオフになるか”というリリースポイントの調整までも可能とする製品すら登場しています。

【※2:アクチュエーションポイント】……キーを押し下げてから実際に入力がONになるまでの深さ。たとえば「アクチュエーションポイント4.0ミリ」なら、キーを4.0ミリ押し下げると入力が反映される。

SteelSeries社「Apex Pro」シリーズの『Apex Pro TKL』。

――とっさにキーを入力する、もしくはキー入力をやめる必要がある場面などで大いに活躍しそうですね。もうひとつ、マウスパッドについても教えていただけますか。

渋谷:あくまで個人的な印象ですが、マウスパッドはその他のゲーミングデバイスと比べて、とくに近年、加速度的にお客さまの注目度が高まっている分野だと感じています。ひと昔まえまでは、それこそ「ゲーミングPCを買ったときにサービス品で付属していたマウスパッドでいいや」という方も多かったように思うのですが……。

磯田:自分がPCゲームを始めたてのころは、畳の上でマウスを動かしていました(笑)。

渋谷:私も、初心者のころは段ボールがマウスパット代わりでしたね(笑)。……そうした風潮が一気に変わったのは、2020年ごろからでしょうか。eスポーツなどのプロ選手が、ライブ配信上で自身のマウスパッドコレクションを披露したり、オフライン大会にマウスパッドを何種類も持ち込んでいたりする姿が多く見られるようになり、「自分もあの選手と同じマウスパッドを使ってみたい」というお客さまがかなり増えたように思います。

 なかでも人気を集めたのは、BenQ(ベンキュー)社のゲーミングブランド・ZOWIE(ゾーウィー)より発売された『G-SR-SE』や、CHERRY(チェリー)社のゲーミングブランド・Xtrfy(エクストリファイ)の『GP4』。あとは、ARTISAN(アーティサン)社の『NINJA FX(ニンジャ エフエックス) ゼロ』も急速に需要が高まりましたね。ARTISAN社の製品はとくに日本人選手の使用率が高く、いまでも弊店では1日に何枚というペースで売れています。

ARTISAN社の『NINJA FX ゼロ』をはじめとする各種マウスパッド。

――そのほか、おふたりが注目されている製品はありますか?

渋谷:マウスの話題に戻りますが、ここ最近は各社の軽量化競争が熾烈を極めていますね。

磯田:従来のマウスは外装にプラスチックの樹脂を使用している製品がほとんどで、軽量化といえば外装に肉抜き穴を設けたり、個々のパーツの重量を可能な限り削ぎ落としたり、というパターンが多かったんです。

 しかし、Final mouse(ファイナルマウス)社が発売する「Starlight(スターライト)」シリーズにおいて、外装にマグネシウム合金を使用した製品が登場したことで、軽量化競争にブレイクスルーが起こりました。何しろマグネシウム合金は、モータースポーツの分野でも採用されているほどの軽量&高強度な素材ですから。

 マグネシウム合金まで使うようになったら、あと行き着く先はカーボンファイバー系の素材くらいしかないんじゃないかと、私たちも睨んでいたのですが……。

渋谷:予想どおり、Final Mouse社から今年(2023年)の2月に発表がありましたね。ティザームービーから読み取る限り、最新製品の『Ultralight X(ウルトラライト エックス)』ではカーボンファイバー系の素材を使用しているらしく、本体重量はわずか29グラムとなるようです。

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