Brave group、ななしいんくの現状から紐解く、“VTuberシーンの現況と趨勢”

“VTuberシーンの現況と趨勢”

4月以降も落ち着かない状況が続くが、それでも前を向くタレントとライブへの期待

 4月に入ってからは、不安と期待が綯い交ぜになったニュースが続くこととなる。

 不磨わっとの活動引退、瀬島るいの誕生日ライブの中止・活動休止発表など、数年に渡って活動してきたメンバーが次々と離脱を発表した。

 ファンにとってなによりショックだったのは、『周防パトラ Solo Live “kawaii holic ahibuya”』の開催にあたって、運営スタッフの不備により本来のクオリティに届かない状態での開催になるとして、本人が謝罪を口にしたことだろう。

 4回目のソロイベントで、「Spotify O-EAST」とこれまでにない規模の会場でおこなわれるライブを楽しみにしていたなかでのこの一報は、リスナーはもちろんパトラ本人も大きなショックを受けたようだ。その後には配信枠を設け、彼女自身の口から説明がなされた。

ご心配おかけしてすみません!【周防パトラ】

「この間のリハをみて、(やろうとしていて)出来ていなかったことが発覚しました。きちんと運営さんからパトラにも謝罪がありました」
「いまからでもクオリティを向上できるよう改善案を提案してくれたり、本来ならリハーサルスタジオではできないと言われたものができるようになったり、舞台を良くしてくれています。厚かましいかもしれないですけど、ぜひ見てほしいと思ってます」

 リスナーはもちろん、パトラ自身も不安であろうなかで非常に前向きなコメントを残している姿には頼もしさを感じずにはいられない。後日のリハーサルでも目まぐるしく変わったステージを褒めつつ、報告後におこなわれた彼女の配信では「Pantera」「Megadeth」「METALLICA」など“メタル魂”全開でギターをかき鳴らしていた。まるで鬱憤を晴らすかのようであり、筆者もおもわず見惚れてしまった。

 

【ギター】アニメ声の女がエレキギターを弾いています! Les Paul Gibson【周防パトラ】

 この一連の流れを見ていると、「運営スタッフが上手く動けていないのでは?」と感じる方もいるだろう。

 活動休止をアナウンスした瀬島るいがコメントした「周防パトラさんのソロイベントの準備がままならない状況で、自身の3Dライブを実施することがどうしても受け入れられなかった」という内容は、運営スタッフの内情を慮る気持ちとしても読み解ける。

 ななしいんくのメンバーといえば、ここ数年はテレビ番組『ガリベンガーV』を中心にテレビ出演も多くこなしており、こういったタレント業務に不得手ではないのは明らか。だが、一方で運営側に目線を向けてみると、先述したようなコロナウイルスの影響とその対処に追われ、イベントの告知などでどうしても後手に回ってしまった部分があるのだろう。

 そこにグループ統合が加わったことで、2023年に入った現在もバタバタとした状況が続いており、ファンの期待を大きく裏切ってしまった……といったところだろう。

 だが、ななしいんく周辺がいつもネガティブなニュースばかりではないことも付け加えたい。

 おなじ4月には「天羽衣」「いなうるう」「日向ましゅ」と新人タレント3名がデビューを果たし、初々しい姿を見せてくれている。

 そこに加え、オンライン3D無料ライブ『NANASHI Sing up vol.1-Sparkle-』が5月に、6月と7月には2か月連続のライブイベント『太陽と月とエトワール』が開催と、3か月に渡ってライブイベントが続くことが発表された。『太陽と月とエトワール』に関しては、ライブ会場が「Spotify O-EAST」と「Zepp Shinjuku」であることも明らかになり、力の入ったイベントになりそうだ。

 こうして直近のニュースや過去数年の流れを振り返ってみると、ななしいんくの周辺はポジティブなニュースとネガティブなニュースとが混ざり合った状況であることがよくわかるだろう。リスナーだけでなく、所属タレントからも不安な声が上がってしまうほど、ななしいんくはいま激動の時を迎えている。

 ここ何年かにわたってマイナスな出来事が重なるなか、ファンの不安を一発で吹き飛ばすようなビッグニュースが急に現れるとは思えない。だが、現状のドタバタとした状況が落ち着いた先に、ななしいんくの快進撃が訪れることを期待して見守っていきたいところだ。

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