連載「バの音楽事情」
VTuberの音楽を追う新連載 第一回:響木アオ、周防パトラ、Kogarashi、YACA IN DA HOUSEの良曲たち
バーチャルキャラクターたちのオリジナル楽曲が増えてきた。透過ディスプレイを用いたリアルイベントや、ヘッドマウントディスプレイで参加できるVRライブ。キャラクターコンテンツでありながらも、アイドル的な売り出し方が一般的なバーチャルYouTuberの世界において「歌」は必要不可欠な武器と言ってもいい。事実、昨今では多くのバーチャルYouTuberが「歌ってみた」を投稿し、「歌」でファンを惹きつけている。
キズナアイの「Hello, Morning」や輝夜月の「Byond the Moon」などのはバーチャルYouTuberというコンテンツの中でアンセム的な楽曲になりつつあり、またファンソングがそのまま公式楽曲に採用されるという珍しい事例も散見される。さらに「作曲系バーチャルYouTuber」として活動する個人トラックメイカーによる作品が動画として投稿されることも増えているようだ。この連載では「バの音楽事情」と題し、企業・個人関わらず、バーチャルキャラクターとして活動する彼らの楽曲を筆者のチョイスで紹介していく。この連載を通して、まだまだ注目度の低い個人の音楽作品などにもスポットライトが当たることを願う。
響木アオ - ひらりフワリ
作曲家兼歌手としてavexからダブルデビューを果たした「響木アオ」による楽曲。「ChuChuChu♡だーりん」や「電子のシンフォニー」など、彼女を代表する楽曲は明るくキャッチーなものが多いが、「ひらりフワリ」は感動的で伸びやかな編曲になっている。イントロで咲きクラできる曲は最高。「響きあう」というフレーズもサビの歌詞にバッチリ組み込まれており、聴くときに聴いたら多分泣く。渋谷で行われた「ダブルデビュー記念ライブ」に筆者も参加したが、セトリにこの曲が組み込まれておらず、泣いた。また行くつもりである。Apple musicでも配信されているので、是非ともフルで聴いて頂きたい。
周防パトラ - ぶいちゅっばのうた
いちからが制作協力するバーチャルYouTuberグループ「HoneyStrap -ハニーストラップ-」所属の「周防パトラ」による楽曲。企業所属にも関わらず作詞作曲編曲を全て自分で務めるというツワモノっぷり。ジャンルとしては日本のオタク・クラブシーンで爆発的に流行した「Kawaii Futurebass」。フィルターで波打たせたコードシンセと8bitな音使いが「まさにKawaii Futurebass」といった感じで気持ちいい。スラップベースがゴリゴリに動きまくるのにも注目。また彼女の可愛らしい歌い方もサウンドにマッチしており、聴けば聴くほどにクオリティの高さを感じる。楽曲の販売や配信などはしていないらしく、音源が手に入らないのが辛い。