『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』の成功が映し出す、現代ゲーム市場のあるべき姿とは?

「エグゼ」復刻から考える、ゲーム市場のあるべき姿

ポイントはユーザー目線? トレンド化するリメイク・リマスターの好例に

2ndトレーラー 『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』

 「ロックマンエグゼ」シリーズに対する人気・評価を裏付けるように、今回の復刻・完全版の発売は界隈を熱狂の渦に巻き込んでいる。SNSには、「青春時代に熱中してプレイした人」「評判は耳にしていたものの、これまで手に取る機会に恵まれなかった人」「シーンの盛り上がりを目にし、事前情報なしで手に取った人」などが入り乱れている状況だ。そして、今回の発売に対する彼ら全員の評価は、“ほぼ1点”に帰結している。

 近年では、あらゆる大手パブリッシャーからリメイク・リマスターが乱発されている。「本当にシーンに求められていたもの」「遺産を切り崩しての目先の売上確保が透けて見えるもの」「まだ復刻するには時間がそれほど経っていないもの」など、その性質はまちまちだ。ユーザーたちは、そのような市場の状況に辟易しつつある。「面白かった」という声の対極に、「リメイク・リマスターばかり」という声が位置する例も珍しくない。こうした動向は、絶頂期にくらべ下火になった日本の音楽市場の“ベスト盤商法”にも似たところがある。ユーザーの体験が重視されやすい現代において、やや時代錯誤的と言わざるを得ない。

 『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』の発売と、それをめぐるフリークたちの反応は、日本のゲーム市場のあるべき姿を映し出しているのではないだろうか。ファンにとっては、“10年越し”の夢だった「ロックマンエグゼ」シリーズの復刻。適切なタイミングにユーザーが求める形で世に出したカプコンの英断に敬意を表したい。

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