にじさんじが誇る“歴代最高のステイヤー”ニュイ・ソシエールの魅力　丁寧な分析と深い愛情が生む抜群の安定感

　もう一つ、ニュイの活動を振り返る上で欠かせない要素といえば「馬」である。

　初配信では彼女が好きな往年の名馬を次々とあげていき、デビュー時点から日本競馬についてある程度の知識をもっていた。その理由として、父親の影響で競馬が好きになったと語り、その後自身の配信活動にも大きな影響を与えてきた。

　たとえば、ゲーム配信においては『WinningPost 8』『Winningpost 9』『G1牧場ステークス』と数々の競馬シミュレーションゲームをプレイしてきている。ちなみに、育成する馬たちには自身のビジュアルにひっかけて少々センシティブなニュアンスを含む馬名をつけており、これも彼女がオジサンと言われてしまう由縁になっている。

　2021年2月末にリリースされた大人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』もしっかりとプレイしており、育成ウマ娘やイベントストーリーが新たに登場するたびにシナリオをプレイする配信をおこなっている。その際もニュイは他ゲームと同じく「ストーリーを楽しむ」ことを優先するスタンスを貫いており、RPGゲーマーらしくキャラクターの機微に目くばせし、競馬好きならではの知識・視点でストーリーを読解していく。感情移入のあまり配信の最後にも鼻をすすって感情を露わにしてしまうほどだ。

　元夢女・競馬好き・RPGゲーマーとして培ってきた“超高精度”なストーリー読解力に加え、感情豊かにリアクションしていくニュイ・ソシエールのウマ娘配信は、時には他ゲームの配信よりも多くの視聴者を集めることも多く、好評を博している。

　それから、競馬ファンにとって土日といえば重賞レースが走る日ということもあって、気合の入る方も多いだろう。ニュイ自身もその例に漏れず、土日にはリスナーとの競馬同時視聴枠を取り、ここ数年の日本競馬を見てきた現役の競馬ファンである。

　視聴するのは主にG1レースがメインとなるが、2022年には23回もの競馬同時視聴枠を取り、サラブレッドたちの熱きレースを見守ってきた。デビュー時から数年に渡って馬券を購入することはなかったが、2022年3月の大阪杯からは実際に馬券を買い始めており、購入締切のギリギリまでリスナーとともに予想している姿がそこにある。

　2020年11月6日に配信された自身の3Dお披露目配信にも競馬の要素が盛り込まれており、『おニュイ3D記念特別』と題して彼女にゆかりのあるメンバーが馬に騎乗して競争するというコーナーもあった。

　この他にもニコニコ動画などでは自身の名を冠にした生放送企画がおこなわれたり、2020年末にはBS日テレの番組「有馬でV！～Vチューバーによる競馬応援バトル～」でテレビ出演を果たしている。

　直近では、国内最大級の競馬情報サイト「netkeiba」のYouTube番組に出演を果たしている。競走馬だけでなく、騎手・馬主・調教師に、競馬番組の実況・解説や競馬ファンという様々なタレントが出演してきたが、こうしてバーチャルタレントが出演するのはかなり異例なことだ。

　「にじさんじで競馬といえばニュイ・ソシエール」と評判を固めているのがわかるだろう。

　ちなみに、『ウマ娘』をきっかけに競馬に興味をもった瀬戸美夜子がニュイに「2020年の競馬ってどうすごかったのか？」と尋ねたところ、詳しくない彼女にむけて圧倒的熱量で返答されたという。こうした薫陶を受けたおかげか、それから約2年ほど経った現在、瀬戸もすっかり競馬に詳しくなっているようである。

おニュイちゃんに「2020年の競馬がめっちゃすごかったらしいからおニュイちゃんに聞いてみたいです」って気軽に送ったらスクショ4〜5枚くらい文字書いてくれた（多分読みやすくしてくれててこの量）
そして詳しくない俺でもめっちゃ分かりやすかった・・・おニュイちゃんありがとう・・・

— 瀬戸美夜子📷💚18歳JK (@seto_miyako) April 3, 2021

　さて、前回紹介した同期の葉山は「深夜組」とあって、ニュイとは普段の配信時間が約12時間ズレているわけだが、互いにRPG好きという共通項もあって仲は良好であるようだ。「昼のニュイ、深夜の葉山」とにじさんじにおいてそれぞれの時間帯を代表するほどのゲーム配信者へと成長し、しかも同期同士でゲームの嗜好性がここまでマッチしているのはかなり珍しい。

　よく笑い、よく叫び、よく泣き、ボケ・ツッコミを思い切ってこなしていくニュイ・ソシエールの配信スタイルは、競馬・RPGなどをキッカケに見に来たリスナーを魅了し、あっという間に自身のファンへと変えてしまう。

　「自分自身はどういったタイプなのか」と冷静に見極め、にじさんじを選び、数年の配信を通して自分のスタイルを確立、リスナーとも非常に良好な関係を築くことができたのだ。これからもアレやコレやと届く様々なコメントや期待をうまく乗りこなす彼女のままに、“バクシン”してくれるはずだ。