にじさんじが誇る“歴代最高のステイヤー”ニュイ・ソシエールの魅力 丁寧な分析と深い愛情が生む抜群の安定感
「にじさんじのオーディションを受けた理由は?」
この問いに関して、ほとんど口を開かないメンバーもいれば、赤裸々に語るメンバー、あるいはこれからオーディションを受けようと考えている人に向けて応援するメッセージやアドバイスをするメンバーなど、スタンスはさまざまだ。
そうしたなかで、ニュイ・ソシエールはこの問いに赤裸々に答えたことがある。配信がおこなわれたのは2020年4月5日、ちょうどコロナ禍によって社会が停滞気味だった時期で、まだVTA(バーチャル・タレント・アカデミー)が存在しなかった頃だ。リスナーからのメッセージに答えつつ、自身の経験を語っているわけだが、「わたしが他のにじさんじメンバーのオーディション話を聞きたいから」と挟みつつ1時間近くに渡って語る貴重な内容となっている。
その配信のなかで、彼女はハッキリとこのように語っている。
「『ホロライブさんはアイドル感が強く、にじさんじは芸人気質を感じる。だからわたしはにじさんじを受けました』とオーディションで話した。ホロライブに入ったら浮いちゃうような気がして、にじさんじを受けたんだよね」
ニュイは自身を「芸人枠」の側だとおいたようだが、その自己評価はたしかだろう。ビジュアルからは麗しい女性らしさが醸し出されているが、ライブ配信で見せる姿を「オッサン・オバサンっぽい」とリスナーから評されることもあるのだ。
お酒と競馬を好んでおり、幼いころに空手を習っていたこともあってかK-1などにも造詣があり、PR案件配信がキッカケとなって野球にも興味を持つなど、渋い趣味にハマりがちで、後述する犬山たまきとのコラボ配信では「おっさん?」とタイトルに付けられてしまったほどだ。
これに加えて漫画やアニメなどのサブカルチャーもほかのライバー同様に嗜んでおり、自身の嗜好性について「妄想夢女」「同担拒否」と語っている。「自分の部屋でジャージを自脱ぎ散らかし、それを推しが脱ぎ捨てたものだと思い込む」という突飛なエピソードをスタンダードだと話していることからも、その造詣の深さ、あるいは業の深さがおわかりいただけるだろう。
また、彼女にとって初の外部コラボとなった犬山たまきとの配信や、仲の良いアンジュ・カトリーナとのコラボ配信で、そのアクの強さをさらに深く知ることができる。
ニュイのよく知られている性質といえば、ゲーム中に興奮したりビックリするとドデカイ声で叫ぶことがあること。そうした姿は頻繁に見られ、自他共に彼女の“鉄板ネタ”として認められていることからYouTubeのコメントで利用できるオリジナルスタンプには「う」「わ」「あ」「!」の絵文字が4文字設定されているほどだ。またその叫び声が、大山のぶ代が演じていたころの国民的アニメキャラ「ドラえもん」に似ていることを指摘され、一時期は「ソシエもん」とまで言われていた。
また、ニュイは自身のビジュアルも影響してかセンシティブなネタにも比較的寛容的だ。配信中に下ネタの話題になったとしてもしっかりと乗っかる姿や、配信の切り抜き動画に寄せられていたコメントに疑問をいだき、のちの配信で興味津々に「男性って……」と尋ねるなど、リスナーを驚かせることも多い。『Minecraft』のプレイ配信において、約3時間40分ほどあるアーカイブのうち、後半1時間が「男性目線による性教育」とそこから派生したお笑いトークで占められたことからも、その寛容さがおわかりいただけるだろう。
人見知りなところはあるものの、幅広い趣味の範囲を活かす会話運びには、お笑い芸人から自然と受け取った学びが活きているように思う。一時期お笑い芸人にハマっていたことがあり、「チュートリアル・ロザン・ピース・オードリーらが好きだった」と話し、配信中もお笑い芸人について言及することがある。
こうした彼女の気質や配信内の雰囲気もあわさり、リスナーからのコメントもボケ・ツッコミ色がかなり強く、ニュイとリスナーによる掛け合いが延々と続いて配信が盛り上がっていくのが、ニュイ・ソシエールの配信が持つ魅力だ。