あの人のゲームヒストリー 第二五回:柳美稀
ゲームから得たものを“表現の糧“に 『ジュウオウジャー』『賭ケグルイ』などで知られる柳美稀が語る「ゲームとともに歩んだ20年」
配信ではイメージとのギャップを楽しんでほしい
――最近はゲーム配信にも積極的にチャレンジされていますよね。どのようなきっかけで始めようと考えたのですか?
柳:ずっとやりたかったんです。というのも、オンラインで開催されているカスタム大会に出てみたくて。声がかかるのは配信者の方だったりするので、出たいなら自分も配信しないとダメだ、と。
あとは『〈RAGE PARTY 2021〉Apex Legendsベストトリオ決定戦』に出場したとき、私の視点が観たいという声が多くあったことも理由になりました。チームメンバーのゆふなさん、黒田瑞貴さんはそれぞれのチャンネルで自分の視点を配信していて。「私なんかのプレイでも観たいと言ってくれる人がいるんだ」と知れたことが一歩踏み出す勇気にもなりました。
――始めてみてどうでしたか?
柳:すっごく楽しめています。素のリアクションをしてしまっているんですが、視聴者さんからはその姿も新鮮でおもしろいと言っていただけて。第一印象ではクールに思われがちなんですが、配信で見せている姿がほんとうの私です(笑)。そのギャップを楽しんでもらえたらうれしいですね。
――負けても楽しそうにプレイしている姿が印象的でした。
柳:エンジョイ勢なので負けても不機嫌になることはなく、基本的に笑っていますね。カメラがオフでも、身振り手振りをつけてはしゃいでいます。
――ありのままの姿を見せることに周囲から反対意見はありませんでしたか?
柳:まったくありませんでしたね。私も心配だったのでマネージャーさんに相談したんですが、「もっと素の柳美稀を出していくべき、むしろやった方がいい」と背中を押してくれました。
――映像作品や写真ではわからなかった柳さんの親しみやすさが視聴者さんにも伝わるといいですね。
柳:ほんとうにそう思います。実際に配信を始めてからのほうが、いっしょに遊ぼうと誘ってくれる方が増えました。
――楽しいこと以外にもメリットがあったんですね。
柳:はい。最初は仕事にマイナスの影響があるかもしれないと躊躇していましたが、いまでは始めてみて良かったと思っています。
3月31日公開の『映画刀剣乱舞-黎明-』。原案ゲームの実写映画化第2弾に出演するにあたり、苦労したポイントは
――3月31日には柳さんが出演した『映画刀剣乱舞-黎明-』が公開となります。原案がゲームであることはご存知でしたか?
柳:はい、存在は知っていました。
――情報が解禁されたときには、柳さん演じる「実弦」の独特のポジションやキャラクター、設定などが話題になっていましたね。
柳:「ギャル審神者」や「高速バス」、「はかた号」といった「実弦」にまつわるワードがたくさんトレンド入りしていましたよね。トレンド1位になるのははじめてのことだったので、とても驚きました。
――原案ゲームの映画に出演するにあたっては、さまざまな想いがあったかと想像します。撮影で苦労したポイントなどはありましたか?
柳:刀剣男士のみなさんなど、原案に登場するキャラクターが多いなかで、映画オリジナルのキャラクターである「実弦」をどのように演じるべきか、この点には戸惑いました。けれど、これまでの出演作品で尖った人物を演じさせていただく機会が多かったので、「このキャラクターは私にしかできない!」と、自信を持って撮影に臨みましたね。
また、「実弦」はいつもハイテンションなキャラクターで、シリアスなシーンでも空気を読まずに会話に入っていくんです。でも、普通は場の雰囲気に気持ちが流されてしまうじゃないですか? 特に私は引っ込み思案なところがあるので、温度やタイミングを読まないことが難しくて。それを覆すために、撮影中はカメラが回っていなくても、ずっとハイテンションでいるように心がけました。共演者さんにはいつもハイテンションなやつだと勘違いされていると思います(笑)。
ゲームがなければ、いまの柳美稀は存在していないかもしれない
――小学1年生から現在まで、約20年間のゲーム遍歴のなかで、プレイしていて良かったと思えた瞬間はありますか?
柳:もちろんあります。ゲームをプレイしていたことで繋がれた友人がたくさんいるので、ゲームにはいつも感謝していますね。最近は現場でご一緒するスタッフさんとゲームについてお話することも増えました。コミュニケーションの面ではゲームに助けられてばかりですね。
――仕事の面ではいかがでしょう。
柳:ゲーム好きだと公言していたことで、『〈RAGE PARTY 2021〉Apex Legendsベストトリオ決定戦』にも出場でき、新しい分野に挑戦する機会をいただけました。
また、ゲームのストーリーや設定が新しい視点をもたらしてくれることもあります。たとえば、『The Last of Us Part II』からは、物事の善悪はどちらか片方の目線からだけでは語れないことを知りました。
私の仕事は別の誰かを演じることです。これまでは尖った役柄が多かったので、そのような経験が演技に直接的に生きることは少なかったですが、これから長く俳優を続けていけば、プラスにはたらく機会も増えてくると思います。仕事、プライベートを問わず、ゲームは自分の人生に欠かせないものですね。
――最後に、「今後こんなことに挑戦してみたい」など、ゲームに関連する目標があれば教えてください。
柳:オフラインのゲームイベントに、プレイヤーとして参加したいです。活躍するたびに歓声を肌で感じてみたいですね。ゲストで呼んでいただけるのも、それはそれでうれしいことではあるんですが、プレイヤーとして参加してみたい気持ちが強いですね。いつでもオファーお待ちしています(笑)。