カバー株式会社上場、新たなラブライブ!シリーズ、新VRデバイス『Bigscreen Beyond』――バーチャル業界に新機軸の動きあり

バーチャル業界に新機軸の動きあり

 昨年4月に『にじさんじ』のANYCOLOR株式会社が上場してから、およそ10ヶ月ほど。『ホロライブ』のカバー株式会社もついに、東京証券取引所グロース市場への上場を果たした。上場日は3月27日。得られた手取金は新スタジオの開設やグッズラインナップ増加、サプライチェーンの整備などに充てられるという。

 チャンネル登録者数100万人達成者を数多く保有する『ホロライブ』の牽引力の強さは、VTuberを多少知る人であれば釈迦に説法だろう。つい先日にはさくらみこ、Gawr Gura、Mori Calliopeが「東京観光大使」に選出されており、活動の幅は日に日に広がりつつある。そしてカバーは現在、メタバースプロジェクト「ホロアース」も動かしている。ANYCOLORとはまた違った路線で、今年は発展を遂げるかもしれない。

 なんにせよ、「VTuber事業から上場を果たす」という事例が大きく2つも生まれたVTuber業界は、新しい市場として急速に注目を集める可能性がある。一方で、ソーシャルVR関連市場は、アバター事業を中心に「芽生えたて」の段階にあるだろう。それでも着実に、先行者が登場している。

 先週特に興味深かった事例は、『VRChat』で人気のキャラクター/アバターの「Akyo」をめぐる動向だ。昨年、有志によってこのキャラクターのぬいぐるみが制作・販売されたが、一瞬で完売するという出来事があった。このAkyoのぬいぐるみを、より多くの人の手に渡るようにするべく、VRヘッドセット向けメガネなどを手掛ける株式会社diVRseが販売を行うことになったのである。

 同時に、もともとフリーで配布されているAkyoの第三者無許諾利用を防止するべく、関係者間での協議の上で、diVRseがAkyoの商標登録出願を行ったとも発表された。「ゆっくり茶番劇」の商標登録をめぐる騒動を受け注目が高まる、ネットから芽生えたカルチャーを第三者から守るための、一つの回答例とも言えるだろう。とりわけユーザー文化の多い『VRChat』周辺業界で、こうした動きが今後も続くかどうかは注目したいところだ。

メンバー&キャストお披露目!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 新情報発表会!

 アイドルコンテンツとして著名な「ラブライブ!」シリーズから、新たなプロジェクトが正式にスタートした。「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」は、スマートフォンアプリなどを中心に展開する、新規メディアミックスプロジェクト。そしてこのプロジェクトは、発表当初は「バーチャルスクールアイドル」と題されていたものだ。

 そんな大本の名前を意識してか、発表されたメンバーは全員が3DCGモデルで登場している。YouTubeにも各人の「自己紹介動画」が投稿されており、そのフォーマットはどこかVTuberを彷彿とさせる。あるいは、配信ではなく動画投稿を主としていた頃のVTuberが目指していた姿、とも見立てられるかもしれない。

 とはいえ、もともと音声コンテンツや書籍などで実施していた自己紹介が、「3DCGと動画サイト」という今どきの最新フォーマットにアップデートされただけ、とも捉えられる。担当声優も明かされているのも、これまでの路線を捨てていないことが読み取れる。果たして当初「バーチャルスクールアイドル」と呼ばれたこのプロジェクトが、どこへ向かって進んでいくのか。行く末を見守りたい。

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