ぼっちぼろまる・ピーナッツくん・星街すいせいの例から考える VTuber楽曲の“垣根を越えたヒット”が意味するもの

VTuberの曲がシーンの外へ届いた理由

 2022年から2023年1月現在にかけて、VTuber〜バーチャルタレントの楽曲が立て続けにヒットを飛ばし、その存在がシーンの外側に少しずつ認知され始めている。

 YouTubeで企画・配信されて大きく賑わう大型企画への出演や、テレビ番組で取り上げられるというだけでなく、「VTuber」としての人物像や記号性よりも、楽曲やパフォーマンスが良い意味で独り歩きし、爆発的なヒットへと繋げていく事象が続いているのだ。

 今回はそのヒット曲や現象についてまとめていきたいと思う。その多くが、VTuberをしっかりとおいかけるファンとは全く異なる、文字通り「別の世界」の人たちにリーチしている点において注目すべきだろう。

おとせサンダー / ぼっちぼろまる (Music Video)

 まず最初に挙げるべきは、ぼっちぼろまるの「おとせサンダー」だ。ぼっちぼろまるは「ひとりぼっちロック・バンドとしてミュージシャン活動を行う地球外生命体」として2016年末から活動をスタートし、現在まで活動してきたシンガーソングライター・バーチャルYouTuberだ。

 そんなぼっちぼろまるの「おとせサンダー」が、2022年の年間Billboard JAPAN「TikTok Songs Chart」で1位をゲットしたのだ。

 Aメロ部分の「イナズマに打たれました」という歌詞に合わせ、親指と人差し指を稲妻に見立てたフィンガーダンスと上半身を大きく使った振り付けは、ダンス解説や振付師として活躍している中野亜紀によるダンス動画によって広く知れ渡るようになった。

 中野亜紀によるダンス動画は2022年5月12日に公開され、その後半年近くに渡って大ブレイク。TikTok上では2023年1月30日現在までに約20万本の動画が投稿され、9億回を超える再生数を誇っている。

@nakanoaki

振付難しい?曲めっちゃ頭の中でループしてる💫#亜紀ダンス #おとせサンダー

♬ おとせサンダー - ぼっちぼろまる

@boromaru

新曲つくってます!!どうですか?? #おとせサンダー #オリジナル曲 #animation #アニメーション

♬ おとせサンダー - ぼっちぼろまる

 6月3日に各ストリーミングサービスで配信がスタートすると、TikTokでの大人気ぶりがそのまま伝播し、バイラルヒット系プレイリストの常連として大きなトレンドとなり、先述したBillboard JAPAN「TikTok Songs Chart」年間1位を獲得するに至った。

 リリースからわずか1年と経過していないことを踏まえれば、「おとせサンダー」を使用した動画が約20万本も制作・投稿され、多くのリスナーに楽曲が届いたのは驚異的ですらある。

 音楽一点勝負だからこそ、数々の楽曲をバイラルヒットに押し上げてきたTikTokに活路を見出したぼっちぼろまる。彼がこの1年で一気にブレイクするかは注目に値するだろう。

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