サンリオVfes、星街すいせい「THE FIRST TAKE」出演、mocopi発売――バーチャルは“はじまり”を越えていく

バーチャルは“はじまり”を越えていく

 この土日は、バーチャルピューロランドがアツかった。『SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland(サンリオVfes)』のフェス当日は、有料エリアの豪華アーティスト陣、無料エリアの気鋭のクリエイター陣、ともに素晴らしいパフォーマンスを見せた。

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 実写とバーチャルの融合、アバターとパーティクルの舞うステージ、そして空間全体をハックする演出……最先端のエンタメ表現が、一切の容赦なく飛び出してくるすさまじいイベントだった。その数も、勢いも、2021年の『サンリオVfes』の比ではない。2021年に見ていたら卒倒しかねないような、先端に立つ表現が”たくさんある”と言える時代がきた、と言えるだろう。

 2021年のバーチャルピューロランドで多くの観客を釘付けにしたキヌは、今回のパフォーマンスに「はじまりのおわり」というタイトルを与えた。メタバースブームが芽生えた2021年末から、早くも1年。もう「はじまり」と呼べる時期は過ぎ去り、研鑽と定着、そして幻滅が横切るフェーズに入りつつある。そして、「おわり」の先にも続きがある。この2日間こそ、「バーチャルのはじまり」が終わった、その瞬間だったのかもしれない。

星街すいせい - Stellar Stellar / THE FIRST TAKE

 「はじまりのおわり」を感じさせるエピックな出来事はもうひとつある。星街すいせいの「THE FIRST TAKE」への出演だ。アーティストがマイク一本で一発収録に挑む人気YouTubeチャンネルに、VTuberとして初の出演となった。

 往年の名歌手から最新の人気アーティストまで、名だたる人々が一挙に集まるコンテンツに、ついにバーチャルアーティストが参戦した光景は感慨深い。バーチャルという「特殊な枠」を設けずともよい時代になったと言えるからだ。星街すいせい自身による、出演した動画のコメント欄に記した「ちょっと変わった見た目」という自己紹介が、正鵠を射ているだろう。”そういう姿”として、バーチャルな人が存在してもいいのだ。

サンリオVfes、星街すいせい「THE FIRST TAKE」出演、mocopi発売――バーチャルははじまりを越えていくの画像1

 新しい波も観測された。『にじさんじ』からひさしぶりの新人デビューである。その数、実に7名。さらに全員が女性という、これまでの『にじさんじ』から見てもレアな比率での新人デビューとなる。そしてうち3名は、育成プロジェクト『バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)』からの卒業生であり、その意味でも前例にない混成デビューだ。

【初配信】じゃじゃ~~ん【鏑木ろこ】

 今回のデビュー者の中で、とりわけ大きな反響があった一人が、VTA出身の鏑木ろこだろう。VTA時代から企画ネタやイラストなどで特に注目を集めており、デビュー配信もたくみな構成と演出で30分間をフルに使い切った。数年のキャリアがあっても不思議ではないほど、配信回しが上手い。そしてなにより、昨年10月からアカデミー側での活動が休止していたため、ファンにとっては正しく「待望のデビュー」だったと言えるだろう。

 無論、かの『にじさんじ』からデビューを果たしただけあり、7名のデビュー者はそれぞれが初手から明確なチャームポイントを見せている。ニューカマーが『にじさんじ』にどんな新しい風を吹かせるのだろうか。

 そして、VTuberもメタバースユーザーも注目していたモバイルモーションキャプチャー『mocopi』が、満を持して発売された。筆者のもとにも第1ロットが届いた。

 ザクッと使ってみたが、これまで専用スタジオが必要そうなモーション収録を、スマホと小さな6つのセンサーだけで実現できる、というのはやはり驚異的だと感じた。そのままの構成で『VRChat』でのフルトラッキング参戦もできるのも大きい。得手不得手はあるので、動画主体のVTuberや、ダンサーやアクターに向いたデバイスと言えそうだ。

 そして『mocopi』発売日、なんと『ホロライブプロダクション』の配信システムと『mocopi』の対応が発表された。自宅からの3Dモデル配信を可能としている、『ホロライブプロダクション』独自の配信システムに、小さくて軽い『mocopi』の全身トラッキングが加わることになる。表現力の幅はさらに広がることだろう。今後は希望者から随時投入されるとのことだ。

 一方、『にじさんじ』の月ノ美兎も、にわかに『mocopi』を手に入れて遊んでいる動画を次々に投稿している。そう、このくらい気軽にモーションキャプチャーができるところに、『mocopi』の真価はある。このほかにもVTuberによる活用事例が着実に増えている。活動と表現の幅を一気に増やしつつあるVTuberも、その「はじまり」はすでに彼方にある。

【ゲリラ配信】出演アーティスト自らバーチャルピューロランドに潜入だ #サンリオVfes【因幡はねる / あにまーれ】

 1月21日の深夜、『サンリオVfes』の出演者でもある『有閑喫茶あにまーれ』の因幡はねるは、Day1の終わったバーチャルピューロランドに潜入する配信を突発で実施した。彼女が行った先には、同じくDay1で圧巻のバーチャルライブを披露した、バーチャル音楽ユニット『memex』が路上ライブを行っていた。こんな偶然があるのか、という驚きの出会いが起きていた。

 だけど、そんなふとした出会いがいつでも起きるのが、メタバースのひとつの魅力でもある。バーチャルな姿で、バーチャルな場所へ行き、バーチャルな誰かと出会う。2021年末に、おぼろげに描いていた未来は、たしかに”実装”されている。

『ディスクロニア: CA』星街すいせい×郡陽介対談 VRゲームとVTuber、“バーチャルなエンタメ”を繋げる音楽

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