eスポーツのパブリックビューイングに行こう! 『PUBG』のイベントで感じた熱量とコミュニティの姿
あなたは「パブリックビューイング(以下、PV)」をご存じだろうか? PVとは、スポーツやコンサートなどのライブイベントを、その開催地ではない別の会場で大型スクリーンなどを通し、ほかの来場者と一緒に鑑賞するイベントだ。
PVはいまや多くの人が知っているeスポーツの世界でも数多く開催されてきたが、コロナ禍となってからは集客をともなうeスポーツイベントは激減し、オンライン配信がメインとなっていた。
しかし、そうした状況は少しずつ改善されつつあり、2022年後半にはゲーム業界に限らず、オフラインイベントが開催されるようになってきた。そして「オンラインで行うeスポーツ大会をPVで観戦する」というイベントが2022年12月、『PUBG: BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)で開催された。
そのイベントは、『PUBG』の日本最強チームを決定する『PUBG JAPAN CHAMPIONSHIP 2022 FINAL』。会場の「RED° TOKYO TOWER」5F・RED° ARENAには抽選で選ばれたファンたちが集い、その戦いに声援を寄せた。
本記事では会場の様子や参加された方々の感想なども交え、PVの魅力やおすすめする理由をお伝えしよう。
観戦に最適化されたPV会場
まずはPVの醍醐味が、「大きいスクリーンの前でほかの人といっしょにイベントを観賞する」だけではないことをしっかりと述べておきたい。というのも、今回取材した『PUBG』のPVでは、会場にさまざまな趣向が凝らされていたからだ。
まずはスクリーンの大きさと情報量の多さ。本イベントでは、観戦席(位置)による見やすさの差が極力ないように配慮がなされており、メインの画面だけでなく、チームの動向を確認できるマップ配信も常時映し出されていた。
音響環境も素晴らしく、鋭い銃声やグレネードの爆発音が容赦なくフロア内に響き渡る。一般的なPVは映画館でもよく開催されるが、自宅では体験できない大迫力の音声を楽しめるのも、PVの魅力と言えるだろう。
そしてなにより、選手のプレイに対して挙がる場内の声援が熱い。鼓舞、落胆、喝采、応援といった、さまざまな思いがのせられた声が、観客に一層の感情移入をもたらす。これは自宅のモニターの前で、一人観戦していてはまず得られない感動だ。
特に今回の大会は競技自体がオンラインで開催されているため、そもそも会場と呼べるものが存在しない。eスポーツとインターネットの親和性があってこその座組ではあるが、それゆえにファンが一堂に会するPVは、唯一無二にして最大限に観戦を楽しむイベントと言えるだろう。
観戦だけではないイベントの楽しみ方
ここまではPVの環境についてふれたが、こういったイベントでは、さまざまな催しやコラボ企画などもよく実施される。たとえば今回のPVでは、運営元やスポンサーによる参加者へのプレゼント企画が多数行われていた。
こういった企画は、運営元による「いつも支えてくださっているPUBG Esportsファンの皆さまへの感謝を伝えたい」という思いのあらわれだ。またイベント参加者にノベルティを渡すことで、運営側は参加者に思い出の証を作ってもらおうとしているのではないだろうか。
コロナ禍で人と人との触れ合いが減ってしまったなか、こうしたPVは運営側とファンの双方が待ち望んでいたものだ。そして、この場での出会いをきっかけとしたさらなるコミュニティの広がりもあるため、筆者はPVを推したいのである。
また、本イベントには会場となったRED° TOKYO TOWERもスポンサーに加わっていた。そのアトラクションのひとつには、『PUBG MOBILE』とコラボしたレーザーシューティング『RED° SHOOTING』があった。
大会が盛り上がってこそPVも熱くなる
とはいえ、どんなにPVの企画が素晴らしくても、大会自体が盛り上がらなければ観客は満足しないかもしれない。その点でも、今回のPVはベストといえるものだった。
本大会には、一強とも言っても過言ではないDONUTS USG(USG、現DONUTS VARREL)と、それに肉薄するENTER FORCE.36(E36)、そしてそのほかの古豪や新鋭チームなどが参加。また、『PUBG』を引退したレジェンドたちで結成されたMARUONO Gaming(MOG)が参戦することでも話題となり、事前からファンの期待は膨らむ一方だった。
そして、大会は最終日の最終戦までどのチームが優勝するか分からない大混戦となり、最近の国内における『PUBG』競技シーンでも、まれに見る盛り上がりとなった。
観戦をともなうイベントの醍醐味は、「自分の推すチームや選手に声援を送る」ことだ。そこからさらに深く好きになれば、推しに限らず、良いプレイや賞賛すべき結果に喝采を送る。
本大会にはさまざまな立場のファンが推しているチームや選手がいたこと、そして彼らが全力を尽くした結果、最後まで勝敗の行方が分からない名勝負が展開されたことが、観客を魅了していた。それを物語るかのように、会場も最後には大きな拍手に包まれていた。