公式から「病んでる」と認定されたYouTuber。教室隅の男・その名はジャックの“後味の悪さが癖になるアニメ”
アニメ投稿系のYouTuberで異彩を放っているクリエイターがいる。教室隅の男・その名はジャックだ。チャンネルを開設して1年足らずで投稿した動画の数は220本以上、チャンネル登録者数は12.2万人にのぼる。(2022年12月15日時点)そして、驚くことにシナリオ、作画、声優をひとりで担当している。教室隅の男・その名はジャックが視聴者をつかんで離さないのはなぜなのか、動画をもとに考える。
視聴者を惹きつける要素は「心の隅にあった本音」
教室隅の男・その名はジャックのアニメーションでは、世の中の流行への言語化できない拒絶感や、世界のどこかで今も存在している闇に対する皮肉、「充実した人生を追い求めるべき」という風潮への抵抗などが題材となっている。
それを独特のタッチのキャラクターと加工された無機質な声(作者本人)、短くもオチのあるシナリオで異様な空気感を漂わせ、エンタメに昇華している。しかし視聴者を惹きつけているのは、このアニメの独特な雰囲気だけではない。1〜5分程度の短いストーリーを見た時に、心の奥にしまっていた後ろ暗い気持ちを言い当てられたような気分になるのだ。
10月21日に公開された「元気を分けてくれ」では、世界を救うヒーローが怪獣を倒すために元気を分けてほしいと国民に頼むが、仕事や育児、お金の問題に疲弊し協力してもらえない。そこで炎上中のSNSを攻撃対象にすると元気が戻ってくるという内容になっており、限界ギリギリで生きている人たちの存在と、ねじ曲がってしまった活力の方向への皮肉が描かれている。
「笑い声」のように対人関係の行き違いをテーマにしたものもある。子どものころに真面目に描いた絵をクラスメイトたちに笑われ、大人になってもその呪縛から逃れられない主人公と、主人公の絵を笑ってしまったことを後悔している女性が偶然再会し、わだかまりがとけそうに見えたが……。というお話である。簡単にはハッピーエンドにさせてくれないのが現実で、そういった残酷さにダメージを受けるとともに、「そういうもんだ」というカタルシスもある。
全体的に死や鬱々とした社会、それに対する感情を扱ったものが多いが、とくに過激な内容の動画は、YouTubeから「あなたの身の安全と健康状態を心配しています」という旨のメッセージを受けたとし、対象の動画を非公開にした上で自身のWebサイトにて公開している。(ジャック自身はYouTubeから「精神を病んでる?」という旨の連絡がきたとネタにしている。)
(参考:教室の隅の更に隅)
その経緯もアニメにしているのがクリエイターらしい。「逆風すらも追い風にしてしまう男」と視聴者に評されていた。
「教室隅の男・その名はジャック」はどんな人物像?
YouTubeの概要欄には「昔からずっと1人でお話作りしてました」と記載されており、創作活動は以前からしていたとのこと。「教室隅の男」と名乗っているが、ビールを飲んでいる投稿があったり、飲み友だちの話題が出ていたりすることから成人していると考えられる。自身の感性については「僕は思い出すのが好きです。不確定な未来より確定した過去のほうが好みです」と語っていて、これまでの自分の経験で感じたことが創作のベースになっていると推測できる。
YouTubeのコミュニティでは、登録者数10万人達成時に「10万人ありがとう」というプレートを乗せたケーキの写真をアップするなど可愛らしい一面も見られる。動画から想像する人物像から「あんなに狂った世界観を持つ人間が普通にケーキ食ってるのなんかおもろいです!」「この人が飲みの席で誰かと会話してるところが想像できない」と視聴者に言われるなど、私生活が謎の人物と思われている様子だ。
最近は飲み友だちのYくんが動画編集のアシスタントに入っており、ますます投稿数やクオリティが上がる期待大。注目株のアニメクリエイターを、いまからチェックしておこう。
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