圧倒的な勢いで、あるいはゆっくりと自分のペースで「さまざまな成長」を遂げた にじさんじタレントらの2022年名配信・名シーン(後編)
いちどVTuberというフィールドからストリーマーシーンまで視点を広げたとき、今年もっとも話題を集めたのは、さまざまなFPS系大会ではなく『RUST』『ARK』といったオープンワールド系ゲームに著名なメンバーを集めて遊ばせてみる、そんな「ストリーマーサーバー」が流行ったことだろう。
6月6日から7月8日に渡って2シーズンに分けて開催された『RUST』編では、ストリーマー・ソバルトらが中心となってサーバーが立てられされ、StylishNoob、SHAKA、だるまいずごっど、じゃすぱーといったFPSゲームで元プロプレイヤーのストリーマーを中心にしつつ、ぶいすぽっ!やNEO-PORTEに所属するVTuberらが多く参加した。
2022年前半が『RUST』なら、後半に盛り上がったのは11月25日から12月5日に盛り上がった『ARK』編だ。主催はVAULTROOMとCrazy Raccoonがつとめ、『RUST』とはまた違ったメンバーが戦場を彩った。以前ストリーマーたちと共演していた本田翼、山田涼介らがひっそりと参加していたことは、もしかすると彼らのファンでも知らない方もいるかもしれない。
数年にわたって多くのFPS系大会やゲーム大会で顔を合わせていたメンバーとはいえ、参加者全員と声をかけ合うことなく終わることがほとんど。「大会で一緒にはなるけど、結局この人ってどんな人なんだ…?」とちょっとずつコミュニケーションをとりながら仲良くなっていくのを、お互いのファンが固唾を飲んで見守ってみたり、「いつものメンバー」でバカ騒ぎして他の参加者とガヤガヤと絡んでみたり……『RUST』ストリーマーサーバーには100人以上が参加したとのことで、まさに百人百様のプレイ・生活が繰り広げられていた。
特に『RUST』ではMAP更新やPvPエリアの設置などを挟みつつ、初開催ということでなにかとバタついたのも確か。他参加者やリスナーからみても「やりすぎ」なバッドマナーがすぐに炎上につながるなど、良くも悪くも注目を集めた。この1年の流れを見て「配信でもりあげるとはこうも難しいのか」と気づかされたファンは多いはずだ。
さて、にじさんじからも多くのメンバーが参加したが、ここで『RUST』シーズン1・2と『ARK』とすべてに参加したアルス・アルマルには、何かと話題が降り注ぐことになった。
もともと深夜帯で長時間にわたってゲーム配信するスタイルで多くのファンを生みだしてきたアルス。極度の人見知りなタイプで仲良くなるまで時間がかかってしまう彼女が参加するということで、「ソロプレイが多くなるだろう」と予想するファンは多かったはず。
『RUST』サーバーシーズン1では、開始してわずか5分でCrazy Racoonのふらんしすこに声をかけられ、includeやSellyといった韓国プロプレイヤーらとともに初めてプレイする『RUST』を楽しむことになったのだ。
ちなみにここで出会う前から交流があるのにもかかわらず、ふらんしすこはアルスを「バイト君」と呼びはじめ、後日別のゲームでいっしょにプレイしたときにも「バイト君」と呼びかけてしまうこともあった。
『RUST』サーバーシーズン2においては、ゲームにも慣れてきたこともありマイペースに1人作業を楽しむことに。数回にわたって楽しんだあと、5回目の配信途中からZETA DIVISIONで活躍するk4senとイラストレーターの夜よいちとと主に行動を共にすることになる。
ZETA DIVISIONの誇るお祭り男・k4sen、同じ人見知りながら抜群のプレイスキルと画力を持つ夜よいちに、同じクランにはストリーマーとして活動するおぼ、プロゲーミングチーム「RIDDLE」のオーナー・ボドカ、武道館ライブを達成したMOROHAのギタリストUK(ゲーム上ではFMLで参加)らが加わり、話題に事欠かないメンバーでもりあげてくれた。
7月は同期としてデビューした黛灰が引退することを発表し、そのまま引退へと移っていった1か月であり、アルス本人もリスナーも精神的にも落ち込む部分は大いにあったところを、このクランに救われた部分はあるだろう。
特にk4sen、夜よいちとの絡みは互いのファンからも非常に好評で、その後『RAFT』『The Forest』『ASTRONEER』と3人コラボ配信を多数届けてくれ、大自然のなかでサバイバルしていく3人の姿はリスナーやファンを大いに沸かすことになった。
そんな流れもあり、3人が参加することになった『ARK』ストリーマーサーバーでは当初バラバラに活動していた。短いながらも楽しむアルスのもとにやってきたのは、『League of Legend』の元プロプレイヤーでストリーマーとして活躍中のらいじんだった。
近所に住んでいたらいじんがアルスに注意しに来た流れで、そのままクランを結成しよう……という流れなのだが、口下手ならいじんの言葉選びのせいで大きな勘違いを起こしかねない会話に。
この一連の流れは「『ARK』ストリーマーサーバーでも名シーンの一つ」と言われるシーンとなった。ちなみにこのあと夜よいちとも同じクランメンバーとなったが、夜よいちがこのシーンを見て嫉妬しているのを確認している。
これらは彼女が今年のストリーマーサーバーで得てきた交友・名シーンのほんの一部だ。
彼女をみていたリスナーは、彼女にとって変化・学びがあったのでは? と感じるファンもいるだろう。内気で人に話しかけるのに苦労していたアルス・アルマルが、こうした場所でも物怖じせず人と会話できるようになっていること。以前から彼女を知っている人なら、感動もひとしおではないだろうか。
自分が好きなストリーマーが日々の配信を通じて変わっていく、「生配信とはリアルタイムショーである」という本質が今年の彼女には強く滲み出ていた。