『バイオハザード4』と『Dead Space』、“サバイバルホラーの金字塔”2タイトルが時を同じくしてリメイクされる意義

『バイオ4』『Dead Space』リメイクの意義

 過去の名作タイトルがリメイクやリマスターされて蘇ることも珍しくなくなった、昨今のゲーム業界。いずれのタイトルにおいてもファンの期待は高まるものだが、2023年3月24日に発売される『バイオハザード4(以下、バイオ4)』のリメイク版、『バイオハザード RE:4(以下、バイオRE4)』へと向けられている期待は、なかでも屈指の大きさと言えるだろう。

 そしてコアなサバイバルホラーファンのなかには、『バイオRE4』の約2ヶ月前、2023年1月27日に発売予定のリメイク版『Dead Space』にも同様の期待を寄せている人が居ることと思う。

『BIOHAZARD RE:4』 2nd Trailer
「Dead Space」公式ゲームプレイトレーラー

 この『バイオRE4』と『Dead Space』、オリジナル版はなかなか浅からぬ因縁をもつタイトルと言える。この2作が時を同じくしてリメイクされるのは、かなり興味深い出来事なのだ。

 本稿ではリメイク版への期待も込めて、『バイオ4』と『Dead Space』の関係性、そしてそれぞれがシリーズの続編、ひいてはゲームジャンルに対して与えた影響について振り返っていく。

※記事内で使用している動画・画像はすべてリメイク版のもの。

傑作『バイオ4』の影響を色濃く受け、独自の発展を遂げた『Dead Space』

 『バイオ4』のオリジナル版である、ゲームキューブ版がリリースされたのは2005年。当時、基本システムにほとんど変化を加えることなくシリーズを重ねてきた「バイオハザード」シリーズは本作で、シリーズの生みの親である三上真司氏のディレクションのもと、アクション性を強化するという大変革を行うことになる。

 敵がゾンビではなく、人間のころの知性を残した“ガナード”となり、運動性能を活かし、集団で狡猾に主人公を追い詰めるようになったのも特筆すべき点だろう。一方で、それ以上にシステム面で過去作と一線を画していたのが、現在でも“ビハインドビュー”などと呼ばれる、プレイアブルキャラクターの上半身がゲーム画面中央からやや左側に配置される視点だ。

 いくつもの変革は功を奏し、本作はサバイバルホラーの新たな金字塔として、さらにアクションゲームとしても屈指の高い評価を受けた。加えて、のちに生まれたタイトルへの影響も非常に大きい。

 主観視点よりは一歩引いているためキャラクターのアクションを把握しやすく、かつ完全な客観視点よりは臨場感の高い、絶妙なバランスを成立させたビハインドビューは、のちに『Gears of War』(国内販売は2007年)が参照したことでTPS(三人称視点シューティングゲーム)ジャンルに広く採用されるようになり、さらにはさまざまなアクション(要素をもつ)ゲームに影響を与えることになる。

 『バイオ4』はのちのTPSジャンルのタイトルと比較すると、移動と銃で狙う操作が左スティックに集約されているため、「敵を狙いながらの移動」ができない操作形態となっていた。リリース時には気にならなかったものだが、『Gears of War』に影響を受けたタイトルが増えはじめると、窮屈感を覚える操作形態になっていったことは否めない。

 そんななか、TPSジャンルの操作形態をサバイバルホラーに取り入れたうえで、実に高い完成度でまとめ上げた新たな傑作が2008年にリリースされた。それが本稿のもうひとつの主役、『Dead Space』である。

 舞台を宇宙船の中とし、主人公のアイザックとなって生き残りをかけて不気味に変異した怪物“ネクロモーフ”たちに立ち向かっていく本作は、いつ襲われるかわからない緊張感や、銃弾、回復アイテムを節約しなければならないといったサバイバルホラーの普遍的な魅力を踏襲。これらに加え、本作ならではのシステムもいくつか導入されていた。

 戦闘面の魅力としては、“プラズマカッター”をはじめ入手できる銃器に“切断”に特化したものが多く、「敵の足を切断して移動能力を奪うか? それとも腕を切断して攻撃手段を奪うか?」といった判断を戦略的に行える点や、重いものを軽々と持ち上げて放り投げる、敵の動きをスローにするといった超能力“ステイシス”のユニークさなどが挙げられる。

 また、アイザックが着用する宇宙服の背中にゲージのようなものが存在し、これがHPゲージやステイシスで消費するエネルギーゲージを兼ねている、銃の残弾数やセーブポイントなどをホログラムとして表現するなどの工夫により、ゲームとして遊ぶために必要なインターフェースの多くを「作品世界に存在するモノ」とすることで没入感を高めるといったアイデアも、斬新かつ合理的だった。

 ゴア表現の過激さから、日本国内では発売されなかったこの『Dead Space』。まだダウンロード販売も主流となっていなかった当時、タイトルを『絶命異次元』と表記したアジア版パッケージを取り寄せてプレイしたサバイバルホラー/アクションゲームファンは少なくなかった(筆者もそのひとりである)。このあとに書く話題と時代は前後するが、よりアクション性に重点を置いて進化した続編『Dead Space 2』(2011年)も、1作目に続く形で非常に高く評価されている。

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