【徹底レビュー】手のひらですべてが完結する。5.9インチのスマホ『Zenfone 9』は「至高のAndroid」?

『Zenfone 9』は至高のAndroid?

 先月、ASUSの最新Androidスマホ『Zenfone 9』が国内向けに発売された。公式サイトの価格はストレージ256GB&メモリ16GBモデルが12万9800円、ストレージ256GB&メモリ8GBモデルが11万2800円、ストレージ128GB&メモリ8GBモデルが9万9800円。

 前モデル『Zenfone 8』からは1年3ヶ月ぶりのアップデートとなる。本モデルの特徴は5.9インチの小型ディスプレイと169gの軽量性で、日常的な使いやすさやや持ちやすさに比重が置かれている。また、小型サイズにも関わらず4,300mAhの大容量バッテリーを搭載している点も魅力だ。

 発売時期的にGoogleのAndroidスマホ『Pixel 7 / 7 Pro』とやや競合しているのだが、両機とも触った筆者から見ると、普段使いするならZenfone 9の方が好き。やはりコンパクトなボディはそれだけで使いやすく、ポケットから取り出すにもブラウジングするにもとにかく快適。大型化しがちな昨今のスマホトレンドにおいてあえて5.9インチを維持した本モデルは、多くの人の手に馴染むモデルといえるだろう。ちなみに公式のキャッチコピーは「手のひらに、無限の可能性を。」である。

5.9インチがもたらす、最高のホールド感

 スマホにおいてもっとも重要で基本的な要素とは何か。それはズバリ、持ちやすいことだ。『Zenfone 9』は5.9インチの169gというコンパクトサイズなスマホというだけで価値がある……と言ってしまうのはやや誇大かもしれないが、実際に触ってみるとそう言ってしまいたくなるほど持ちやすい。手のひらに過分なく収まり、ズッシリとした重さを感じることもない。『iPhone 14 Pro』は206gだが、約40gの違いというのは意外と筋肉にクるものだ。

 右手で握った場合、対角線上の左上のアイコンにもなんとか手が届く。片手で操作できる範囲が広いため、各種アプリへのアクセスや操作性はとても良好だ。美しいAMOLEDディスプレイと120Hzのリフレッシュレートのおかげで画面の描写にもストレスがない。小さい画面なのに見ごたえがいいおかげで、なんとも贅沢な感じすらある。小型モデル=廉価版というイメージをひっくり返してくれるスマホだ。

 片手での操作性を拡張するべく、本体右側面には指紋認証対応の電源ボタン「Zentouchボタン」が搭載されている。このボタンは指紋によるスピーディなロック解除のほか、なんとスワイプ動作にも対応しているのが特徴だ。通知画面の表示やウェブページの更新、移動、動画の前後移動など、スワイプには様々な機能をアサインできる。上手く活用すれば親指でディスプレイをタッチすることなく、様々な情報にアクセスできるだろう。

 片手で操作がしやすければ、無理な指の動きをする機会を減らせるし、スマホの落下リスクを抑えることにも繋がる。一方で動画やゲームなどのエンタメを楽しむには迫力不足ともいえるが、このトレードオフは避けられないだろう。『Zenfone 9』はそこをあえて小型サイズに振り切ることで、毎日使う道具としての質に注力したスマホなのだ。現代の必需品とも言われるスマホだからこそ、道具的な使いやすさを追求する意味は極めて大きい。

 スペックについては公式サイトを参考にしてほしいが、SoCはSnapdragon® 8+ Gen 1を採用し、今回のレビューではストレージ128GB&メモリ8GBモデルを使っている。ベンチマークとして、負荷が大きいことで知られるゲーム『原神』をプレイしてみた。

 画質設定を高にすると、負荷が非常に高いと出ている。実際にゲームをプレイしてみても、ややカクつきが感じられた。画質設定が中のときは快適な動作ができると出ていた。

 iPhone 12 Proで同じ画質設定を表示してみると、高負荷でも問題ない様子がわかる。Snapdragon® 8+ Gen 1は2022年に登場したフラッグシップ向けSoCだが、発熱の影響でフレームレートが下がることが以前より指摘されていた。発熱を抑えた状態では高いパフォーマンスが出るため、画質にこだわらないゲームであれば快適に動作できるだろう。

 Zenfoneシリーズではおなじみのゲームアシスト機能「Game Genie」も搭載されており、細やかな環境設定の調整も可能だ。コンパクトさがウリとはいえ、しっかりとゲームプレイのことも考えているのがありがたい。

デザインは質実剛健。独特の背面素材が素敵

 5.9インチのコンパクトサイズのほか、ポリカーボネートとポリウレタンを組み合わせた独自素材を使った背面デザインも独特だ。ザラッとした手触りで、光沢感は一切なし。これが本体を持ったときにグリップとしてはたらき、スマホを落としづらくなっている。個人的に『Zefnone 9』で一番気に入っているのは、この背面の手触りだ。

 背面には2つのメインカメラがある。レンズがかなり出っ張っているのがわかるだろう。レンズ周辺にはアルミ製のエッジカバーが付いており、机に置いたときもレンズ本体に衝撃が届かないようになっている。このレンズにはブレを補正するための独自機能が備わっているのだが、詳しくは後述する。

 ヘッドホン端子を搭載しているのも気が利いている点だ。Androidスマホはハイレゾ再生機としても需要があり、本機もapt-X HD、LDACといったハイレゾ音質のBluetoothコーデックに対応している。これに加えて有線イヤホンも楽しめるため、オーディオファンにも嬉しい要素だ。

 本体の側面はアルミフレームで覆われている。背面素材もそうだが、全体的に光沢感を抑えたデザインになっているようだ。落ち着いた印象があり、堅牢性にも期待ができる。

ケースの使い勝手も見てみたい

 Zenfone 9専用のスマホケース「Connex Accessories Set」が用意されている。ポリカーボネートとTPUでできた軽量のケースで、ケース本体のほかにスマートスタンドとカードホルダーが同梱されている。写真のものはケースだけを装着しているが……。

 スマートスタンドをつけるとこうなる。動画視聴等に便利なほか、スタンドを指に引っ掛けることで縦持ち時の安定性確保にも有効だ。

 こちらはカードホルダー。2枚(ギリギリ入れると3枚)のカードが収納可能だ。スマートスタンドもカードホルダーも、本体ケース背面のパンチホールに取り付けるように使うため、取り外しも簡単。状況に応じた使い分けができるだろう。

 また、ケースを付けるとレンズ周辺を保護できるメリットもある。この写真はケースなしでレンズを下にして置いているが……。

 ケースがあるとレンズ部分の浮きが少しだけ抑えられる。ガラステーブルなどにスマホを置く場合はレンズのエッジによりガラスが傷つく可能性もあるため、そんなときには便利だ。

 この純正ケースだが、便利ではあるものの個人的にはイマイチだと感じた。理由は、『Zefnone 9』の持ち味である背面を隠してしまうからだ。もともとの背面素材が頑丈であるためケースはなくてもいいと思うし、ケースによって重量が増すのは軽量ボディがウリの本機においてはもったいない。とはいえキックスタンドは便利だったので、これも悩ましいところだ。

 またAsus Storeの直販限定で、Zenfone 9をバックパックのストラップにドッキングできるアタッチメント「Zenfone 9 Smart Backpack Mount」も販売している。以下のPVがわかりやすいだろう。

コンパクトでパワフルなスマホ「Zenfone 9」 新登場!

 本体をキーリールと繋いで固定できるため、ハイキングや登山などのアウトドアでスマホを使うにはとても便利だ。『Zenfone 9』の持ちやすさや堅牢性を勘案すると、意外とアウトドア適正も高いのだ。

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