2022.12.07 07:00

【徹底レビュー】手のひらですべてが完結する。5.9インチのスマホ『Zenfone 9』は「至高のAndroid」？

文・写真＝ヤマダユウス型

　動画の次は静止画、写真の画質も見ていこう。まずは画角の確認から。

　これが0.6倍の超広角。

　1倍の広角。遠景の木々もよく描けている。

　デジタルズームの限界である5倍の写真。ここまで来るとさすがにディティールは厳しいか。デジタルズームは使えて2〜3倍程度だろう。

　画質的にはややコントラストを強くする傾向にあるが、比較的素直な絵だと言える。カメラ機能でAndroidを選ぶ場合は『Pixel 7』というボスがいるため、スマホ写真のハードルが一気に上がってしまった……。

　光線状況によってはフレア・ゴーストも強く出る。レンズの出っ張りが原因か？

色温度の補正は顕著。iPhoneと比較

　画質の違いをさらに実感するため、『iPhone 12 Pro』の写真とも見比べていこう。

　こちらは『Zenfone 9』の写真。16時台の青みがかった太陽光が左側から差し込んでいて、店内の暖色系照明と混ざっている環境で撮影した。色温度が混じった難しい環境ではあるが、『Zenfone 9』は色温度を高めに出しているように見える。

　同じ環境にて『iPhone 12 Pro』で撮影。白いお皿の色に大きな違いが出ているのがわかる。データ上ではiPhone 12 Proの写真の方が白い部分がグレーに近く、『Zenfone 9』の写真はブルーが強く出ている。

　次はタイ料理屋の店内で、トム・カー・ガイを撮影。実際の店内はもっと暖色系の照明だったのだが、『Zenfone 9』は青に寄せているのがわかる。スープの白色に引っ張られた。

　『iPhone 12 Pro』で撮ると、違いは一目瞭然。ボケ感に関しては『Zenfone 9』の方がわかりやすく、スープの前後で油の見え方が違う。だがここまで色温度が違うと、シズル感などよりも青さが気になる……。

　最後は夜景枠として、イルミネーションを撮影。こちらは『Zenfone 9』の写真だが、かなり実際の見え方に近い。小雨が降っていたのにしっかり撮れている。

　『iPhone 12 Pro』で撮るとかなりモヤが出てしまった。光が小雨に拡散されてしまったのか、コントラストによるものか。

　振り返ると、『Zenfone 9』の写真はコントラストちょい強、色温度は高めになる傾向があると感じた。風景や屋外でのスナップ撮影は美しいが、その反面、料理のような暖色照明のある環境では冷たい写真になりがちだ。Googleフォトで白色点や色温度を調整することも考慮するといいだろう。

日々のツールとして寄り添ってくれるスマホ

　小型軽量ボディ、手触りと質感の良さ、ジンバルいらずの動画機能。『Zenfone 9』の魅力を三行で表すとしたらこんなところだろう。昨今のスマホ、もといガジェットというのは、小型モデル＝廉価版という立ち位置になりがちだ。しかし『Zenfone 9』は小型でありながらも最新のSoCや美しいディスプレイを搭載するなど、フラッグシップ的機能を小型ボディに濃縮してきた。ちなみにバッテリー機能もとても優秀で、三日間充電せずとも使うことができた（常時Wi-Fi接続状態）。

　正直、熱心なスマホゲーマーや写真愛好家以外の人にとって、『Zenfone 9』は限り無く正解に近いスマホだと思う。繰り返しになるが、スマホを日常的に使う道具として見たときに抑えたい要素はしっかり抑えてあるからだ。Androidスマホ全体を見渡しても「写真が好きなら『Pixel 7』、それ以外の人は『Zenfone 9』でOK」と言いたい。スマホゲームに比重を置くなら『Xperia 1 IV』と『Xperia Stream』の組み合わせや、Asusの『ROG Phone 6 Pro』も捨てがたいが、万人向きかと言われると……。

　小さくともハイエンド、ゆえに使いやすい。『Zenfone 9』の打ち出した方向性は、他国に比べて『iPhone mini』の人気が高かった日本人との親和性も高いのではないかと感じている。『Zenfone 9』の手触りの良さを、ぜひ店頭などで確かめてみてほしい。