凝縮されたノウハウや貴重資料に釘付け…ゲーム好きなら必見の、桜井政博氏のYouTubeチャンネル
任天堂が贈る人気シリーズ「星のカービィ」や「大乱闘スマッシュブラザーズ(以下、スマブラ)」のディレクターである桜井政博氏が、8月24日に自身のYouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」を開設し、注目を集めている。
ゲーム業界におけるビッグネームのYouTube開設は、これまで彼が手がけてきたシリーズのファンはもちろん、ゲーム開発者、ひいてはゲーム好きなユーザーの間でさも話題となり、わずか2ヶ月でチャンネル登録者数は50万人近くに。
さらに英語字幕付きの海外向けのチャンネルと合わせると総チャンネル登録者数は96万人を超え、もはや100万人も目前だ。
同チャンネルで投稿されている動画は、ゲームの制作や開発に関わるノウハウや考え方のポイントが、テーマごとにまとめられている。その内容は素人でも十分理解できるほどで、多くの動画が2分〜5分程度の短いものになっている。
桜井氏はチャンネル開設の目的を「世界中のゲームの面白さを少しだけ底上げすること」と語っており、その言葉通り、誰でも気軽に見られるコンテンツで構成されている。もちろんゲーム開発に関わるクリエイターも、桜井氏の考え方やノウハウをすくい取り、自分の糧とすることができるのではないだろうか。
ちなみに30本強の投稿動画の中では、"企画コンセプト"カテゴリが特に人気が高いようだ。
生みの親だからこその「星のカービィ つくってみた」という強烈なフレーズがサムネイルとなっているこの動画では、当時の貴重な企画書や開発秘話、「星のカービィ」が生まれたプロセスなどを知ることができる。
同様に「スマブラ」シリーズの企画コンセプト動画では、ゲームの原型となったプロトタイプ版の貴重な映像を見ることができ、当時は1対1が常識だった格闘ゲームから、大乱闘の発想がどのようにして生まれたのかが語られている。
ゲームサウンド、エフェクト、ゲームUIのことなど、ゲーム開発者を目指す(あるいは既に取り組んでいる)人向けの動画でも再生数は毎回数十万に達しており、実際に第一線でゲームを作り続けている桜井氏ならではの着眼点が、動画の企画にも生かされていることがうかがえる。
同チャンネルの動画はさまざまなゲームの画面を例にとり、丁寧な編集に加え、視覚的にもわかりやすい工夫が張り巡らされているのだが、収益を目的にはしていないとのころで、広告が表示されない。
桜井氏は、前述した「世界中のゲームの面白さを少しだけ底上げすること」を目的にしているという理由から、"ゲーム業界への投資"と動画内で断言している。さらに続けて、「ゲームの面白さは人それぞれであり、チャンネルのもたらす効果も定量的に得にくいことから、非常にチャレンジングな挑戦となるだろう」としている。
しかし、"知ることでより楽しくなる"ということには、誰しも経験があるだろう。筆者も本チャンネルを視聴したことで、世の中のあらゆるゲームに詰まった工夫や、開発者の努力に思いを馳せるきっかけになった。
様々な角度からゲームの面白さを発見でき、これまで見えていなかったゲームの面白さを再発見させてくれる「桜井政博のゲーム作るには」というチャンネルには、世界のゲームの面白さを底上げするパワーがあり、きっと未来のゲーム業界の礎となるのではないだろうか。