酒好きで愛らしい“バーチャルの悪魔” でびでび・でびるが持つ優しい一面
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。
デビューから順を追うように紹介してきた本連載。元1期生、元2期生、元ゲーマーズ組の次は2期にわたる元SEEDs組。竜胆尊、桜凛月という女性ライバー2人に続いて、「異世界の悪魔」でびでび・でびるについて書いていきたい。
2018年8月31日から活動を開始し、グループのなかでは初めて「人間ではない姿」をしたメンバー。にじさんじのなかには、「異世界出身」「存在が神」「性別不明」といった出自をもったメンバーが多くいるなか、でび様は一目見てわかるように「悪魔」である。
2頭身程の小さな体つきに灰色の体毛と大きな耳をもったビジュアルはモコモコした人形のようであり、2つの羽と角にギラっとした瞳と目つきでありながら、与える印象はとても「愛くるしさ」を感じる。
くわえて、上から目線な高圧的な言葉遣いでありながら,子どものような甘い発音とハイトーンな声というギャップも加わり、本人の「恐れられたい」「怖がられたい」という願望とは打って変わって、女性メンバーからは“かわいい”と評価されることがとても多い。
にじさんじメンバーのほとんどが人間をモチーフにしているからか、悪魔であるでびるは基本的に相手の名前を覚えず、独特なネーミングをつけて呼んでいることが多い。コラボする頻度が高い鷹宮リオンへの「小娘」呼びをはじめとし、同期でもあるジョー・力一を「ピエロ」、竜胆尊を「鬼」、桜凛月を「さくらんぼ」、町田ちまを「ハム」など、直球なネーミングからそうでないものまで、様々に呼んでいる。
また、多人数が関わるコラボ配信で率先して会話をリードし、場の流れをコントロールしようとするのがでびるの特徴。『Among Us』や議論系の話題などでそれがよく見られる。そこから滅茶苦茶な行動をとろうとして場をかき乱そうすることが多く、ほかメンバーをそそのかして騒ぎを起こそうとする様子はまさに「悪魔」といったところ。
その逆に、冷静なツッコミや正論で場を制する場面もあれば、「でび虐」とも評されるほどにボコボコにやっつけられたり、知らずしらずのうちに墓穴を掘ることもあるなど、多くの名シーンを届けてきた。
でびるが登場すればどんなシーンでも「でび様」が印象深くなるという図式が出来上がるのは、そのビジュアルだけではなく、声色・言動が特徴的であるからだろう。
ツッコミよし、ボケよし、殴っても殴られても絵になる。しかもそのビジュアルは愛くるしさに溢れているとくれば、にじさんじのなかでも特に強い個性をもったタレントなのは間違いない。