バーチャルタワーマンションの価格は10万円か?無料か?――発展続くVR・メタバース業界で、未だに埋まらない溝を見る

”バーチャルタワーマンション”の価格とは?

 眉唾なメタバース事案もひさしぶりに顔を出した。聞けば、東京タワーをモチーフにしたメタバース「バーチャル東京タワー」に、バーチャルなタワーマンションが建つという。NFTマーケットプレイス「NFT Party」と連携し、各部屋を建設・分譲。「NFT Party」内で購入したNFTアイテムも設置できるとのことだ。

 その販売価格に目を見張る。中層階が60,000円から、最上階は100,000円。ハイエンドVRヘッドセット並の価格である。「NFT付きスポーツ選手のカードが大量に売れ残っている」という報道も出る中で、この強気な価格設定には驚かされる。最上階はもちろん、中層階も売れるのかどうか、気になるところではある。

 当然ながら、基本利用無料の『VRChat』に住む人々からは、「10万円の殺風景なタワマン」はバカバカしいものに見えているようだ。プレスが明らかになったその日には、「10万円の夜景」という名前のそっくりなワールドが登場した。部屋自体は殺風景だが、人はすぐにVRで呼ぶこともできる。当然ながら分譲価格は無料だし、部屋数も事実上無限だ。

 同様の動きは、ザッカーバーグによる「エッフェル塔前の自撮り」が出た時にも見られた。会無料で高品質な仮想空間を公開・訪問することが当たり前なソーシャルVR文脈のメタバースに住む人にとって、巨費を投じて作られたメタバースや、投機的なNFTが組み込まれたメタバースは、いまでも猜疑心の矛を向けられる。創造・交流か、経済か――両者の溝が埋まる日は、いつか来るのだろうか。

 

 余談だが、『VRChat』に作られた「ザッカーバーグのエッフェル塔」こと、「御砂糖公園(ZuckerPark)」を作ったVTuber・蘭茶みすみは、イギリスの映画祭「RAINDANCE IMMERSIVE 2022」に招かれたと話題だ。そのきっかけは、他ならぬ「御砂糖公園(ZuckerPark)」とのことだ。ちょっとしたお遊びが大きな一歩につながる、ということは「経済重視」な人も知っておくとよいかもしれない。

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