バーチャルタワーマンションの価格は10万円か?無料か?――発展続くVR・メタバース業界で、未だに埋まらない溝を見る

”バーチャルタワーマンション”の価格とは?

 『Meta Quest Pro』がついに発売され、様々な人たちの手に渡り始めている。筆者もとある筋で実機を触ったが、これはなかなかにおもしろく、むずかしいポジションのデバイスだと感じた。

 VRができる点は『Meta Quest 2』のようでありながら、AR・MRもできるがゆえに『HoloLens 2』の後釜のようにも思える。しかし、できることは少しずつ異なっている。間違いなく言えるのは、コンシューマーにはまだ早い代物だということだ。

 

 

 一方で、早速『Meta Quest Pro』を活用したコンテンツ制作に取り組むXR製作者も存在する。現実世界とバーチャルが入り交じる世界を、VRヘッドセット並の視野角で映し出す力は特筆すべきものであり、これを活かしたコンテンツはいま作られている最中だ。『Meta Quest Pro』が生み出す、まだ見ぬものの行く末に期待したいところだ。

 『PICO 4』のビジネス向け機種『PICO 4 Enterprise』にも動きがあった。日本国内向けの発売が2023年1月であると発表されたのだ。価格は税込141,900円。単独でアイトラッキングやフェイストラッキングができるデバイスとしては、安価な部類に入る。こちらはまだ全容が見えていない一台だが、人間の多彩な表情を取得できるVRヘッドセットが、どのようにビジネス的に活用できるかは、一考の余地があるだろう。

 本連載の第一回目では、にわかに立ち上がった「日本メタバース協会」を(半ば批判的に)取り上げた。それ以後も、今年の半ばまでは団体設立の動きがいくつか見られたが、先週ひさしぶりに新たな団体が立ち上がった。一般社団法人CiP協議会による「メタバース委員会」だ。

 取り組む課題として掲げているのは「権利関連」「ガイドラインやルール整備」など、ほか団体と代わり映えのしないものだが、参加会員にはデジタルハリウッド株式会社や吉本興業株式会社など、メタバースを実際に活用しようとしている組織もいくつか見られる。全くメタバース運用実態のない企業が名を連ねる団体よりは、幾分か説得力がある……可能性はある。今後の動向に注視したいところだ。

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