Robloxの志摩スペイン村、clusterの経済圏加速――VRのにぎわいで、メタバース業界にも話題に花咲くか

VRのにぎわいで、メタバース業界にも話題が

 Metaがついに発表した『Meta Quest Pro』に合わせて、PICOも動き出した。10月に発売されたばかりの『PICO 4』のビジネス向けモデル『PICO 4 Enterprise』の存在が、にわかに明かされたのだ。

 見た目は正面の黒いパネルが金色に変わっただけ。しかし、機能面ではアイトラッキングとフェイシャルトラッキングが搭載されているとのことだ。これ一台だけでアバターへの表情反映ができるのだとすれば驚異的だろう。

 しかし、日本向けの展開はまだ発表されていない。以前からほのめかされている上位機種『PICO 4 Pro』もどうなるか明かされていない。たしかなことは、900ユーロ(約132,000円)という価格設定が、なにを意識して設定されたか、ということだろう。

 MetaとPICOの競争は、今後さらに熱を帯びていくだろう。その光景を、まだ遠巻きから眺めているのが老舗・HTCだ。最近ではスマートフォンに接続するメガネ型デバイス『VIVE Flow』を展開し、完全にMetaらとは路線を違えているHTCだが、直近になって思わせぶりな動きを見せている。

 10月18日に「SMALLER is better.」という一文とともに投稿された画像が、なにを意味するかはまだわからない。しかし、業界の動きに合わせた「におわせ」である。なにかしらのXRデバイスである可能性は高いだろう。巨人・Metaと新星・PICOの動きが活発ないま、老舗の逆襲にも期待したいところではある。

 「メタバースの活気」を推し量る上で、アクティブユーザーの数は参考材料のひとつになる。ブロックチェーンメタバース『Decentraland』は、「デイリーアクティブユーザー数は38人、ピーク時でも657人」「なのに評価額は10億ドルにものぼっている」――分析業者・DappRadarのデータに基づいて、CoinDeskはそう報道した。

 過剰な投機ムードを煽るクリプト業界への一種の批判、のようにも見える報道に、『Decentraland』運営は反論した。DappRadarなどが伝える「デイリーアクティブユーザー数」は「特定のスマートコントラクトトランザクション」のみを対象としたものであり、不正確なものであると。

 そして、9月の月間のアクティブユーザーは56,697人と計上できる、とも発表した。この声明に対し、DappRadarは「ブロックチェーンエコシステム外の動きは追跡できない」と、ユーザー数計上の誤りを認めた。

 『Decentraland』のユーザー数は、コミュニティが作成したサイト(https://dcl-metrics.com/)でも確認できる。この記事を書いている時点でも、直近7日間でのユニークな訪問者数は、平均で6,000人超。少なくとも、閑古鳥は鳴いていないように感じる。直近では大規模な音楽フェス「Decentraland Metaverse Music Festival 2022」も開催される『Decentraland』に、「投機筋ではない盛り上がり」が広く認められる日も近いのかもしれない。

 一方で、全世界のデイリーアクティブユーザーが約5,000万人とも言われる『Roblox』は、徐々に日本にも進出を果たしている。10月20日には、三重県志摩市のリゾート施設『志摩スペイン村』を再現した、『志摩スペイン村 on Roblox』(仮称)が今秋オープンされると発表された。今年は「にじさんじ」の周央サンゴが盛り上げた、あの『志摩スペイン村』である。

 CGで再現された『志摩スペイン村』では、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにしたゲームも遊べるとのことだ。メタバースで本家スペースに近づいているのはある意味おもしろい。一方で『Roblox』は、グッチ、GAP、ナイキ、FIFA、Spotifyなど、名だたる企業が続々参戦している、ビジネス的注目が特に熱いメタバースでもある。日本でもその流れがやってきた、と見ることもできるだろう。

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