スマホ世代を巻き込む“音楽コンテンツの企画性”とは? Vaundy×マカえん・はっとり対談と『ABEMA SONIC』から紐解く

次世代の“音楽コンテンツの企画性”

 現在、ABEMAやNetflixなどの動画配信プラットフォームは、多くの人々の生活に定着した。好きな時に観られて、何度でも観返せる。その自由度の高さは、コンテンツが溢れかえる現代において欠かせないだろう。とくに若い世代、スマホネイティブ世代は最早、テレビよりも視聴する時間が長いのではないか。

 さて、そうした配信プラットフォームにおける音楽コンテンツのあり方について考えてみたい。たとえば、そういった動画サービスの中でも音楽アーティストを題材としたオリジナルのドキュメンタリー番組やライブ映像作品といったものをよく見かけるが、これらは従来のメディア上にも存在していたため、ただ単にプラットフォームだけ入れ替わったような印象が強かった。その意味で最近、興味深いと感じたのがABEMAで10月8日に放送された『J2U【Just the Two of Us】』(以下、J2U)である。この番組は「2人のペースで話す、すきなだけ。」をコンセプトに、2組のアーティストが自由気ままに対談を繰り広げていくというもの。いわゆる地上波の対談番組の配信版とも言えるが、注目すべきはそのブッキングだ。

マカロニえんぴつ・はっとり

 初回はVaundyとはっとり(マカロニえんぴつ)の2人。Vaundyは「不可幸力」や「東京フラッシュ」をはじめ、ABEMAの恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』の主題歌として起用された「恋風邪にのせて」や「霜焼」など、デビュー以来リリースしてきた多くの楽曲が各種ストリーミングサービスのチャートで上位を記録するという、まさに”サブスク時代”を象徴するような存在だ。またマカロニえんぴつは、昨年11月に配信限定でリリースした「なんでもないよ、」がZ世代からの支持を得て、今年上半期のトレンドランキングにも名を連ねたバンド。いわば令和の音楽シーンを担う新世代の2人が選ばれている。

 J2Uでは、ライブ演出や演奏技術などのディープな音楽談義をしつつも「エゴサ」といった現代ならではのトークにも自然と移っていたのが印象深かった。目まぐるしく変化する音楽シーンにおいて、当事者たちがどんなことを考えながら活動しているのかを知れるという面でも貴重な場である。それを彼らのリスナーに馴染み深いデバイスでチェックできるのがいい。音楽シーンの主戦場がスマホになった時代に適した企画だと言えるだろう。

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