クリエイターの祭典『Adobe MAX 2022』開催! 日本会場から伝わってきた熱気をレポート

『Adobe MAX 2022』レポート

 つづいてメインステージでは「クリエイティブの源泉」のプログラムが行われた。はじめに登壇したのはチームラボの堺大輔氏と工藤岳氏。堺氏はチームラボの事業には「アート」と「ソリューション」、2つの事業があるといい、それぞれの事業のクリエイティブの源泉について両人が語りはじめた。

 「僕らのクリエティブの源泉は3つあります。まずは『チームで物を作ること』。これを一番大切にしています。たとえばアイデアが浮かんでも、優秀なエンジニアを含めたチームでなければ、形にすることができない。チームで猛進し続けるというのが僕らチームラボの大切な要素です。そうやって制作をしていると、様々な知見がチームに蓄積されていく。この『積み重なった知見』こそが、我々のクリエイティブの2つ目の源だといえるでしょう。そして最後は『場を維持し続けていること』です。自分たちがより良いものを作り続けるにはどういった環境に身を置くべきなのか、どんな場を作るべきなのかについて考えています。オフィスのなかでもなにかを言いやすい、話しやすい、というようなことを重視しながら、バラバラの人間が一つのチームとしてものを作ることができるよう、とにかく場を維持しようと努めています」

ほかにも語れることはたくさんあるが、時間が来てしまったと両人は退場。「この発表がなにかのお役に立つことがあれば嬉しいです」と笑った。

プログラム後半では篠原ともえ氏が登壇し、自身のクリエイティブについて子供時代を振り返りながらクリエイティビティの源泉を解説してくれた。

 「幼いころから絵を描くことが大好きでした。これまで描いてきた絵を数えたら、落書き程度のものも多いのですが3万点ほどありました。どんな服を着てみたいか想像しながら絵を描いていました。私は筆圧が強くて、ぐぐぐっと力を入れると紙に文字が埋まる。なんだか紙の中に自分が入ってしまうような、そんな世界に没頭していました。16歳で歌手デビューをしましたが、私が紙に描いていた世界を実現できるのがメディアの世界だったのです」

 ものを作るときには感触、てざわりを大事にして、自身のルーツを引き出しながら身の回りの風景を観察する。これらが篠原のクリエイティブの源泉であり、モチーフは自然や自身の身の回りから得ることが多いと語った。感触を大切にしながらそれを服に落とし込んでいった制作の事例を紹介していく。プログラムの最後には篠原氏自身が舞台上で着用している服の制作過程も紹介された。

 「普段歩いているアスファルトや石畳がテキスタイルのようだと思ったことがありました。特に雨の降ったアスファルトなんて、キラキラ輝きます。雨でキラキラ輝いた一瞬が、私にとっては美しい一瞬なんです。これを私が絵に描いて作品にしたらどんなに素敵だろう、そんなふうに思いを巡らせました」

 チームラボ、篠原のプレゼンにはそれぞれ現地でも拍手が起き、そのクリエイティビティについての貴重な視座をうかがうことができた。

 その後、会場ではアプリケーションジャンルに区分けされたセッションが行われる。デザインやUX、3DCGなどのジャンルに区分けされた会場内には、あらゆるアドビのクリエイティブアプリを実践的に使いこなせるようなセッションが揃う。加えてTシャツ制作ブースやVRデザインの体験ブースなど、体験型のブースがあったのもお祭りらしい。参加者はケータリングの食事を楽しみながらそれぞれのセッションについて語り合い、設置されたガチャガチャやアドビサプライを楽しんだ。

 2年ぶりのリアルイベントにおいて繰り返し強調されたのは「コミュニティ」という言葉だ。アドビという企業は人々のクリエイティビティが加速、発展するうえでコミュニティの存在を非常に重要視している。ソフトやサービスのさらなる進化と、いずれ開催されるであろう、より大きな会場での『Adobe MAX』に期待を寄せながら、いまは発表直後のさまざまな新機能を、友人や同業者に声をかけてみんなで”一緒に”試してみるのがオススメだ。規模を問わないクリエイティビティこそ、アドビの真髄である"Creative for All"にほかならないのだから。

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