駆け抜けるようにパワフルで衝動的な一夜 にじさんじ『FANTASIA』振替公演2日目レポート
この日のセットリストでも、観客を驚かせたパフォーマンスはいくつかある。
叶と三枝による「ねぇねぇねぇ。」は、現地でも驚きと歓喜の声が思わず漏れてしまった曲だ。「可愛い曲やるよ!」と三枝が何度も口にしていて、心の準備をしていたのにも関わらず、だ。
本来であれば、女性2人で歌った方がマッチする曲であろうが、そこは叶&三枝の2人である。自身の武器を理解している2人だからこそ、振り付け・ダンス・ちょっとした所作すらも可愛らしく、声もどことなく普段の歌声よりも柔らかめにすら感じられる。まさに「ファンのご要望・ご想像を叶える」ようなセレクトであろう。
ちなみに、「ねぇねぇねぇ。」の叶&三枝のかわいらしさをみた同僚の女性陣も声をあげていた。
かわいいいいいいいい!!!!!
さくゆい負けました。#FANTASIA_Day2— 椎名唯華👻 (@yuika_siina) October 1, 2022
ねぇ!!!可愛い!!!
#FANTASIA_Day2— 桜 凛月🌸 SAKURA RITSUKI (@SAKURA_RITSUKI) October 1, 2022
もしかして、にじさんじのライバーってみんな天才?
— 星川サラ🌟Sara Hoshikawa (@Sara_Hoshikawa) October 1, 2022
リスナーやファンに向けたセレクトとは真反対に、自身の世界観やこれまでのバイオグラフィ上外せない楽曲を披露した者もいる。卯月コウによる「脱法ロック」や、ラブライブ!の「Snow halation」だ。「Snow halation」は「ラブライブ!のライブへ行った帰りに雪が降っててその時食べた牛丼が美味かった話」こと「ラ帰雪牛」のネタを持ち込むかのように、「卯月コウの文脈」をしっかりとねじ込んできた。ちなみに「Snow halation」では卯月がキッカケとなってVTuberになった三枝が脇を固めているというのも、にじさんじファンならば見逃せないポイントになるだろう。後日の「にじフェス2022」感想配信で、ライブでの自分や他メンバーについて語りつつ、卯月コウについて特に熱心に語る三枝の姿がある。
「文化祭」をテーマにしているということで、想起されやすいイメージ像として「少年」があるだろう。加賀美と卯月による「らしさ」、もしくは剣持、卯月、シェリンによる『女々しくて』は、少年というイメージがもたらす無邪気さ、ヤンチャさ、あるいは精神的葛藤、どうしようもない焦りといったメッセージをしっかりと提示していた。
とはいえこういった勢いとテーマ性があったからこそ、夢追による「おそろいの地獄だね」と叶による「Jam Jam」といったクールなオリジナル曲がより映えて観客に届けられた部分はあるだろう。
そんな8人の姿は、立ち絵で感じていた通りにロングコート、マント姿でバッチリと極まったキングやプリンスのような出で立ちだ。その衣装だからこそ、光の反射・光沢・テカりが印象的に輝いて見えた。
ハネあがるマントの動き、肩から背中にかけて流れる光の動きは実物の質感のようだ。少なくとも、3Dルックなゲームキャラと映像表現に見慣れたファンにとってはしっくりとくる映像表現へと昇華されていた。
今回筆者はかなり後方にいたが、あの滑らかな動きと光影表現を間近でみた観客は、どれほどに驚かされたであろうか。
新たにライブパフォーマンスを披露した2人のパワフルさ・エッジさはライブ全体・他メンバーにも浸透していき、ようやく叶った超大型フェス開催の祝いと延期の悔しさを晴らすパワーへと繋がり、初めてにじさんじのメンバーを生で見るであろうファンの目を間違いなく奪った。
これからドンドンと「見慣れていく」であろうにじさんじのライブイベントにおいて、彼らのようなニューカマーの存在が重要になっていくのではないか? そう感じさせてくれる一夜でもあった。
8人が歌い踊り、あらゆる「持ち色」を出し尽くしたーーにじさんじ『FANTASIA』振替公演初日レポート
「みんなで揃って活動することが多かったから、『文化祭』のコンセプトのように一緒に良いものを作ろうという気持ちになれた」 「1度…