カルト教団を運営する異色のローグライク『Cult of the Lamb』 改めて感じた「ローグ」系の面白さとは

カルト教団を運営する異色のローグライク

 筆者が一年のうちでもっともプレイするジャンルは「ローグ」の名を関するゲーム、「ローグライク」と「ローグライト」だ(※)。このジャンルが根強い人気を誇るインディーゲームのレビューやコラムを多く書くことから、必然的にプレイする機会も多く、また筆者の好きなジャンルということも拍車をかけている。

 今回は、今年8月にリリースされ、発売1週間で全世界で100万本の売上を達成した大ヒットタイトル『Cult of the Lamb』(Steam/Nintendo Switch/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X/S)を紹介すると同時に、ローグライトの成功例として、本作の何が優れていたのかを考察していく。

生産拡大していく教団運営パート

 『Cult of the Lamb』はダンジョンを潜るパートと、カルト宗教を運営するパートに分かれたゲームだ。プレイヤーは封印されている邪神に命を救われた代償に、カルト宗教の教祖となり、教団を発展させながら、敵対する神々と戦うこととなる。

 まず、教団運営パートではプレイヤーは教祖として、信者の信仰心を集めながら、食材を集めて料理をして食事を提供したり、病気が蔓延しないように拠点を清潔にしたりといったタスクをこなしていかなければならない。この3つの要素のパラメーターは表示されており、これらを管理することが教団運営の中心となる。

 教団の信者は、ダンジョン内のイベントで勧誘することができたり、金銭で購入することが可能だ。彼らはプレイヤーの代わりに様々な仕事をこなしてくれるほか、信者が増えることで様々な恩恵が得られる。また、信者の数が一定数以上だとダンジョンがアンロックされていくので、ゲームの進行のためにも信者は増やしていかなければならない。尚、信者は年を取って働けなくなり、いつかは死んでしまうので、一度増やしたからといって勧誘を止めることは得策ではない。

 信者が行ってくれる作業は序盤こそ、素材集めや施設の建設といった基本的なものだけだが、施設を建設することで宣教師として派遣し素材や信者を集めさせたり、悪魔を憑依させてダンジョンに一緒に潜ったりといったことが可能になる。

 本作では新たな施設や、ダンジョン攻略の際に活躍する武器等はツリー性でアンロックされていく。施設のアンロックに必要なポイントは、主に信者に祈りを捧げさせることで溜まっていくポイントである「祈念」を、武器は教場で説教を行った際に信者から得られるポイントをそれぞれ使用する。また、ゲーム中に手に入る「戒律石」を使用すれば、宗教の方針・ルールである「教条」を定めることができる。教条は信者にお布施を求められるようになるものなどに加え、カニバリズムをよしとするような過激なものまで存在する。

祈りを指示すると信者が礼拝像に祈りを捧げ、ポイントを貯めることができる

 また、教場では資材を消費して様々な恩恵が得られる儀式を行うことができる。儀式では、信者同士を結婚させるものや、農作物を一瞬で育てるものなどがあるほか、信者を生贄に捧げることで大量の資源を得られる物などが存在する。

教場で行える説教や儀式は、ダンジョンの攻略を有利にしたり、教団運営の助けとなる

 本作では信者に十分な食事や寝床を与えなかったり、拠点を衛生的に保てなかったりしていると信仰心が低下していく。信仰心が減っていくと信者の一部が離反者となり、教団についての悪評を流布し始めた挙句、教団を去ってしまう。そのため、信仰心には常に気を配る必要がある。また、離反者は儀式で生贄に捧げてしまえば手っ取り早く始末できる。

 こんな風に、本作の教団運営パートは信者を増やせば増やすほど任せられる仕事は増え、得られる各種ポイントも増える「生産拡大ゲーム」的なものとなっている。教団の運営をうまくこなしていれば、新たな武器や呪い(特殊攻撃)が手に入るのでダンジョン攻略もどんどん楽になっていく。

ダンジョン攻略はシンプルかつライト

 ダンジョンの攻略はシンプルで、ランダム生成されるダンジョンを移動と攻撃、呪い、回避で踏破していくこととなる。ダンジョンは部屋で区切られており、そこで出現する全てのエネミーを倒すと次の部屋への道が開けるというもの。ダンジョンではエネミーだけでなく、信者を獲得できるイベントや、バフを与えてくれるタロットカードを入手できる場所などもあり、最深部にはボスが待ち受けている。

本作の戦闘では難しい操作等は不要だ

 武器は使いやすい剣や大振りだが攻撃力の高い斧などが存在。呪いも敵を追尾する弾や、毒状態にする爆弾など様々だ。これらはダンジョン開始時に呪いランダムで1種類を入手できる他、ダンジョン内でも入手が可能だ。

 エネミーの攻撃は予備動作があり回避しやすく、厄介なのは遠距離で攻撃してくるものくらいなので、アクションゲームが得意なプレイヤーなら難なくボスまでたどり着くことができるだろう。また、ボスの攻撃は苛烈だが、回避方法や攻撃パターンを把握すればクリアできるもので、難しい操作等は必要とされることはない。また、ダンジョンもボス戦も教団をしっかりと運営し、強力な武器と呪いを解禁していれば楽にクリアすることが可能だ。

 ダンジョンでは新たな信者だけでなく、施設の建設に必要となる資源や設計図も手に入る。農業で使う食材の種や、儀式で使うことが多い骨などはダンジョンでの入手が基本となる。ダンジョンパートはストーリーの進行に必須と同時に、教団運営にも大きく貢献してくれるという訳だ。

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