『ダークソウル』から振り返る「死にゲー」クロニクル ゲーマーを惹きつけてやまない魅力とは?

『ダークソウル』から振り返る「死にゲー」

 5月24日に発売となった『DARK SOULS REMASTERD』は、高難易度なゲームバランスで世界中のファンに愛されているタイトルのリマスター版だ。いったい何人のゲーマーが「YOU DIED」の文字に頭を悩ませただろうか。その難しさゆえに、『DARK SOULS』シリーズは現在、「死にゲー」として広く定着している。

DARK-SOULS-REMASTERED

 死にゲーと言うと、「理不尽な難易度ですぐゲームオーバーになる」「ゲームシステムが不親切」といったネガティブなイメージを持たれがちだが、その認識はぜひあらためてほしい。もちろんその手のゲームもあるが、筆者が思うに、多くのゲーマーに愛される死にゲーの本質は、「困難を乗り越えた先につかみ取る達成感」だ。過去に誕生し、今も語り継がれる死にゲーは、知恵を絞り、プレイ精度を上げることでクリアが可能な絶妙な難易度や、随所に丁寧な作り込みが見られる作品がほとんである。

 そこで今回は、ある意味ニッチなジャンルの死にゲーを語る上で欠かせない、4つのタイトルをご紹介する。一部作品を除き、バーチャルコンソールなどのダウンロード版が発売されている。ゲーマーにはおなじみの作品だが、プレイ経験がない人も少なくないだろう。いずれもやりごたえ十分の名作で、気になる方は手に取って損はないはずだ。

魔界村(AC)

 魔物にさらわれてしまった姫を救うべく、パンツ一丁に鎧をまとった騎士「アーサー」を操り、魔界を冒険する横スクロールアクションゲーム。ストーリーこそ今みると凡庸だが、本作が後のゲーム史に残した影響は大きい。

 最序盤からひっきりなしに出現するザコ敵に囲まれて即死するのは当たり前で、思うように動かない独特のジャンプアクションで自滅することもある。プレイ済みの方なら、全身真っ赤な恐ろしい悪魔「レッドアリーマー」の不規則な挙動に惑わされ、屍の山を築いた経験があるかもしれない。

 だが攻略パターンを確立することで状況は一変。あれほど苦戦したステージを、コツさえ掴めば簡単に突破できるようになる。『魔界村』は、ごり押しプレイではなく、しっかりと考えてゲームを解く楽しさを提供してくれるのだ。

不思議のダンジョン2 風来のシレン(SFC)

 1993年に発売された『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』のキャラクターを変更し、ゲームシステムを更にブラッシュアップしたのが『不思議のダンジョン2 風来のシレン』だ。ジャンルはローグライクRPGで、プレイごとに挑むダンジョンの内部や仕掛けが全てランダム生成される。

 つまり潜る度にダンジョンの構造が違うので、決められた攻略法を編み出すというより、各個人が培ってきた野生のカンが頼りとなる。幾多の危険を回避することで、シレンとプレイヤーは経験値を積むことになるが、ダンジョン内で力尽きた(ゲームオーバー)場合は、驚くことにアイテムが全て没収となり、上昇したレベルも1に戻ってしまう。もう少しでクリア、というところですべてが失われたときの衝撃に、多くのプレイヤーが心を砕かれてきた。

 しかしランダム性を多分に含むゲームシステムのおかげか、「もしかしたら次はクリアできるのでは?」と淡い希望を胸に抱き、これまでの死から得た経験を携えて、冒険者は再びダンジョンに足を踏み入れる。テンポの早いアクションゲームにはない、ジワジワ迫る生と死の狭間の上で、プレイヤーは何百回でも、何千回でも楽しく踊るのだ。

怒首領蜂(AC)

 画面をこれでもかと言わんばかりに埋め尽くす敵弾が特徴的な、弾幕系シューティングゲームの傑作。シューティングゲーム経験者も含めて、初めて『怒首領蜂』シリーズに触れたプレイヤーは、その敵弾の多さに圧倒されるだろう。

 機体は弾に当たると一発アウトだが、意外にも本作における機体の当たり判定は小さく、見た目では自機に当たっていてもミスにはならない。「絶対無理!」と思っても案外避けられるので、序盤は無数の敵弾を避ける快感が手軽に味わえる。

 しかしステージが進むと敵弾の発射パターンが複雑になるので、ビギナーズラックだけではクリアするのは難しい。そこで、針の穴に糸を通すような繊細な操作テクニックと綿密なパターン分析が必要になってくる。そういった冷静な判断力と一切のミスも許されない精神集中が織りなす極限の緊張感が、多くのシューターを虜にする所以であろう。

プリンス・オブ・ペルシャ 二つの魂(PS2)

 最後に取り上げるのは、2006年にプレイステーション2で発売された『プリンス・オブ・ペルシャ 二つの魂』だ。元々はPCやスーパーファミコン向けに発売された2Dアクション主体のシリーズ作品なのだが、本作は完全3Dアクションとなっている。

 ダッシュ、ジャンプ、攻撃といった基本動作に加え、壁つかみやぶらさがりからの跳躍といった細かいアクションも可能。『プリンス・オブ・ペルシャ』シリーズ伝統の骨太な謎解きと高度なアクションに加え、要所では時の巻き戻しやスロー化といった時間操作が求められる。

 主人公キャラクターの性能を最大限引き出さなければ進めない箇所も多く、またヒント機能もないので、プレイヤーは死にながら攻略法を見出すことに。それも相まってか、ゲーム中は即死トラップ前の多くにリトライポイントが設定されており、例え死んでしまってもすぐに再開できる。トライ&エラーの楽しさを提供してくれるPS2後期の名作ソフトなので、今からでも遊んでもらいたい一品だ。

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