舞元啓介の持つ「度量の広さ・深さ」 プロレス流のエンタメ術に迫る

舞元啓介の持つ「度量の広さ・深さ」

 そんな彼の懐深さがあってか、にじさんじ内外でも人気者としてたしかな存在感を放っている。

 活動初期から繋がりが深い天開司を皮切りに、あっくん大魔王、Monsterz Mateのコーサカ、ふくやマスター、伊東ライフ、兎鞠まり、犬山たまき、神楽めあ、因幡はねるといった個人VTuberや女性VTuberらとの交流は深い。

 彼らとのコラボ配信といえば強烈なイジリ有り・下ネタ有りの深夜ラジオらしさやアングラなムードが漂い、強烈な支持と期待感がリスナーやファンから集まっている。

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 現在ではともに配信することは少なくなったが、ホロライブに所属する大空スバル、白上フブキらとの繋がりを見過ごすこともできないだろう。特に大空スバルとのコンビは「舞スバ」とも呼ばれ、コラボ初回から明らかに一線を越える内容をやり切ろうと試みたり、コラボ配信を重ねていくなかで徐々に活動に慣れていくまでの成長していく2人の姿がそこにはある。

 舞元のデビュー日は2018年8月13日、大空スバルのデビュー日は2018年9月16日。先にも述べたように、このタイミングはスポーツ観戦実況がうまくいかなかったタイミングであり、舞元曰く「辞めるかもしれないと思っていた」とナーバスになっていたころだ。

そんななかで届けられた大空スバルとのコラボ配信によって、「芸人枠」として当時のリスナーや同僚らにも浸透、その後2人の活動は大きく変わっていくことにもなった。

 ちなみに大空スバル自身のチャンネルでは現在2020年より以前の配信アーカイブが非公開に設定されるため、2018年9月22日に配信された舞元との初コラボ配信は「デビュー直後の大空スバル」を見れる数少ない配信でもある。

 2020年11月27日にイラストレーター・しぐれういとの3人コラボ「大空家」としてコラボして以降、配信上で絡むことが一切なくなってしまったが、多くのファンが「もう一度」と願うコラボグループである。

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 にじさんじ内でも、ベルモンド・バンデラス、花畑チャイカ、社築、ジョー・力一らとともにおじさん・年長組として存在感は抜群。イケメン・美女で年齢が若めなにじさんじメンバーが多いなか、アラサーである彼らのビジュアル・存在は空気を「ピシッ」と締め、ときには茶目っ気たっぷりな振る舞いで場をコントロールすることもある。

 特にジョー・力一とはラジオ配信「舞元力一」を2018年11月17日にスタートして以降、すでに何年も一緒に活動していたかのような抜群のトークと漫才を聞かせ続け、2人のファン・リスナーを掴むキッカケともなっていた。

 ゲーム・スポーツ・格闘技・音楽・サブカルと得意とする分野は若干違えども、互いの趣味性が似通っていると語る2人は、にじさんじの誇る名コンビとして名を馳せている。

【にじさんじ】ラジオ「舞元力一」#44【舞元啓介/ジョー・力一】
【ゲスト:花畑チャイカ】ラジオ「舞元力一」#53 【にじさんじ/舞元啓介/ジョー・力一】

 その空気はもちろんにじさんじのスタッフ側にもしっかりと伝わっているようで、自身が運営にかかわっている「にじさんじ甲子園」を筆頭にして、企業間でのコラボレーション企画・公式番組などで司会・MC役となることも多々ある。

 こうしてみれば、器量・度量・懐の深さで来るもの拒まず、しっかりとエンタメへと打ち返していくそのスタイルは、運営スタッフ・ファン・同業者やメンバーからも大きな信頼を勝ち得ているのが分かるだろう。

 影響はやはり大きく、静岡県で農家として活動していた兼業スタイルから配信業一本の専業スタイルへと徐々にシフトしていき、2021年末ごろから都心に近い場所に引っ越したと報告。2022年6月28日には、長年着続けてきた作務衣からバレンタイン衣装として追加されていたスーツ姿へと公式ビジュアルが変更されている。

 いまの彼は自身の配信だけでなく、にじさんじを背負っての企業案件をこなすことも多く、とある配信の中では「いまのオレの収入は、実は7割ほどが企業案件による収入なんだよ」と公言するほど。事務所スタッフとも面と向かって対話し、時には怒ることもあるという彼の存在は、日に日に「にじさんじ」の中で輝きを放っている。

 キズナアイや電脳少女シロといったVTuber四天王が活躍していた2016年から17年ごろからVTuberのファンとなった地方住まいの男が、いまやVTuber/バーチャルタレントシーンを代表する事務所を背負ってあちこちに引っ張りだことなっている。

 「VTuberは女性が先んじてウケるもの」「男性はアイドルっぽくないとウケない」そんな穿った意見すらもハネのけ続けてきた軌跡は、舞元啓介流のストロングスタイルを作り上げたといってもいい。これからも研鑽をつづけ、更なる飛躍を遂げてくれるはずだ。

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