TikTokで“美容XR”がバズるわけとは? 現役大学生の視点から考える
現実世界と仮想世界を融合するXR(クロスリアリティ)は日々進化してきている。
私たちになじみ深いXRといえば、インスタグラムのARエフェクト機能などがあげられるだろうか。自分に似合うものを見つけることができるエフェクト機能が流行するなど、いまではたくさんの「盛れる」エフェクトであふれている。
しかしこういったメイクやヘアカラーなどの“美容XR”がバズっている一方でVR試着などの“ファッションXR”はまだ世間に浸透している印象がそこまでない。この浸透の違いはなんなのだろうか。本稿では、日々進化する美容・ファッション業界のXRにおいて、なぜ美容業界だけがSNSを中心に流行しているのか、現役大学生の筆者の視点から考えていく。
髪色を自由に変えられる?!最新バズり動画
まずは実際にバズっている‘‘美容XR”を2つ紹介しよう。
TikTokの髪色診断エフェクトだ。目を閉じるたびに自分の髪の色が変わっていくというもの。
なかでもパステルヘアーカラーに変身することができるエフェクトを楽しむ動画は42,300本(8月22日現在)も投稿されている。
@smile._.0921 #髪色診断 赤髪みんな好き?私は好き。♡#きみが次に好きなもの #pr ♬ オリジナル楽曲 - 🧸聖秋流🍂 - 聖秋流
このエフェクトを使えば自分にはどの髪色が似合うのか試すことができる。実際に染める勇気はないけれど明るい色に染めてみたいといった人も手軽に疑似体験ができるという魅力が、このエフェクトがバズっている理由だと筆者は考える。
2つ目はリップチェンジエフェクトだ。5色の色が異なるリップが次々と自分の唇に反映され似合う色を見つけることができるというもの。このエフェクトを使ったユーザーたちは似合うリップの色と同時に自分の肌の色がイエローベースなのかブルーベースなのか考えて楽しんでいる。
@feeyong34 今回はちゃんと成功😆💋 #リップチェンジ #ひよん#韓国人 #おうちで過ごし隊 #한국인 #한국사람 ♬ 오리지널 사운드 - 김예잰
このエフェクトがバズった理由も「髪色診断エフェクト」と同様に、実際に試すには抵抗がある色も手軽に楽しめるうえ、自分に似合う色を再確認できるという魅力があるからではないだろうか。
プロジェクションマッピングを顔に投影?!最新美容バーチャル空間
ここからは最新の‘‘美容XR”と‘‘ファッションXR”を元に、ユーザーにどんな体験をもたらすのかを比較し、SNSなどの流行に繋がるのかを考えてみたい。
まずは‘‘美容系XR”。コーセーが運営するコンセプトストアMaison KOSE銀座では8月17日に1階のフロアを全面リニューアルした。
最先端のメイクシュミレーター『COLORMACHINE』を活用したメイクレッスンなどのビューティーアトラクションを導入。『COLORMACHINE』は東京工業大学 渡辺研究室が共同開発し、プロジェクションマッピング技術を応用した最先端のメイクシュミレーターだ。顧客自身の顔に好みのメイクが立体的に追従して投影され、リアルなカラーメイク体験を可能にしたこの技術により2Dバーチャルメイクよりもさらに立体的なメイクを楽しむことができる。
みなさんのなかにも、自分でメイクをするとなるとマンネリ化してしまったり、デイリーメイクでは使いづらいような色の使い道に困った経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。しかし、XRによって手軽に自分に合った色を試せるようになることで新たな発見につながるかもしれない。
ファッション業界も注目するバーチャル空間
次に‘‘ファッションXR”。最近ではファッション業界のバーチャル空間がさらに進化しているのだ。そこで、ファッション業界で注目を浴びている最新XRについていくつか紹介しよう。
ジーユーは2018年に原宿にオープンした店舗にて『GU STYLE CREATOR STAND』という撮影機能を搭載した大型デジタルサイネージを設置している。その場で撮影した顔写真から自身のアバターが数十秒で作成され、ジーユーの商品を着用させることができる。また、気に入ったコーディネートは公式アプリ『GU STYLE CREATOR』にて登録することも可能だ。
また、BEAMSは過去に3度もバーチャルショップを出店している。社員が実際にアバターを操作し接客を行い、VR上でのショッピングが楽しめるというものだ。VR上で展示されているアバターに触れるとBEAMS公式オンラインショップが表示され実際に気に入った商品を購入できる仕組みになっている。
こうしたバーチャル空間で購入した商品が実際に手元に届くという仕組みは直接店舗に行かなくてもショッピングを楽しめるため、いまのご時世的にも便利なものである。
ではなぜ美容系のバーチャル空間はTikTokを中心に広まっているのだろうか。私は手軽さとイメージのしやすさというのが一番の理由であると考える。
‘‘ファッションXR”の難しさ
XR空間で自分の気に入った服を選ぶとなるとやはり現実との境目が浮き彫りになってしまい正確なイメージがしにくいといった問題点があげられる。私自身、服を選ぶときは手元で素材などを確認してから購入したい派である。そのためXR空間で服を購入するということには抵抗がある。しかし‘‘美容系XR”は自分の顔にそのまま反映することが可能なためイメージしやすいものとして人々に受け入れられているのだろう。私たちは無意識のうちにXR空間に対してより現実世界との隔たりをよりなくすことを求めているのかもしれない。かわいさやカッコよさをする意識する現代の若者にとって‘‘美容XR”空間は自分の「なりたい」を叶えてくれる理想空間になっているのではないだろうか。
バーチャル空間でコスメをお試し! PinterestがARメイク機能「バーチャルトライ」ローンチ
写真共有サービス・Pinterest(ピンタレスト)が1月29日、Pinterest レンズを活用した新機能「バーチャルトライ」…