人類と侵略者の戦いを描いて19年 「地球防衛軍」シリーズの“伝統芸能レベル”で変わらないゲーム性とカタルシスについて考える
8月25日、ディースリー・パブリッシャーはアクションシューティングゲーム『地球防衛軍6』を発売した(PlayStation4/PlayStation5)。
タイトル名の通り、同作は2017年にリリースされた『地球防衛軍5』の続編である。時は2027年。前作の最終決戦で未曾有の危機を乗り越えた人類だったが、3年越しにまたしても地球に脅威が降りかかる。
先の大戦で人類は9割近くが滅んでしまったため、被害からの復興はもちろん、軍事力の立て直しもまだまだ不十分。そんな中、主人公(プレイヤー)が所属する地球防衛軍(通称:EDF)は、地球を蹂躙せしめんと大挙襲来した外生物に決死の覚悟で立ち向かっていく……というのが、『地球防衛軍6』の大まかなあらすじだ。
過去シリーズタイトルを一通り遊んだ筆者もさっそく同作を5時間ほどプレイしてみたが、早い話、達成すべきことや基本的な遊び方はほとんど変わっていない。もちろん幾つかの新要素こそあれど、同シリーズが脈々と受け継いできた本質は据え置きといっていい(販売価格は変わったが)。
そこで今回は、誕生から19年を迎えた「地球防衛軍」シリーズのこれまでを振り返りつつ、最新作『地球防衛軍6』になっても変わらない同シリーズ特有の魅力について考えてみたい。
SIMPLE2000から人気に火が点いた「地球防衛軍」シリーズ
2003年6月26日、同シリーズはPlayStation2(PS2)用ソフト『SIMPLE2000シリーズ Vol.31 THE 地球防衛軍』で産声を上げた。当時の販売価格は2,100円(税込)と、現在の同シリーズ作品と比べてかなり安価な値段。これは、ディースリー・パブリッシャーが手掛ける廉価シリーズ「SIMPLE2000」のラインナップ作品として制作されたからであり、次作『SIMPLE2000シリーズ Vol.81 THE 地球防衛軍2』も同様の価格帯で発売されている。
しかし、Xbox 360用ソフト『地球防衛軍3』からは「SIMPLE2000」ではなく、”地球防衛軍”という単一のシリーズラインがスタートする。以降、「地球防衛軍」シリーズはプラットフォームを跨ぎつつ、19年をかけて6作が誕生することに。また、『地球防衛軍4』を含む後続タイトルは、家庭用ゲーム機だけでなくPC(Windows)でも遊べるようになった。
同シリーズで語られるお題は、第一作目から一貫している。”彼方より飛来した巨大生物を駆逐するため、プレイヤーはEDFの隊員となって現場に急行。オーソドックスなアサルトライフルに高火力のロケットランチャー等の武器を使い分け、迅速に脅威を排除しなければならない。こうした一連の戦いを一つのミッションとして遂行し、人類に平和が訪れるまで危険を顧みずに戦い抜く。人類vs侵略者”。これが「地球防衛軍」における究極のテーマと言っても過言ではない……というより、ありのままを表したフレーズだろう。
ちなみに、「地球防衛軍」シリーズはゲーム性の異なる派生タイトル計5作に加え、アプリゲーム(フィーチャーフォン/スマートフォン)や小説も展開している。同シリーズの世界観をシミュレーションゲームに置き換えた『SIMPLE2000シリーズ Vol.103 THE 地球防衛軍タクティクス』や、グラフィック周りをキューブ状にアレンジした『ま〜るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS』等々、いずれもバラエティに富んだ作りが目立つ。メインシリーズの根幹は変わらないものの、派生タイトルで見られた幾つもの変わり種が、ある意味で「地球防衛軍」シリーズの形成に寄与している。