100秒=1,000円で脳波を買い取る? クリエイター集団Konelが「脳波買取センター」を開いた理由
「脳波買取センター」。その名前だけでもインパクトが大きいのだが、ジョークではない。越境クリエイター集団Konelが、7月30日から8月7日までアーツ千代田3331で開催した「BWTC Trade Week」では、本当に来場者の脳波を100秒=1,000円で買い取ってくれるのだ。
筆者はプレスデーに参加し、実際に脳波買い取りも体験した。
「BWTC Trade Week」とは
累計11カ国籍のメンバーが、世界4拠点で活動しているアーティストコレクティブ・Konelが新たに立ち上げた「BWTC」。市民から脳波を買い取り、そのデータから適正に収益化を図る組織として発足した。自動買取機というものを用いて、脳波を買い取り、そこから独自のプログラムで脳波絵画を生成すると言う。生成された絵画は、様々な価格で即時販売される。
BWTC Trade Weekでは、来場者の脳波買い取りと合わせて、脳波絵画の展示も実施。買い取り体験とあわせ、どのような絵画が生成されるのか、実物を目にすることができるイベントだ。事前のSNS発信も含めた取り組み全体が、社会実験型の作品となっている。
代表の出村光世氏によると、今回のイベントでは「不透明なデータの価値」と「脳波計の大衆化」という2点をキーワードとして掲げている。今やデータのプライバシーに対して、便利や安心は当たり前となっている中、「安心、便利以外のデータの価値が作れないかと考えた。人々が議論してくれるスタート地点となれば」とBWTC発足の目的を話す。
見どころは、一連の体験がフローになっている点。「買い取り希望じゃなくても、鑑賞や購入ができる。また、脳波を売るという体験として、自分の内側を価値として変換できるのは面白い部分だと思う。この体験を通して、価値のバランス感覚について考えて欲しい」と話していた。
「脳波を扱う未来の会社」をイメージ
会場は「脳波を扱う未来の会社」を想定していると言う。スタッフが着る青いウェアや場内の雰囲気も含め、SF作品に出てきそうな雰囲気だ。
会場右手にあるのは「VIDEOS」。「3つの映像作品を通して、この場所が何をするところなのかイメージを膨らませて楽しんでもらいたい」と言う。
その横のスペースではスタッフが買い取った脳波の値付けを行っている。寸劇のような雰囲気で、スタッフの様子をみることができる。ちなみに、値付けの基準は企業秘密とのこと。
奥には、脳波の展示スペースが用意されている。ひときわ巨大な作品は、9歳の子どもの脳波から作られた絵画。1時間もの間、ひとつのことを考えてもらうという挑戦をしてもらったという。
買い取られた脳波絵画をリアルタイムで見ることができるモニタも設置されていたほか、 購入のためのスペースも設置。自分の脳波絵画がどう仕上がるか知ることができる。意外とでこぼことした触感がある絵画となっているのも楽しい。
自分の脳波を持って帰りたいという人のために、700円でレプリカの販売も行っている。トレーシングペーパーにプリントされた作品は、また本作品とは違う魅力を持つ作品に。
そして会場の出入り口にあるのは、自動販売機。これは「現実へ戻る装置」として設置しているとのこと。買い取ってもらった脳波のお金で、ジュースを買うのも一興だ。