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Facebook、AIが脳波パターン予測し思考を読み取る技術発表 プライバシー保護で疑問の声も

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 ひと昔前ならば人知れず大学や研究所だけで行われていた脳波を入力手段とするBMI(Brain Machine Interface:ブレイン・マシン・インタフェース)の研究は、現在ではテック系企業が未来の覇権を握るために推進している。有名起業家のイーロン・マスクが出資するNeuralink社の取り組みは既報の通りだが、今度はFacebookがBMI研究の成果を発表した。

選択行為なしで思考を読み取る

 US版『Engadget』は先月31日、Facebookが支援するカリフォルニア大学の研究チームが脳波のパターンをAIで予測して思考を読み取ることに成功したと報じた。脳波から思考を読み取る研究は以前から行われているが、従来の研究アプローチは被験者にキーボードから何らかの文字を意識的に選択してもらった時の脳波を解析する、というものであった。この方法では、選択する文字を思い浮かべた後にボタンを選択するという言わば2段階の脳活動が生じてしまうので、被験者が選択した文字を割り出すまでに時間がかかってしまうという欠点があった。

 今回発表された研究成果は、意識的なボタンの選択なしに被験者の思考を読み取るものだ。こうした成果を得るために、まずボランティアのてんかん患者に同意を得たうえで脳の表面に電極を刺した。そのうえで用意しておいた選択肢のある質問を尋ね、被験者に答えてもらう。被験者が任意の選択肢を選んだ際に脳波が生じるのだが、この脳波のパターンをAIに学習させるようにした。こうして学習したAIは、その選択肢を選んだ際に生じる脳波を特定できるようになる。そして、最終的には被験者が何らかの選択肢を選んだ時に、その選択に伴う脳波の発生をAIが予測できるようになるという。以上のような実験を繰り返した結果、AIは61~76%の精度で選択を正しく予測できるようになった。

音声は最適な入力手段ではない

 それにしても、なぜFacebookはBMIの研究を支援しているのだろうか。その答えは、先月30日に公開されたFacebookの技術系ブログ記事を読むとわかる。同社は、脳波をARメガネの入力手段にするという構想を抱いているのだ。ARメガネの研究開発は、未来のモバイル市場の覇権を握るために必要な重要アイテムという位置づけでApple、Google、そしてFacebook等が取り組んでいると言われている。

 FacebookのBMI研究を率いるMark Cheville氏によると、ARメガネの入力手段として音声は最適ではないと考えられる。例えばARメガネを装着した状態で騒音の多い街中にいる場合、音声による入力は困難になるだろう。また、アートギャラリーにいるような場合も、音声による入力はマナー違反となる。

 もっとも、現段階では脳波を実用的な入力手段にできるほどには技術開発が進んでいない。BMI実現のために必要なブレイクスルーは、脳に電極を挿さないでも脳波を測定できる非侵襲的(身体を傷つけない)な装置の実用化だ。こうした装置を実現する糸口はすでにつかんでいる。脳波を伴う脳活動は、脳内の酸素量の分布を測定することでわかる。脳内の酸素量は、脳に赤外線を照射することによって測定できる。赤外線を使った脳内酸素測定装置はすでに試作品が作られていて、その外見はやはりSF的なものだ(トップ画像参照)。

 FacebookのBMI研究チームは、赤外線による脳波測定装置を使って「home」「select」「delete」といった簡単なコマンドが入力できるようになるだけでも、ARメガネやVRヘッドセットに画期的なユーザインタフェースを提供できるようになると考えている。

      

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