おしゃれで明るいギャルVTuber・轟京子が漂わせる「カオスな魅力」

轟京子の「カオスな魅力」

 ここまで振り返った内容をみれば、「バーチャルYouTuber・VTuberとは一体何なんだ?」と感じる方もいるかと思う。2Dの絵がどう、3Dモデルがどう、ということすらも些事のように感じられるほど、轟京子は縦横無尽に駆け巡ってきた。

 どこかアングラ気味でB級かもしれないが、奥行き・角度・方向性それぞれにエッジが立ったエンターテイメントの数々だ。

 そんな彼女と共鳴するにじさんじのメンバーといえば誰が挙がるだろうか。元1期生の月ノ美兎はたしかに彼女に近しいだろうが、アップテンポに会話を続けていくムードと気質、ネットミーム好きや服飾関係の制作物から伺えるカジュアルでヒネたセンスは、周央サンゴが最も近しいところだろう。

 意外に思われるかもしれないが、2人はSpotifyで配信された『VTuber 魔法のリムジン Tokyo 1Day Trip』の初回配信に出演している仲だ。

 これまで配信上ではほとんど絡んでいる姿を見せておらず、ほぼ初対面といっても過言ではないのだが、お互いの共通点などですぐに盛り上がってみたり、コミュニケーションも円滑そのもの。

 バンジージャンプやお化け屋敷を楽しんだ後、これまでの道のりや夢についてお互いが語る後半エピソードは必聴だ。

 2022年7月1日には自身の3Dモデルのお披露目配信を行なった。数々のお笑いネタを次々に投下しつつ、しかも前後関係があまりにも辻褄が合わないままにパレードしていくような、カオス気味な内容となっていたが、「轟京子がどこから生まれてきたのか?」というバックグラウンドが感じられる内容にも仕上がっていたのだ。

 ちなみに前週には周央サンゴが3Dお披露目配信をしており、こちらもまたハイテンションかつ様々なネタを繋ぎ合わせた内容で、2週続けてリスナーは置いてけぼりを食らうレベルの配信を見ることになった。彼女ら2人の共通性がうかがい知れる点であろう。

 

【#轟京子3D】京子、3Dお披露目するってよ【轟京子/にじさんじ】

 ここまでの彼女を見てみると、「轟京子はオタクで陰キャラ」などとはとても思いにくい。むしろ明るいキャラクターでオタクカルチャーに強い、それどころかかなり理解力をもって楽しんでいるのが伝わってくる。

 最近のオタクカルチャーにおいて「オタクに優しいギャル」という概念が広まりつつあるが、2018年6月にデビューした彼女はまるで流行を先取りしているかのようだ。なにより「全国民がインターネットに触れている」いまの状況のなかにおいては、明るくカジュアルにネットカルチャーを楽しんでいる理想的な存在(ロールモデル)として、異質なセンスをそのままに少しずつ存在感を強めていくこともできるかもしれない。

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