フォロワー420万人突破のにっしーに聞く、世界から注目されるジオラマの制作秘話や活動の原点とは?
人気アニメのフィギュアと手作りのジオラマを組み合わせた動画で注目を集めるPPP STUDIO所属の動画クリエイターのにっしー。TikTokでは軽快な音に合わせたフィギュアの開封動画やジオラマ制作の様子を投稿し、多くの視聴者を虜にしている。一方で、そのジオラマ制作の技術には目を見張るものがある。YouTubeでは制作の過程や制作方法も公開し、国内に留まらず海外のジオラマファンにも愛されている。
今回、そんなにっしーにインタビュー。ジオラマ作りに目覚めたきっかけや、これからの目標について聞いてみた。
――動画クリエイターとしての活動をはじめたきっかけを教えてください。
にっしー:実はもともと俳優として芸能活動をしていたのですが、あるとき仕事が順調じゃなくなってしまって。そこでもう一つ強みがほしいと、その時に流行っていたYouTubeをはじめたのですが、これがまったく伸びず、1年間でフォロワーが23人しかいませんでした。どうしようかなと思っていたときに、たまたまファミレスで友達が楽しそうに動画を撮っていたので気になって聞いてみたら、それがTikTokでした。実際に僕も撮ってみたら、友人からも「センスあるじゃん」と言ってもらえて。それをきっかけにTikTokもスタートしました。
――最初にTikTokをはじめた頃は、ジオラマではないことをやられていましたよね。
にっしー:そうですね。TikTokはトレンドが大事なので、そのときのTikTokの空気感を読み取って投稿しています。ちょうどその時期に流行っていたのが「リップシンク」でした。これはTikTokで音源を流し、それに口パクで演技をつけたり、口パクをしながら踊ってみるような動画です。その時は俳優の仕事をしていたので、ある俳優さんの声をお借りして表情で演じるという動画を投稿していました。最初の2ヶ月で5万人ぐらいまで増やすことができましたよ。
――はじめからフォロワーさんも多いなかで、改めてジオラマ動画を始めたわけを聞かせてください。
にっしー:最初は日本人向けに動画投稿をしていましたが、さらにフォロワーさんを増やすために海外にも通用するような動画作りを意識しはじめました。そこで何かもうひとつ新しくて、日本人にも海外の方にも楽しんでもらえるコンテンツがほしいなと思っていたところ、アニメにたどり着いて。実はその当時、僕がハマっていた『僕のヒーローアカデミア』というアニメのオールマイトというキャラクターのフィギュアが発売されることになり、好きなキャラクターだったので購入したんですよ。せっかくいいフィギュアだからこれを動画にしようと思いつき、開封動画を始めました。その開封動画が伸びたことから、もっとこのフィギュアでいいことができないかなと思い、ジオラマを作って投稿したら、さらに伸びたんです。それをきっかけに、フィギュアを買って、ジオラマを作ることを1セットにして続けたらいいのではないかと思い、最近はジオラマ動画を中心に投稿しています。
――ジオラマ作りの技術は、どうやって覚えていきましたか。
にっしー:最初にYouTubeで作り方の動画を2~3本見ました。地面の作り方や岩の作り方にも基礎があるので。ですが結局はジオラマって、身の回りにあるものと同じように形を作って、色を塗るだけじゃないですか。だから僕からすると、ただ見たままのものを作るっていう感覚なんです。
――思いついたら再現できてしまうのですね。技術が高まるにつれて使いたい道具は増えていくものだと思いますが、100均で買えるものにこだわっている理由はありますか?
にっしー:単純に僕がケチなので、100均で買っています。あと僕の強みとしては、100均で買えるからみんなも再現できるというところ。他の方にもジオラマを作ってほしくて。TikTokもそうですが、比較的に若い子が多い環境なので、その子たちにもジオラマを作ってもらいたいなという思いで、100均にしています。
――改めて、にっしーさんの思うジオラマ作りのコツを教えてください。
にっしー:フィギュアを選ぶ段階で、動きのあるものを選んでいます。そしてそのフィギュアがイメージしているシーンのアニメをひたすら観る。いつも100均の蕎麦皿を台座にしていますが、この中でどう世界観を表現しようかバランスを見て、イメージを膨らませて作っていますね。例えば最近作った作品では、アニメの中でキャラクターが実際このポーズをしているシーンにはないビルや小道具などもジオラマに取り入れています。このポーズを象徴する時期のエピソードで印象的だった背景や小道具を足すことで、よりそのシーンを象徴したジオラマにすることができるんですよね。例えばワンピースなら、「ドレスローザ編」だな、など見た方がピンとくるようになる。エピソード全体をキュッと一つにまとめるようなイメージです。
――想像したものは、メモやイラストに残しているのでしょうか?
にっしー:ここ最近の5作品では、適当ですが絵を描いています。それまでは全く書いてい
なくて、フィギュアの周りに手を置いてなんとなくの配置を想像していました。制作期間も、最初の頃は1日で全部作り終えていたのですが、今は3~4日かけて仕上げています。「4時間ぐらいで出来るでしょう」というコメントを結構見かけるのですが、実際は50時間ぐらいかかっているんですよ。僕の場合は作るだけでなく動画も撮るので、全ての工程や撮影を含めると1つの作品に1週間くらいはかかっています。