格闘家、YouTuber、アーティスト……3足の草鞋を履く朝倉未来にみる、YouTuberのキャリア形成

朝倉未来にみるYouTuberのキャリア形成

 6月3週目のYouTubeの急上昇ランキングには、朝倉未来の名前がズラリ。6月14日に朝倉とプロボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーの対戦が発表され、関連動画が急上昇にランクイン。その翌日の15日にはYouTubeで朝倉のavexデビュー曲のMVが公開され、こちらも大きな話題に。格闘家、YouTuber、アーティストとして活躍する朝倉の活躍から、YouTuberたちのキャリアの築き方を見ていきたい。

 喧嘩と空手、相撲をバックボーンに持つ朝倉は、2012年に『DEEP CAGE IMPACT』浜松大会で総合格闘家デビュー。この初戦で勝利を飾ると、翌年に『THE OUTSIDER』に参戦、2018年8月には『RIZIN』に初参戦し、総合格闘家としてのキャリアを積んできた。その一方で、朝倉は2018年5月にYouTubeにメインチャンネルを開設。格闘技系の企画からドッキリ企画といった幅広いコンテンツを手掛け、いまでは4つのチャンネルを運営し、その総登録者数は315万2000人(2022年6月19日現在)を誇る、人気YouTuberとしての顔をもっている。

メイウェザーと試合が決まりました

 プロの格闘家としての朝倉は6月14日、メイウェザーと今年9月に対戦することが決定。『RIZIN』の公式YouTubeチャンネルでこのことが発表されると、魔裟斗や前田日明、シバターといった格闘技界にゆかりのある人物たちが早くも試合予想を繰り広げ、朝倉が日本のYouTube業界を盛り上げたといっても過言ではない。当の朝倉は、メイウェザーとの対戦が発表された同日、自身のメインチャンネルでもこの話題に言及。MMAで世界を狙うにあたり、どの選手と対戦しても勝てるようにするため今回の挑戦を決めたと経緯を明かし、こちらの動画も急上昇入りするなど、注目度の高さがうかがえる。

 RIZINの注目カードが発表された翌日の15日、今度は朝倉のavexデビュー曲「空模様」のMVが公開され、急上昇にランクイン。バラード曲を引っ提げ、アーティストとしての活動がスタートしたのだ。実はこの朝倉のavexデビューのきっかけになったのは、朝倉がYouTubeに投稿した「歌ってみた」動画。avex代表取締役会長の松浦勝人氏が昨年12月に投稿した動画内で、朝倉がバラードを歌っている動画を視聴し、格闘家として戦う朝倉が切ない歌をうたうというギャップに魅かれたと発言。松浦氏から朝倉にオファーしたことを明かしていた。

【ついに完成】朝倉未来のMV撮影の裏側に行ってきた!

 松浦氏は今回のMV解禁に合わせ、その撮影裏の様子を公開。その中では、ありがちなバラード曲は新人が歌っても売れない反面、名前がすでに売れている朝倉が歌うからこそ売れるはずだと予測している。動画クリエイターのアーティストデビューといえば、YouTuberヒカルも昨年1月、Da-iCEの花村想太との音楽ユニット「UPSTART」でavexからデビューし、LINE MUSICのデイリーランキングとウィークリーランキングで1位を獲得。今年の7月7日にはYouTubeでチャンネル登録者数192万人を誇るクリエイターグループ・フォーエイト48のメジャーデビューが決まっており、デビュー発表当時から大きな注目を集めている状態。YouTubeで成功を収めた者がアーティストとしてデビューするという道は、現在では珍しいことではない。

 朝倉と同じくプロの格闘家でありながらYouTube活動にも勤しむ那須川天心も、昨年9月に1stシングル「Ready Go!」をリリースするなど、動画クリエイター×音楽のみならず、格闘家YouTuber×音楽は、今後さらなる可能性を秘めたジャンルなのかもしれない。

 格闘家から始まり、その強さと名声を武器にYouTuberとしても成功を収めた朝倉。今回は精力的に行ってきたYouTubeでの活動がアーティストとしての新たなキャリアに繋がったという良い事例であるが、朝倉のような道を進んでいけるのはごく一部のクリエイターのみであることは言うまでもない。松浦氏の発言からも読み取れるように、クリエイターが朝倉のようなキャリアアップを図るためには、やはり愚直にコンテンツ制作に取り組み、いかに人気を集めているかが鍵になるようだ。

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